最近、森内俊雄氏の「使者」を読み返し終えた。廃棄をのがれた文庫本(全部といってよいほどが、海外推理小説モノ)である。透明な文体がよろしい。読んでいて、ずっと探していた本は氏の作品であることを確信できた。少年たちが春の大阪から和歌山方面へ自転車で旅する話である。何十年も前に読んだが、題名を忘れておる。氏の文体から「春の疾走・・・ かと検索しても即ヒットとはならん。しかしWEB恐るべし、これも不思議な読後感を与えてくれた「翔ぶ影」本に”春の往復”で納められていたらしい。「翔ぶ影」も紛失、あるいは破棄した可能性が高く古本で入手しようと算段中である。
さて氏はむしろ「眉山」で有名なことが、文学方面に昏い私には軽い混乱を与えてくれた。布団にくるまって好んで読む太宰治の文庫本に”眉山”という、少し可哀そうな女性の噺がある。同じ題名の森内作品を是非に読みたい。WEBによると先の大戦時に逃げ込んだ徳島の眉山のことらしい。そして瀬戸内晴美さんもその眉山に想いがあるらしい。興味津々。と、言いながら図書館へ行くと、北欧推理小説モノを借り出すのだろうなぁ~そして翔ぶ影と眉山に併せ、ル・カレの文庫本ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイとDVDされた裏切りのサーカス をアマゾンででも入手しようとしています。