崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「文字を失った」

2017年03月22日 05時44分16秒 | エッセイ

 私が育った村では「富貴榮華や享楽のために出世する」という話をよく耳にした。今韓国、日本の一連の出来事をみて皮肉に思われる。大統領になった人が「富貴榮華や享楽」の座から弾劾罷免され、検察に徹夜調査を受けている。また東京都知事だった人が高齢にもかかわらず尋問された。社会的にトップの地位にいることは「富貴榮華や享楽」のトップではない、否ドン底最悪の苦難の境地に落ちやすいという教訓であろう。まるで天国と地獄の曼荼羅を見ているようである。天国と地獄の間に地上、「この世」がある。平地で、平凡な空間、無名な世界がある。
 人生航路にも天国と地獄がある。人によっては開花時期、若さ、美しさなどで注目され、「富貴榮華」を全うするが加齢によって変質、喪失、死を迎える。石原氏がひ孫のような若者から「尋問」されていた。偉大な作家である彼が「文字を失った」と悲鳴を上げた。作家に文字が無くなるということはどんなに辛いことだろう。それを聞いた若者たちは仮病のように聞いている。そんな彼らも間違いなく、そのような人生経路を経なければならない、自分で体験することになるだろう。*写真の観音竹は以前本欄で触れたことのあり、私が植え替えて生かした鉢


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