崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

アラブの春一番

2012年09月16日 06時02分34秒 | エッセイ
 「アラブの春」といわれる地域に「春一番」のように反米デモが広がって暴徒化している。本欄でも以前指摘したように民主化によって政府を打倒してから混乱時期が来ることを予言した。またクーデターで軍事政権になってはいけない。それが心配である。モハメットを侮辱した映画が起爆になったようである。数年前「ダビンチコード」という小説と映画がキリスト教を、「パッション」がユダヤ人を、デンマークの新聞がモハメットを風刺侮辱したと反発が起きたのは記憶に新しい。韓国ではバスの車掌を侮辱したという職業差別が反発をかった。それぞれに本欄で指摘した。多くの映画はプロパガンダ的であるがこれはフィクションである。このような現象は文学や芸術を鑑賞する理解力のないこと、社会の不安、不満が遠因であることを反映している。
 「アラブの春」の地域では折角血を流して民主化したのに、まだシリアでは戦争中であるのにこのような混乱は望ましくない。昨日朴大統領のクーデターの秘密準備に関する李氏の回顧録を読んだ。国民に不平不満が多いこと、政府政権が弱いこと、反抗勢力があることがクーデターの成功要因とみて、確信を持って挙事したのである。アラブの春はアラブに限らず「春一番」として世界に吹いていくのである。世界への警告でろう。(写真はNew York Times)