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Richard Wrightの俳句(64)

■旧暦8月18日、水曜日、

(写真)猫と蜂

かなり涼しい朝である。今度読む鳴海英吉の詩を探していて、シベリア抑留を経験したこの詩人が、なかなかのユーモアの持ち主であったことを改めて思った。

うるせーいと 怒鳴ったら
女房と子供は 床からとび上がり
屋根をつきぬけて 宇宙のかなたに消える
俺は仕方がないから
冷飯に にがいお茶をたっぷりかけて
タクアンをかじり
ザクザクと飯を食う
見上げると
女房と子供が とび去った屋根の穴から
水のような月の光が入ってきて
ポチポチした星が 光っているのが見える

俺の子供だった頃 叱られると大飯を食った
貧乏人の家では 飯を食われることは辛い
たかが おかずのことで言い争う
怒りをこめて 宇宙のかなたに飛び去った
たましいの尻軽い奴を とっつかまえ
ずらり三つ 俺の前に正座させて
俺はそういうことを話してやろう
三つの屋根の穴から流れ込んでくる光
青い海の中 ダボハゼのように
泳ぎ去りたいのは俺の方だ
重みに耐えている 俺は屋根の梁
そのなかでぬくぬくとタダ飯を食っている
ぐちゃ と十九坪の家が吸盤になり
俺を吸っている
気持ちが悪いったら ありゃしない
けれど宇宙の方はどうだったと聞くと
寒くって風がビユビユ吹くしゴミだらけ
澄んでいるけど ガランポ
月も木星も本当はないんだ
ちょうど 秋みたいで
早く帰って お風呂に入りたかった
女房と子供は 言うのである


「秋」全




The cat's shining eyes
Are remarkably blue
Beside the jonquils.


猫の光る眼は
びっくりするほど青い
黄水仙のかたはら



(放哉)
どろぼう猫の眼と睨みあつてる自分であつた


■ライトの句、「remarkably blue」という言葉と「Beside the jonquils」という表現に惹かれた。青と黄色の対照。放哉の句は、句の中に自分が登場していて、ユーモラス。

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