「芳賀ちゃんのオサカナ釣題」…酒、肴、料理、釣り 

元デイリースポーツ記者の日記だよ。

土壇場にドラマ...G杯チヌ全日本《1034》

2010-10-06 11:30:36 | 取材関係や釣行ネタ

がまかつ主催「第29回G杯争奪がま磯(チヌ)選手権」の決勝が6日、岡山県倉敷市下津井沖の磯で行われますたぁ。


前日までに、全国の予選勝ち抜き者、シード、推薦の47選手が本戦予選を争い、決勝リーグへ8人が進出。


強い西風が吹く中、決勝ファイナルは「小瀬居島の灯台下」という磯が舞台。


広島市の井手史仁(まさと)さん42歳と、福岡市の真崎芳弘さん46歳の2人の勝負となりやしたけれど、前半1時間は、まったく釣れない状態。釣り座交代した後半も、エサ取りのアタリしかなく、このまま、ショッパイ内容で終わるのかという沈滞ムードに覆われますた。


審査委員長の本庄活実さんは、気をもみっぱなし。


開始直後から、「釣れそうな雰囲気だねぇ。あのウキ、沈まんかなぁ。オレがチヌだったら、飛びついてるけどなぁ...。とにかく、まず1匹釣れてくれたら、あとはもう、どうでも」とハラハラドキドキ。


がぁ、結局、2人ともボウズという状況が続き、終了まで、あと少し。


「あぁ~、どうして釣れないの?何で、そんな釣れない磯を選んだのかって、オレ、怒られちゃう。みんなから、ものすごいこと、言われるんだよね」


確かに、この磯を決勝の場に選択した本庄さんの責任は大きいわけで、他の審査スタッフ、役員とて、同じ気持ちだったでしょうねぇ。


取材する側にとっても、まるで釣れないのと、ちゃんと1匹のチヌを釣った選手が優勝するのとでは、雲泥の差。


けれど、ボウズに終わるかも...そうしたせつなさや、審査スタッフの虚脱感、痛みを、もっとも強く感じていたのは、戦っていた2人の選手です。


終了10分前でした。審査委員長の隣で観戦していたオイラは、ハッキリ予言しました。


「ドラマは、これからですよ。あきらめちゃあ、いけません!アッシは、そうゆふのを、釣りだけじゃあなくって、たくさん見てきやした。何か、起こる!」


それは、願望に近かったし、だれも信用するわけもなかったのですけど...。


しか~し、終了まであと6分を切った土壇場で、ドラマは、本当に起きたのです。


右手の船着きにいた井手さんが、初めてのクリーンヒット。


ちょうど潮の変わりっつぱな。つか、沖を巨大船が通り過ぎ、波が押し寄せ、それまで止まっていた潮も動き始めた感じのタイミングですた。


井手さんは、次のように振り返っていますたよ。


「ここまできて、あきらめがつかないですよ。正直、どこがポイントなのか分からんかったから、いろんなことはやってみた。それでも、ここは潮の動き方がコロコロ変わる。早さ、方向、角度...。加えて左からの西風。でも、あきらめ切れなかったから、それまで、やっていた、釣り方ではなく、地元広島での釣り方を最後に、やってみたんです。遠投ですね。駆け上がりはエサ取りだらけ。その前に、根掛りして、逆にタナが分かったのも運がよかった」


最後の、熱い思いを込めての、35メートルの遠投。そして、念願のヒット......。


慎重に慎重に取り込み、520グラム(31・7センチ)1匹で、7年ぶり2度目の優勝を飾ったのです。


栄冠をつかんだ、井手さんは、ヒットさせたとき「どうか魚がチヌであってください!」と祈り、本命のチヌを視認した瞬間、「もう、うれしかったです。自分のことや優勝がどうのとか、そんなことより、正直、これで審判、役員、主催者の方々の面目が保てる...よかったぁ~って気持ちがわいてきて...」


バラさないようにバラさないように、タモ入れに成功したときは、ギャラリー、報道陣から大拍手。


一番強く、手をたたいていた審査委員長は、オイラの顔を見て「ドラマって、本当にあるんだねぇ」と、いまにも抱きついてきそうな雰囲気で、目をウルウルさせておりやした。(ちょいキモ!)


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井手さんを真ん中に、左が準優勝の真崎さん、右が3位の久保野孝太郎さん。

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