崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

海藻食文化

2013年11月10日 04時42分08秒 | エッセイ
昨日の「楽しい韓国文化論」では海苔を扱った。以前にも触れたように日本と韓国だけが持つ海苔の食文化である。日韓の周辺国家の人さえ海苔を食べない。キィム(海苔)は雑草、キィムメダ(草取り)という。中国などでは古くから海苔は苔であり、文字通り海の苔に過ぎない。つまり海苔は日韓を除いて、東アジアはもちろん、世界中に稀な例外を除いて韓国人と日本人しか食べないものである。私がサハリンの朝鮮人も食べないと言ったら柳鐘美氏は中国人も食べないと言った。昆布、ワカメ、あおさ、海苔などを食べる海藻食文化としては日韓が同一であることに関心を引き起こした。朝鮮では昔から指くらいの太さに竹を割り、一番下の部分を編んで、また、中をほう様に編み、丸太を一定間隔に海に立てて、その丸太に竹で編んだものを水平に吊るす。そして海水が満ちてきたら、上に上がるようにする。また潮が引けると海水の中にとどまるようにする。岩海苔も多く取れる。韓国では海苔の種類が15種くらいであり、日本は26種くらいあるという。やはりその海、島で、北のほうから南のほうまでずっと色々な種類が取れるようである。
 植民地時代に入り当時の日本政府は木浦試験場、麗水試験場、釜山水産試験場などで学者たちを派遣し支援をし日本人、韓国人ともに協同で行った。日本人は主に海苔の問屋として日本では三倍くらい高く売れた巨利を得たという。日本と韓国の海苔の大きさは少し異なる。日本の場合は江戸時代に和紙製作技術を使った時の形、韓国の海苔は300ミリ、日本は202ミリの形を作った。海苔以外にワカメと昆布、パレ(あおさ)も同じ食文化圏であり、韓国では産後には必ずワカメスープを食べる。
2007年海苔の名産地の莞島に行って養殖している現場を撮って、最後に仕上げの過程を撮影した映像を見せた。味付け工場で働く女性が海苔の束を持って習慣的に唾で指を濡らして束ねる場面が出た。このような現場を撮影する時にある若い社員が出てカメラを止めたのである。彼は社員旅行で日本のノリ生産工場を視察ことがあり、日本では作業員たちが海苔を扱うとき白い帽子をかぶり、清潔な作業服など衛生的に仕事をするのに自社ではそのようになってないことを撮影して日本人に見せるのは恥ずかしい、また営業上支障があるかもしれないからといって社長の承諾を得て、撮影しようとするのに社員が社長の面前で撮影拒否したことで唖然とした。撮影の途中で目の前で社長と社員の論争が激しくなった。社員は生産過程が日本のように衛生的にしていないことが日本に放映されることを懸念しているという。社長のやさしい顔が印象に残っている。撮影は止めざるを得なかった。そして日本で放映されることもなかったが、資料として持っていたので昨日海苔の養殖から生産過程まで見たとき、その衛生的な面で、特に唾で指を濡らして束ねる場面には抵抗があった。やはりその時の社員の意見が正しかったようであった。(写真は私の海苔について講義、山尾氏撮影)
 
 

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