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西行全歌集ノート(32)




花と聞くはたれもさこそはうれしけれ思ひしづめぬ我心かな

西行 山家集 上 春

※ 「思ひしづめぬ」は、落ち着いていられない。西行を読んでいると、この花狂いが確実に伝染する。なにかに、取り憑かれる心のありようは、周囲に伝染する。これは、素敵なことであるが、ある意味で、怖いことでもある。
※ 写真は、鎌ヶ谷市のある特養の上空を次々に飛行する自衛隊機。飛行ルートになっている。家族や大事な人を現実という暴力から、できるだけ守りたいと考えるのは、普通だろうと思う。しかし、その延長線上に国防軍という発想が出てくるのは、暴力の性格を暴力的に一元化している。自分自身が暴力になることも多々あるのだから。


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西行全歌集ノート(31)




吉野山人に心を付けがほに花より先にかゝる白雲

西行 山家集 上 春

※ これも、心の憑依現象を歌っていて注目される。憑依は憑依する存在が前提にある。その意味で、存在論的。現代の詩歌(フロベルに始まる現代小説を含む)は、言葉の運動に特化する傾向があるが、その方向では、やはりいろんな意味で、限界があり痩せてゆくと感じている。古代の呪術性は、心の憑依と関連し、現代の存在論に通底している。ただ、存在は、神と同じで、そう簡単には把握できないという感じはする。相対論や量子論は、この間の事情を物理学的に表現していると思う。


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一日一句(991)







春愁小石を川に投げるたび






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