崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

生け花は女性独占か

2008年10月25日 05時33分27秒 | エッセイ
 山口県の有名な画家と生け花の展示作品を鑑賞した。花器、枝、花と絵など、季節が表われ、掛け軸と調和した大きい作品が多く、水準も高い。私は一つ一つの作品の前に立ち止まって集中して鑑賞し、美しさに感動した。ふと周りを見ると観覧者も結構多いとわかった。しかし、展示場全体に男性は私一人だけであることに気づいた。違和感もあった。日本では男性にも花を生ける人がいないわけではないのに、鑑賞する人は女性専用のようであった。生け花は「女性の文化」といえるのだろうか。
 韓国では男性は生け花などには手をつけるものではないという固い社会慣習がある。しかし私は若い時Herbert Read著Meaning of Artなどを読み、花が好きで1960年代末金ジョンシュン生け花教室を覗いてみて、自習して趣味としているのでこの場に立って感動しているが、このことが女性文化への侵入か、男女別のある枠を犯しているかのようにも感じた。韓国では家政学がほぼ女性に独占されているようであり、発展が遅いと思った先輩学者の故金東旭氏が服飾の研究書を出した時、ある著名な女性学者から「男の研究だから細かくない」と批判されたことを覚えている。しかし今金氏の研究は女性専門家たちの貴重な先行文献になっている。生け花の美しさも女性だけのものにしておくのは、男性にとって「もったいない」感がする。それは幸せに関するものであるからである。男性も花を生け、生け花を鑑賞しながら幸せを積極的に共有すべきであると思う。

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