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沖縄海兵隊はソマリアの二の舞を望むのか

2009年12月22日 11時45分45秒 | 防衛問題
また新たな見解が出されたようです。

はてなブックマーク - なぜ普天間基地移設先は沖縄県内でなければならないのか 週刊オブイェクト

端的に言えば、ヘリの航続距離の問題、ということらしいです。それは、台湾にヘリで飛んで行ける距離にあるから、ということのようです。朝鮮半島の話はマスメディアから出されていましたが、台湾有事についてはあまり触れられていなかったので、いよいよ理由付けが煮詰まってきたというところかな、と思ったりします。この台湾云々というのも昔から出される話ではありますが、ただ、「沖縄の海兵隊は台湾を守る為にある」といった指摘は知りませんでした。なるほど、一理あるのかもしれません。これについて、若干検討してみたいと思います。

沖縄の海兵隊に配備されているヘリの「スーパースタリオン」の飛んでいける距離からすると、沖縄だと届くけど、韓国、グアムや日本本土にあると届かないから、といったようなことのようです。
具体例としては、特殊部隊による攻撃といった事態が想定されているとのことらしいです。なるほど。「有り得ないと言えるのか」みたいな主張をされると、「ないとは言い切れない」としか言いようがないので、まあ、肯定することになりがちではないかと思います。

さて、台湾に攻撃するのがどういった主体なのか、必ずしも明確ではないかもしれませんが、仮想敵として考慮されているらしい中国であるとしますか。中国の特殊部隊が台湾中枢に急襲するよ、というような事態ですね。

どういったシナリオが想定されているのか不明ですけれども、中国側の侵攻部隊がヘリや偽装船などで一気に攻撃するといった事態なのであろうと思いますけれども、その数がどの程度可能なのか、ということが問題になるかと思います。いくら特殊部隊とはいえ、ランボーやシュワちゃんみたいな無敵状態の兵士はそうそういるわけではないので、数的不利はかなり問題となるでしょう。

中国製のヘリの兵士の搭乗数は知らないですが、仮に平均30人としますか。すると、10機でも300人、100機で3000人です。一般的な装備をした歩兵部隊、ということになりますでしょうか。特殊部隊なので、普通の兵士よりも能力が高く、戦闘では圧倒的に有利であるとして、個人間の比較では特殊部隊1人で相手側兵士を10倍倒せるものと仮定します。

中国軍特殊部隊の数:台湾軍=

①100人(ヘリ3~4機程度):1000人
②300人(ヘリ10機程度):3000人
③1000人(ヘリ35機程度):10000人

大雑把にとりあえずこのくらいの数字、というのを考えてみましょう。中国軍特殊部隊の相手にできる数というのは、これくらい、ということになるので、台湾軍の防御がこれを上回る場合には、作戦決行自体が困難になるであろうということは十分考えられるでしょう。特殊部隊が10倍の能力で倒したとしても、台湾軍の数がある程度多くなれば数的不利が明確になってくる、ということです。早期に離脱する計画でもあるなら別かもしれませんが、それは難しい場合も多いのではないかと思えます。


実際に起こったソマリアでの戦闘ではどうであったか、というのを見てみましょう。
モガディシュの戦闘 - Wikipedia

米軍の特殊部隊が参加しており、デルタ・フォース、レンジャー、SEALチーム6等、特殊部隊の代名詞的な有名な部隊が参加していたようです。潜入した兵士数は99人ということで、特殊任務としては、まあそういうものなんでしょうか、ということで、よく判りません。ただ20倍くらいの敵民兵との交戦で殆ど戦闘能力を奪われており、実質的には完敗というかインコンプリートの結果となってしまったわけです。このような過少な戦力で突入すると、いくら特殊部隊の「高性能」な戦力をもってしても、雑魚敵に飲み込まれていってしまう、みたいなものでしょうか。


こうしてみると、沖縄の海兵隊の投入ということについて、いくつかの疑問点が生じます。
ア)台湾軍が排除困難な程の戦力が一気に侵入してくるのか?
イ)侵攻側の数的不利を超える程に特殊部隊の能力が高いのか?
ウ)もし台湾軍が敗北するくらいに侵攻側戦力が強力である場合、海兵隊投入の妥当性はどうなのか?

ア)は上の①~③で示したような問題、ということですね。
中国人は数が多い(笑)ので、特殊部隊が1万人とかそういう膨大な数でやってくる、ということなのでしょうか?確かに、そういうもの凄い数で来た場合には、排除はかなり困難になるかと思いますが、戦闘車両などの装備に劣るのであれば、台湾軍にある戦車がいかに旧式であろうとも(笑、戦車万歳?派には朗報でしょうか)、台湾軍側に有利に働きそうです。他の装甲車両なども台湾側にありますからね。特殊任務というようなことならば、もっと少ない数で仕掛けてくるとは思いますけれども、そうすると、侵攻側の数的不利がより厳しくなっていきますので、台湾軍に分があると見ています。
従って、イ)についても、超人的能力発揮は困難ではないかと考えます。それとも、たった一人の誰かを殺害すれば台湾は一気に崩れる、というような特異な条件でもあるなら別かもしれませんが。将棋の寄せと同じで、王将だけ討ち取ればよい、という条件ならば、可能な作戦とかが考えられるかもしれないので。現実には、そういう可能性は考え難いと思えます。北朝鮮のような独裁政権とかではありませんからね。
ここまでで、簡単に言うと「台湾軍を打破して特殊作戦が成功する可能性が低いのであれば、海兵隊投入の可能性は更に低くなるであろう」ということです。

最後のウ)ですけれども、スーパースタリオンで海兵隊若しくは特殊部隊のような増援を送るということを想定する時、「どの程度の人数を送るのか」「実戦での効果はどうなのか」などが気になります。侵攻側勢力が台湾軍を蹴散らす程に強力であると、その戦力に対する海兵隊の投入が逆に過少戦力となってしまうのではないのか、という疑問があるわけです。まさにソマリアでの敗北の如く、侵攻側戦力がうじゃうじゃいる中に海兵隊を送り込んでどういう意味があるのか、というようなことです。台湾軍は数万人規模で存在しているようですので、これで対処できないような戦力とかということになると、ごく少数の海兵隊が行って「何ができるのか」ということは思いますよね。1機55人を乗せて行くとして、10機でも550人しか運べませんから。沖縄には16機くらいの配備があるかもしれませんが、仮にその全部を投入しても880人です。台湾軍の1万人とか2万人と比べて、どうなんでしょうか?しかも、侵攻側戦力がこうした台湾軍をものともしない戦力を持つのであれば、そこにたったの数百人を急いで送り込むことがどれだけの効果を生むのでしょうか?


まあ、仮想で考えることはいくらでも可能ですし、戦闘というのは時として思わぬ方法とか条件とか、そういうので結果がひっくり返ることはあるので、「絶対にない」とか「安全だ」とか断言するわけではありません(仮想の戦記もの?みたいな小説だとか何とかは少なくないみたいですし。関係ないか、これは)。
そうした事態の危険性と受ける不利益との比較考量ということになるので、「リスクは受け入れられない」という主張をするのであれば、こちらからそれを止める術はありませんな。ひょっとすると、そういう人は、言うなれば「1億個に1個の不良品も認めない」というような発想の持ち主であるのかもしれません。或いは、「飛行機は墜落するので乗らない」というようなことですな(笑)。どんなリスクも許容できない、というのと近いと思いますけど。
あれだ、ガードマンを家の周りに並べておかないと不安で不安でたまらない、みたいなのも一緒ですかな(参考記事)。


「台湾にヘリで海兵隊を送ることができる」ということの為に、沖縄に海兵隊を置く必要性があるとは、到底考えられませんな、個人的には。




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