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CEMETRY GATES

旧暦3月29日、火曜日。のち。午前中から雷雨で雹まで降った! 今日は忙しかった。時間に追われる仕事が入った。夕食当番としては、しゃぶしゃぶサラダを作って、後は、家人に任せた。

今日は、気合を入れないとできない仕事だったので、スミスを聴きながら、作業した。気合を入れるときには、たいてい、ロックである。スミスは、80年代、「サウンドストリート」という渋谷陽一がDJしていたFM番組で初めて聴いた。「REEL AROUND THE FOUNTAIN」のゆっくりしたドラムの音に続いて、モリッシーの「It's time the tale were told of how you took a child~」という鼻にかかったけだるいヴォーカルが流れてきたときには、ある種の戦慄を覚えたものだった。この頃も今も、音楽はロックとクラシックが中心だったなあ。

その後、スミスは一渡り聴いたが、もっとも好きだったのは、「CEMETRY GATES」という曲だった。「THE QUEEN IS DEAD」という86年に出たアルバムに入っている。この曲は、非常に好きで何度も聴いて、そのうち、この曲で、詩を書こうと、ある日、思い立った。曲の内容とは直接関係はないが、曲の空気や風味に触発されて書いたというべきだろう。それは次のような詩だった。



青の記憶


深海の緩やかな海流のように
無言で背中を押すもの
魚の鱗のように
銀色の太陽を水中に運ぶもの
十一月の木枯らしの冷たさに
歴史の暗さを想い
傷ついた内面を拾い集めて
優しい手に手渡しするもの
それが青の記憶なのか?
共同墓地の門より静寂で
三月を刻む時のように
夜と昼が等しいもの
それが青の記憶なのか?
街から街へ
封印された声を解き放ち
階級の夜に笑いをもたらすもの
愛のない沈黙に言葉を与え
指先の権力に詩で応えるもの
それが青の記憶なのか?

記憶はいつでも外にある
夏の日の青い影のように
所有されることを永遠に拒みながら……





この詩を書いたのは90年代後半だったから、スミスの曲から10年以上経ったことになろうか。もう、かれこれ、この詩を書いてからも10年経つ。



ここ数日、忙しかったが、世間の方は、「改憲」機運が一気に高まった。やられたな、と思ったのは、小泉で、安倍晋三が総理になって9月で丸一年になる。歴代総理をテレビで観ていると、必ず、疲労感が顔面に漂うのだが、安部の場合、その気配がない。それもこれも、衆参両院での安定多数が大きいだろう。これを作ったのは、言うまでもなく、純ちゃんである。あのとき、小泉劇場に乗って投票した人々が、未来の日本人を戦場に送る条件を作ったことにならなければいいが……。安倍は、防衛省、教育基本法から始まってやりたい放題である。国民投票法案が可決されてから、内閣の支持率が上がったという報道も気になるところである。

「改憲問題」である。自民党がめざしているのは、9条を変更して、結果的に、米国の世界戦略に組み込まれることを法的に正当化することであるように思える。米国の世界戦略の背後には、米国の多国籍企業とそれが推進するグローバリゼーションがある。すでに、軍事面では、米国の戦争に協力してきているが、「改憲」して、帝国への属国化を憲法で保障しようということだろう。安倍の晋ちゃんが、腹話術の人形に似ていると巷ではもっぱらの噂だが、この噂に笑えないのは、事態の核心を突いているからだ。帝国と多国籍企業という腹話術師がいることを示している。「改憲問題」は法律の条文の問題だけではなく、グローバリゼーション(Americanization)との関わりで見る必要があると思う。

さて、そういう大枠で、「改憲問題」を考えると同時に、具体的な条文の問題としても当然検討してみるべきだろう。環境問題やマイノリティ問題への対応など、時代的な限界はあるのか。9条というのは、どういう歴史的な意味があるのか。日本国憲法には、これに先立つ英語版がある。新規訳も複数出ていて、興味深い。時間のあるときに、英語版と合わせて、現行憲法を具体的に検討してみようか、と考えている。

子の皿に塩ふる音もみどりの夜  飯田龍太

美しい文学作品は、いつも、地球に生まれる。その意味では、必ず、少なからぬ欺瞞を抱え込む。だが、こうした「みどりの夜」も確かに存在し、われわれに、人間と自然との関係のあり方を理念的に伝えてくる。この句の「みどりの夜」は、社会的な条件を人間に要請してくるのではないだろうか。自由と平和という社会的な条件を。
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