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『Wikileaks』から学ぶ”国家権力によるlockout”

2010年12月05日 12時49分06秒 | 社会全般
ネット世界の自由は、サイバー空間にこそ存在すると信じられてきた。しかし、その自由は奪われようとしている。サイバー空間に存在しているものでさえ、実体への攻撃からは逃れられない、ということなのである。そうした攻撃は決して仮想などではなく、まさしく「リアル」なのだ。サイバー空間という「自由な逃避先」が権力によって支配され奪い取られるという危機が、目の前に現れてきたのである。

今回のwikileaks事件が教えてくれることは、、”超リアルな”力への屈服である。民衆が手にできたであろう「国家の犯罪」への対抗力が今まさに失われんとす、という絶望の淵にいるのだ。国家権力という現実に作用する強大な力には誰も敵わない、という事実を思い知らされるのである。ここには、映画やアニメに出てくるようなヒーローは、いない。超人的活躍を見せる「正義の味方」なんか、現実にはどこにもいない。悪の組織の方が勝利してしまう、というのが、本当の世界なのである。力がある者が、勝つ、これこそがリアルなのだ。


一般大衆が新たに手にしたかに見えた”力”は、あくまで幻想に過ぎなかった、ということであろう。言論統制や検閲、そうした力に対抗してきた歴史は、ここに潰えてしまうのかもしれない。

Wikileaksを世界中のサーバーから締め出してしまうと、サイバー空間には存在できなくなってしまう。どこかには必ず本体が存在しなければならない。その本体を直接攻撃できてしまうと、存在できなくなってしまう。次々と乗り移る「箱」があればいいのかもしれないが、アメリカをはじめとする強大な国家権力が圧力をかけることで、公的機関として対応せざるを得なくなる国は多いだろう。それに、どこまでも追跡されてしまうから、乗り換えるのも中々難しい。普通のサーバー提供会社が怖気づいてしまうのは致し方のないことだ。

これに対抗できる存在など、世界中の先進国にはあまりないだろう。
かつて国家の対抗策は非常に遅れていたのかもしれないが、今では随分と向上しただろう。おまけに、ネット世界には権力機構から放たれた猟犬たちがうようよいるから、それら猟犬の追跡を振り切るのも困難になっているだろう。

こうして、「ネット八分」のような事態が発生することになる。どこか辺境な場所に追いやられて、遂には排除されるということになってしまうのである。実体を置けるサーバーから締め出してしまいさえすれば、サイバー空間そのものから駆逐できる。
(ちょっと追加:
以前に書いた『パイレーツ・ロック』の映画を思いだした。彼らの放送は政府の権力に追い詰められてゆく。放送電波や番組に手を出すのが困難であっても、実体を伴う「船」にアタックされると対抗できないのだ。)


確かに国の情報が何でもかんでも漏れてしまえば、危機的状況に陥るということはあるかもしれない。そういう意味では、全部を公開すべきということにはならないかもしれない。だが、国家が隠している重大犯罪は、隠蔽されたままでよいのだろうか?
これがマスコミならば正当化される、というのも、疑問なのだ。マスコミだって、カネや権力に支配されてしまっているではないか。特定のイデオロギーに染まって、それに沿った行動をしているマスコミ企業だって、いくつも存在しているじゃないか。そうした企業群が、本当に良識や正義に基づいて行動するなどと信じることができるだろうか?

既に国家や権力機構の一部に組み込まれたマスコミでしかないのに、それを信じろと?そうではない、と言い切れるマスコミ企業がどれほどあるのだろうか?

Wikilaeksの信憑性についての疑問などが出されていることは、知っている。この存在そのものが、国家の情報操作の一環ではないかという疑いが向けられていることも理解できる。たとえそういう可能性があるとしても、国家権力がネット空間での言論や情報を完全に支配・統制できるということになると、一般大衆は対抗手段を失うことになるだろう。

別の、第2、第3のWikileaksが誕生し、世界各地で活動をするかもしれない。
悪逆非道の国家に対抗する方法として、それが役立つことがあるかもしれない。そういう時にも、同じく「取り締まり」をするというのだろうか?当該国家の要請があれば、サイバー空間からの締め出しをすると?
例えばアメリカには従うが、当該国家には従わない、というのもヘンな話ではないのか?


この問題は、彼らだけの問題なのではない。

一般ネットユーザーの、自治とか、自律的なルールとか、そういう問題なのではないかと思う。権力の介入を許せば、今後に禍根を残すことになるのではないかと恐れる。どんな理由を付けてでも、潰しにやってくるだろう。それは、アメリカだけとは限らない、ということだ。その時、ぼくらに対抗できる手段は果たして残されているだろうか?




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