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西行全歌集ノート(33)




初花の開けはじむる梢よりそばへて風の渡るなりけり

西行 山家集 上 春

※ 「そばへて」は、戯れて。これも一読印象に残った。初花が効いている。「そばふ(戯ふ)」という言葉は初めて知ったが、面白い音。「戯ゆ」とも言うらしい。花は、初花、三分咲き、五分咲き、七分咲き、満開、散る花、葉桜といった具合に、時間性を付与されている。梅も同じだが、ここまで時間性の中で観られることはない。とくに、散る花、葉桜といった花の不在(面影)さえ、観賞の対象になるのは、桜と人の出会いに、いくつものtimelinesses(適時性)があることを示唆している。これは、人と人の出会い方にとてもよく似ている。


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一日一句(992)







顔に花の影ある臥所かな






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