崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

『日本の人類学』

2011年05月26日 05時27分59秒 | エッセイ
 国立民族学博物館で山路勝彦氏を中心に3年半の研究会を終えて関西学院大学出版会からこの8月に出版されるようになり宣伝チラシが作成された。 植民地主義、異文化研究、学術調査の歴史─植民地主義、異文化研究、学術調査の歴史学の系譜をまとめたものである。私は第4章に1930年朝鮮総督府調査資料(村山智順)を秋葉隆が利用したこと、つまり二人の研究の相互関係やオリジナリティーを検討したものである。年報的なあるいは書誌的な研究を超えて論文を分析する研究を試みたのである。この著書によって日本の人類学と植民地に関するもっとも最先端の研究になるだろう。値段は学会特価5800 円で、予価7350円(本体7000円+税)である。内容は次のようである。

第1章 日本人類学の歴史的展開 山路勝彦

第一部 植民地における人類学
第2章 台湾原住民族研究の継承と展開 宮岡真央子
第3章 植民地期朝鮮の日本人研究者の評価(今村鞆・赤松智城・秋葉隆・村山智順・善生永助) 朝倉敏夫
第4章 朝鮮総督府調査資料と民族学─村山智順と秋葉隆を中心に 崔吉城
第5章 南洋庁下の民族学的研究の展開─嘱託研究と南洋群島文化協会を中心に 飯伸五

第二部 異文化の記述と方法
第6章 近代日本人類学とアイヌ/コロボックル人種表象─坪井正五郎の人種概念の検討から 関口由彦
第7章 土方久功は「文化の果」に何を見たか 三田牧
第8章 馬淵東一と社会人類学 山路勝彦
第9章 マルクス主義と日本の人類学 中生勝美
第10章 モノを図化すること─図化技術とその教育からみた日本人類学史と植民地 角南聡一郎

第三部 戦後人類学の再建と発展
第11章 民族学から人類学へ─学問の再編と大学教育 三尾裕子
第12章 米国人人類学者への日本人研究者からの影響─一九三〇年代から一九六〇年代までの日本研究 谷口陽子
第13章 東京大学文化人類学教室のアンデス考古学調査─泉靖一を中心に 関 雄二
第14章 探検と共同研究 ─京都大学を中心とする文化人類学 田中雅一
第15章 日本人類学と視覚的マスメディア─大衆アカデミズムにみる民族誌的断片 飯田卓
第16章 「靖国問題」研究と文化人類学の可能性 波平恵美子
特別寄稿 杉浦健一遺稿講演集

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