崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

反国際化のナショナリズム

2012年09月26日 05時00分41秒 | エッセイ
尖閣、竹島、北方四島など全部島に国境問題がある。特に無人島の国境が争点となっている。今は争点になっているが、歴史的には利用性が少なく、あるいは辺鄙なところと思い、無視し、あまり意識しなかったのではないかというところである。これらの島だけではない。人や政治家も辺鄙なところには関心が無かった。古くから人は「都」へという「都志向主義」が定着して土地価は高騰、高層ビルや地下道と地下街が発達し、東京スカイツリーが観光名所にもなっていて東京王国のような時代になっている。今、領土問題になっている島々は争点になるまでは放置したという点は反省すべきであろう。
 尖閣が日本、中国、台湾から領土と主張される。それぞれの国家において以前にその地域を代表する議員などが多くいたはずである。学者やマスメディアも触れることが少なく、争点になってから騒動するようになった。ぶれない指導者を求めても「先見の目」のある指導者を求める声はない。領土意識のなかった時代から目下「地理上大発見時代」のフロンティア精神が芽生えているようである。
 理論的には国境地域が国際的であるはずである。実際私は島の人や文化を調査した経験からは島は国際的であると思う。いま争点地になっているこの辺鄙な地域中心に政策をするようにと主張する意味で言うのではない。貧富の格差は問題にしながらも地方までバランスをとる政策、遠くまで目が届く意識が必要である。今領土問題になったいるのは反グローバリズム、反国際化の現象であろう。それぞれのナショナリズムや愛国主義が敵対主義につながるということを警戒して私は日韓両国で拙著を出したがそれは決したんなる空虚なヤマビコではない。