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乱れ雲(成瀬巳喜男監督、1967年)


スタッフ
監督 成瀬巳喜男 脚本 山田信夫 製作 藤本真澄 金子正且
撮影 逢沢譲

キャスト
加山雄三 三島史郎
司葉子 江田由美子
土屋嘉男 江田宏
森光子 四戸勝子
加東大介 林田勇三

作品データ
原題 Two in the Shadow
製作年 1967年
製作国 日本
配給 東宝



この3月に亡くなった映画評論家、梅本洋一氏なども評価する映画なので、一度観てみたいと思っていた。成瀬巳喜男監督の遺作。基本的な枠組みは、男女の愛を描いたメロドラマだと思うが、ベタな昼メロにはなっていない。原作は林芙美子。結論から言うと、感動もしなかったし、感情移入もできなかった。それは、ひとえに、物語の構造にある。交通事故で夫を殺された婦人(司葉子:しかも、妊娠3カ月で、流産もしてしまう)と加害者の男性(加山雄三)が、恋愛関係になるのだが、これはありえないと思う。男性の方は、そういう感情を持つことはあるだろう(これだけ、頻繁に何かの縁で事故後に出会い、相手の女性がこれだけ美しければ、むしろ、恋愛感情は芽生える方が自然だろう)、だが、女性は、絶対に、と言っていいくらいないと思う。仮にあるとしたら、特異なキャラクターの女性だろう。幸福な家庭を壊され、子どもまで奪われた女性が、その加害者に心を開くことはありえない、と断言していいと思う。原作なのか、脚本なのか、わからないが、この基本構造の非現実性が、演出や映像を云々する前に、違和感を生じさせ、こちらの心の動きを止めてしまうのである。

むしろ、男性の心の運動と女性の心の停止の対照性を、浮かび上がらせるような構造に終始したら、逆に感動したかもしれない。







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