崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

バス停留場で

2008年05月03日 05時45分25秒 | エッセイ
 昨日バス停留場で花を持っているおばあさんがいた。彼女はユリとカサブランカ、菊などとメロンを持っていた。花の値段を聞いてみた。以外に他の店より高いと言った。しかし値段は問題では無いと言いながら夫の墓へ参りに行くという。夫の年金で暮らしているので感謝の心でメロンも初物を供えようと思って持っていく。工場などで働いてから市役所で勤め、地方公務員をしたのでその年金はそれほど多くないが一応それを頼りに生きているという。「年金を残してくれて感謝です」と懐かしく皺のきざまれた顔に微笑をみせた。私は国を変えて職場を変えたので年金は少ない。心配である。
 一般的に大きい財産を相続しても感謝を感じない子孫が多い。そして死者は時々祟るのである。子孫に好運を持たせても祖先の恩恵を感じず、自分の努力しか意識しない人に霊が祟るということはただの迷信ではない。人間の本質を問う民間信仰である。