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内閣府経済総合研究所

2005年07月11日 21時20分24秒 | 行政制度
「マジンガーZの基地建設に関する研究」と同じだ、とまで酷評してしまった(諮問会議批判噴出)内閣府の経済総合研究所ですが、「単なる個人的見解」からの脱却を目指して政策提言に繋がる基礎的研究をやっていく、ということにしたようです。誤解のないようにお断りしておきますが、元々の組織としての経済総合研究所を非難している訳ではありませんよ(笑)。


NIKKEI NET:経済ニュース

この記事より以下に転載。

内閣府の経済社会総合研究所は8日、政策提言につながるような基礎研究を進めるねらいで「科学技術」と「災害」の研究チームを新設した。省庁再編で府内に設けられた社会関連の研究に力を入れる。両チームは文部科学省など他の省庁からも研究員を受け入れる。科学技術チームはバイオ技術の進歩が国民生活の向上にどう寄与したかなど、把握しにくかった効果を数字に表して分析。災害チームは正確な損失額の算出によって、緊急時に必要となりそうな金融政策を考える。



研究所の運営方針とか、どのような人事組織となっているのか、非常勤の方々の研究割合がどのようになっているのか、などということもよく知りません。ただ、発表されている論文等を見ると、必ず「研究者の個人的見解であり、政府・省庁の考えではない」ということになっている訳です。そりゃ、そういう面は仕方がないとも思いますが、折角いい論文や研究があったとしても、放りっぱなし、出しっぱなし、ってことについて非難している訳ですね。なぜ、そこで終わらせるのか、「お蔵入り」にしておいて行政の何の役に立つのか、と思うわけです。公的組織である以上、内閣府ならば既におわかりのように、PDCAサイクルに載せなければならない、ということです。


こうした考え方で臨まなければ、例えば「新たな都市計画と地方財政評価」とか「女性の就業率向上のための社会保障制度のあり方」とかを研究してペーパーを書いたのと、先の「マジンガーZ~」と、行政政策上何か違いがありますか、と問うてる訳です。既に実施されている制度・政策についての効果判定でも、今後要求される制度設計のevidenceとするのでも、産業育成に繋がる基礎研究でも、それは何だっていいのですが、必ず評価をして下さいよ、ということです。論文によって、仮に経済学的に無駄なコスト・ベネフィットとなっている他省庁の政策があるのであれば、論文を提示して政策見直しに使うとか、担当部局が手がけていない部分への政策導入の検討に付すとか、そういう意味のある使い方が必要なのではないですか、と思うのですね。他にも、各種審議会・委員会等の基礎的資料として提出し、提言検討段階でのたたき台とか代表的反対意見の例とか、そういった使い道が色々考えられるのではありませんか、ということを申し上げている訳です。


そうでなければ、研究者達は何の為にペーパーを書いたり、研究したりするのですか?自己満足の為ですか?成果の活用が全くないペーパーを書いた研究者達や非常勤の大学教授達は、これをどう思うのですか?折角書いたペーパーは、仲間内だけで「いいのが書けたね」「ノルマを一つ果たしたよ」とかそんなレベルでいいとお考えでしょうか?


今後EBPMを目指して、統計数値もきちんと管理しましょう、司令塔を内閣府に置きましょう、ということであればなおのこと、研究成果を有効活用していくことが求められるのではありませんか?研究員達も、自分の研究成果が何かに活かされるのであれば、モチベーションアップに繋がるかもしれないですし。そういう視点で、取り組んでいくべきなのではありませんか、と思うのですね。

勿論、全ての論文を査読に回せとは申しません。中には、単なる好奇心で書くものが存在してもよいと思いますし、例えば「ヒューマノイド型ロボット工学の将来における宇宙開発分野での貢献度を予測する」や「深海資源開発の為の海洋基地建設の費用対効果分析」などといった、今すぐカネになる分野でないことでもいいと思いますよ。全部が政策決定に則したものでなくともよいですよ。そういう自由度が残されている方が、意外といいアイディアとか着眼点の発見に繋がるかもしれないですし。科学や産業の進歩・発展というのは、単純な知的好奇心などから案外産まれてくるものだと思いますし。


ですが、そういう部分が存在しながらも、大半は投入された資金(税金)に見合う働きを求められるのですから、内部の研究者同士(同じような分野の人達でいいでしょうし、非常勤研究者に依頼してもよいでしょう)で簡単な査読委員会を作って、客観的な相互評価を行いより精度の高いペーパーとすることも可能なのではないでしょうか。それに、他の専門家達からの、ある程度の批判にも耐えられる内容とすることも必要でしょう(笑)。


これと似た役割の組織としては、経済産業省所管の経済研究所もありますね。非常に似たような業務をバラバラに行っているということも何故なのか分りませんけれども、別組織として存在するなら、それなりの役割分担を行うとか、研究対象・内容についてある程度区分してみるとか、そういうことがないと、はっきり申し上げるならば「一本化した方が効率的」ということになりますね。どうも弱点と目されている(笑)財務省の政策についての、マクロ経済分析をしっかりやっていくとか、そういった役割分担も考えていく必要がありますね。


また、先日記事に書いたのですが、日本学術会議という政策提言組織を有しているのですから、官学共同研究などでEBPMのベースを組み上げるということがあってもいいと思いますよ。内閣府の中にはこうした機能も組織も有している訳ですから、これらをいかに有機的に連携させながら有効に使っていくか、互いが知らんぷりしてないで協力するべきでしょうね。民間シンクタンクなどにわざわざ多額の費用を払って何でもかんでも委託する前に、内部的に出来ることは平行してやっていき、最後の出来上がった研究論文の比較検討に付すとか、いくらでも工夫の余地がありますよ(勿論結果がダメなら、次は委託しませんね)。

実際、民間エコノミストの評価については、提灯記事ならぬ提灯研究や結論ありきの都合よい分析結果などの危惧もあるのですから(某辛口経済学者評、笑)、単純に「金を出す」という前に、行政が持つ”自前組織”の潜在力を見直すべきですね。それに、どうせ金を出すなら、安く請け負ってくれる大学の経済学者の方が得になることもあるかもしれないですし(笑)、高給取りばかりの民間シンクタンクにぼったくられるよりもいいかもしれないですよ(別に民間シンクタンクが高額な費用を吹っかけてるとは言ってませんよ。現実がどうなのか全く知りませんし)。きっと貧乏学者なら、大喜びで安い費用でも研究を請け負ってくれるでしょう(笑)。


ですので、経済総合研究所に慌てて政策提言の研究チームを発足させたりしてくれ、とは思っていませんが、今までに積み上げてきた研究者達の研究成果を活かせる道・方法を普通に考えてもらえればいいと思いますよ。「あるものを有効に使いましょう」「成果は活かしましょう」ということですね。


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