崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

野薔薇

2008年05月19日 06時01分30秒 | エッセイ
今私の住むところに白色や淡紅色の野薔薇が満開し、初夏を知らせる香が充満している。野薔薇の「野」とは野生の自生するバラという意味であるが、花屋で野薔薇を咲かせて高く商品化されたものもあり、野薔薇の野をはずしても良いように思う。実は赤く熟し、漢方で営実(えいじつ)といい私はこの野生の花と香を教会に捧げて皆で鑑賞しようとした。崖に咲いている野薔薇を切ろうとして棘に刺された。茎に鋭いとげがあるので韓国語ではチレコッ(棘のある花)として親しい花である。「チレコッが咲く南国のわが故郷」という歌があり、最近は人気ドラマチレコッもあった。日本では野バラは即ち野生花であるが、韓国ではより親しいチレコッである。野生の花にはあまり感動しない、それを花言葉や歌詞などで美意識化されたら花見までして騒ぐだろう。ひっそりと咲く野生の花に美意識を持つことこそ純粋な美意識であろう。