週刊東洋経済に掲載された大竹先生の論説を全文コメント欄にご紹介頂いたのですが、問題があるのではないかと考え、管理人の判断で削除させて頂きました。全文掲載の問題と、若干不適切な誹謗が含まれており、その可否について、問題が発生してはいけないかな、と考えたもので。
きっと、立ち読みしか出来なかった私に「全文を」とのご配慮を頂いたものと思いますが、大竹先生のブログでの池尾先生との議論の範囲を出るものではなかったので、基本的には大竹先生のブログ記事を読むのとほぼ同じではなかろうか、と思っています。
頂いているコメントには、後ほど記事に追加したいと思いますが、取り急ぎ。
今、ちょっと時間がなくて・・・・申し訳ありません。
追加です。
前の記事のコメントに少しお答えしたいと思います。
まず私は「まさくに先生」ではありません(笑)。「まさくに」とは仮名であり、教育・研究関係の職業でもありませんので、先生なんかではありませんので。
論点については、以前に書いた記事にある程度書いていますので、挙げておきます。
消費者金融市場の貸出金利は「リスクを正確に反映する」とは言えない・2
世の中全般で見れば、「預貯金」のない層という人たちが存在するというのも、やむを得ず借りねばならない状況ということも理解はしております。例えば報道されている、単身世帯を除いた調査などでは、金融資産のない世帯が2割超であるということも知っております。単身世帯を含めると、恐らくその数はもっと増えるかもしれませんね。合理的に選択した結果、貸金から借りている、ということも有り得るでしょう。ただ、その割合とか、実数がどの程度なのか、というのが問題になってくると思います。
どうしても借りなければならない時、初期借入を行うのが貸金である必要性というのはないと思います。探すのが面倒だから、とか、手っ取り早く借りたいから、とか、クレジットカードが持てるまでは時間がかかるから、とか、いくつか理由があって、貸金を選択するということは有り得るかもしれません。それが、圧倒的多数かどうかは定かではないと思いますけれども。また、本当に低金利業者からの借入を断られるという可能性も有り得るかもしれません。
では、断られる理由というのは何があるのか、ということになりますが、職業等の個人の属性が影響しているとか、収入基準とか、そういった審査基準があるのかもしれません。が、借入がゼロで、これまでの事故情報もない人が、果たしてどの程度断られるでしょうか?銀行やノンバンクが貸さない、クレジットカードも発行されない、ということは、それほど多いのでしょうか?とても急いでいるから、ということがあるのかもしれませんが、大多数が最初に断られるというのを想定するのは困難かと思います。
合理的に借入を行っている借り手であれば、
①金利水準について熟知している
②グレーゾーンが任意であるということを知っている
③他の低金利業者の存在や金利差を熟知している
④自分が行う借入の返済期間や返済総額・一回返済額について理解している
ということがあると思います。これらの要件について比較検討した結果、合理的にある貸金業者を選択する、ということになるでしょう。
更に、貸金業者の中で、例えば14~25%という範囲の社内金利を持つ大手貸金業者を選択せず、社内金利が26~29.2%という別な準大手貸金業者を選択する理由というのは、あまりなさそうです。自宅の近くにその支店があって、大手が選択できない、などといった理由なら有り得ますが、割合から言えばそういう場合はかなり少ないでしょう。ATM利用等は大手はカバー範囲が広く、サービス面で劣っているということは少ないであろうと思えるからです。現実には、高い社内金利を適用している準大手業者を1社目に選択している人たちは存在しています。この人たちの大多数が、金利差を知った上で、敢えて高い金利の業者を選び、その特別なサービスを求めたということになりますね。
上記①~④を満たす借り手というのは、とても少ないだろう、というのが私の推測です。多額の返還費用が発生しているのも、その顕れではないかと思えます。実際には、自分で理解していたのに、知らなかったフリをして「返還を申し出ている」ということを言えなくもないかもしれませんが、そうであれば初めから「任意の利払い」には応じたりしませんよね。合理的な借り手であれば、「借入に関する取引ルール」については十分知っているはずだろう、と思います。
借金をすること自体が非合理的である必要性などなく、クレジットカードで買い物をしている人たちはそれこそたくさんいますよね。私の記事には、借金をすることが非合理的な行動である、というようには書いてはいないと思います。記事中には、他の借入先を選ぶことが多いのではないかということを書いていますが。
既に銀行カードローンやクレジットカードからの借入がいくつにもなってしまい、残りは貸金しか借りられない、という人はいると思いますが、この人は貸金に行く時点で多重債務ですね。そういう人ばかりが1500万人とか2000万人もいるということでもないでしょうし、年収300万円とか400万円とかで、他に借入がないのにノンバンクや銀行カードローンが信用力不足で借入不可能という人はどれほど存在するのでしょうか?
もしも合理的な借り手が圧倒的多数であるとしても、「返済リスクに応じた金利設定」ということの説明にはなりません。業者間の結構なコスト差があることは疑う余地は少なく、高い金利を適用している業者について言えば、高コスト体質であるというのは言えるかと思います。リスクが高いから金利が高い、ということ以上に、コスト率が高いから、ということの方が多いのではないかと考えています。
続いて、×4さんへの回答です。
「借りなければ生活できない人たち」は、基本的に公的融資制度の利用を促すべきかと思います。金利増大には耐え切れないのであれば、そもそも借入の妥当性というのが問題になると思います。大竹先生は、借入を行った後に失業等で返済困難になった人たちは、生活保護を充実させるべき、というようなことを述べていましたが、それだと生活資金として給付した現金が貸金への返済に回されるだけになり、行政が貸金に金を回しているようなことと同じになってしまうので、あまり望ましくはないと思います。生活困窮で多重債務に陥った人に行政の援助を、というのは根本が違っていて、貸金から借入する前に、まず生活資金等の手当てを行政側に求められるようにする方がいいのではないかと思います。
朝日新聞の記事の方は、独力で訴訟を提起して全勝した方ですね。弁護士費用もないので、図書館で勉強したり、立ち読みしたり(私も同じだ・・・)して、勝ち取ったので凄いと思いますし、これまでどうにか返済を継続してきた、というのも、本当に凄いと思います。このような地獄の淵から生還という事例は、まず滅多にないのではなかろうか、とも思います。
上限金利問題が出てくるまで、私はグレーゾーンなどというものが存在するとは思いもよらず、全く知りませんでしたし。ただ、クレジットカードなんかの金利が凄く小さく書かれていて、かなり高い金利だな~くらいにしか知らなかったもので。それに、リボ払いを選択したことがないし、貸金の返済システムを調べたら、それが案外と複雑だし業者により異なるので驚いた、というのが本音です。
きっと、立ち読みしか出来なかった私に「全文を」とのご配慮を頂いたものと思いますが、大竹先生のブログでの池尾先生との議論の範囲を出るものではなかったので、基本的には大竹先生のブログ記事を読むのとほぼ同じではなかろうか、と思っています。
頂いているコメントには、後ほど記事に追加したいと思いますが、取り急ぎ。
今、ちょっと時間がなくて・・・・申し訳ありません。
追加です。
前の記事のコメントに少しお答えしたいと思います。
まず私は「まさくに先生」ではありません(笑)。「まさくに」とは仮名であり、教育・研究関係の職業でもありませんので、先生なんかではありませんので。
論点については、以前に書いた記事にある程度書いていますので、挙げておきます。
消費者金融市場の貸出金利は「リスクを正確に反映する」とは言えない・2
世の中全般で見れば、「預貯金」のない層という人たちが存在するというのも、やむを得ず借りねばならない状況ということも理解はしております。例えば報道されている、単身世帯を除いた調査などでは、金融資産のない世帯が2割超であるということも知っております。単身世帯を含めると、恐らくその数はもっと増えるかもしれませんね。合理的に選択した結果、貸金から借りている、ということも有り得るでしょう。ただ、その割合とか、実数がどの程度なのか、というのが問題になってくると思います。
どうしても借りなければならない時、初期借入を行うのが貸金である必要性というのはないと思います。探すのが面倒だから、とか、手っ取り早く借りたいから、とか、クレジットカードが持てるまでは時間がかかるから、とか、いくつか理由があって、貸金を選択するということは有り得るかもしれません。それが、圧倒的多数かどうかは定かではないと思いますけれども。また、本当に低金利業者からの借入を断られるという可能性も有り得るかもしれません。
では、断られる理由というのは何があるのか、ということになりますが、職業等の個人の属性が影響しているとか、収入基準とか、そういった審査基準があるのかもしれません。が、借入がゼロで、これまでの事故情報もない人が、果たしてどの程度断られるでしょうか?銀行やノンバンクが貸さない、クレジットカードも発行されない、ということは、それほど多いのでしょうか?とても急いでいるから、ということがあるのかもしれませんが、大多数が最初に断られるというのを想定するのは困難かと思います。
合理的に借入を行っている借り手であれば、
①金利水準について熟知している
②グレーゾーンが任意であるということを知っている
③他の低金利業者の存在や金利差を熟知している
④自分が行う借入の返済期間や返済総額・一回返済額について理解している
ということがあると思います。これらの要件について比較検討した結果、合理的にある貸金業者を選択する、ということになるでしょう。
更に、貸金業者の中で、例えば14~25%という範囲の社内金利を持つ大手貸金業者を選択せず、社内金利が26~29.2%という別な準大手貸金業者を選択する理由というのは、あまりなさそうです。自宅の近くにその支店があって、大手が選択できない、などといった理由なら有り得ますが、割合から言えばそういう場合はかなり少ないでしょう。ATM利用等は大手はカバー範囲が広く、サービス面で劣っているということは少ないであろうと思えるからです。現実には、高い社内金利を適用している準大手業者を1社目に選択している人たちは存在しています。この人たちの大多数が、金利差を知った上で、敢えて高い金利の業者を選び、その特別なサービスを求めたということになりますね。
上記①~④を満たす借り手というのは、とても少ないだろう、というのが私の推測です。多額の返還費用が発生しているのも、その顕れではないかと思えます。実際には、自分で理解していたのに、知らなかったフリをして「返還を申し出ている」ということを言えなくもないかもしれませんが、そうであれば初めから「任意の利払い」には応じたりしませんよね。合理的な借り手であれば、「借入に関する取引ルール」については十分知っているはずだろう、と思います。
借金をすること自体が非合理的である必要性などなく、クレジットカードで買い物をしている人たちはそれこそたくさんいますよね。私の記事には、借金をすることが非合理的な行動である、というようには書いてはいないと思います。記事中には、他の借入先を選ぶことが多いのではないかということを書いていますが。
既に銀行カードローンやクレジットカードからの借入がいくつにもなってしまい、残りは貸金しか借りられない、という人はいると思いますが、この人は貸金に行く時点で多重債務ですね。そういう人ばかりが1500万人とか2000万人もいるということでもないでしょうし、年収300万円とか400万円とかで、他に借入がないのにノンバンクや銀行カードローンが信用力不足で借入不可能という人はどれほど存在するのでしょうか?
もしも合理的な借り手が圧倒的多数であるとしても、「返済リスクに応じた金利設定」ということの説明にはなりません。業者間の結構なコスト差があることは疑う余地は少なく、高い金利を適用している業者について言えば、高コスト体質であるというのは言えるかと思います。リスクが高いから金利が高い、ということ以上に、コスト率が高いから、ということの方が多いのではないかと考えています。
続いて、×4さんへの回答です。
「借りなければ生活できない人たち」は、基本的に公的融資制度の利用を促すべきかと思います。金利増大には耐え切れないのであれば、そもそも借入の妥当性というのが問題になると思います。大竹先生は、借入を行った後に失業等で返済困難になった人たちは、生活保護を充実させるべき、というようなことを述べていましたが、それだと生活資金として給付した現金が貸金への返済に回されるだけになり、行政が貸金に金を回しているようなことと同じになってしまうので、あまり望ましくはないと思います。生活困窮で多重債務に陥った人に行政の援助を、というのは根本が違っていて、貸金から借入する前に、まず生活資金等の手当てを行政側に求められるようにする方がいいのではないかと思います。
朝日新聞の記事の方は、独力で訴訟を提起して全勝した方ですね。弁護士費用もないので、図書館で勉強したり、立ち読みしたり(私も同じだ・・・)して、勝ち取ったので凄いと思いますし、これまでどうにか返済を継続してきた、というのも、本当に凄いと思います。このような地獄の淵から生還という事例は、まず滅多にないのではなかろうか、とも思います。
上限金利問題が出てくるまで、私はグレーゾーンなどというものが存在するとは思いもよらず、全く知りませんでしたし。ただ、クレジットカードなんかの金利が凄く小さく書かれていて、かなり高い金利だな~くらいにしか知らなかったもので。それに、リボ払いを選択したことがないし、貸金の返済システムを調べたら、それが案外と複雑だし業者により異なるので驚いた、というのが本音です。
どういう仕事をされた経験をお持ちなのか、鋭い洞察力が、ひとつの推察からわかります。
「生活保護を充実させるべき.....それだと生活資金として給付した現金が貸金への返済に回されるだけになり、行政が貸金に金を回しているようなことと同じ」
実際の話ですが、破綻したなかには生活補助金を受けている債務者が、貸金返済にあてて、破綻しているケースが多いのです。
経済学者は、事実評価をするにあたり、事実認識を正しくする必要があるでしょう。
貸金業に関する多くの経済学的コメントは、破綻した多重債務者、毎年60万人ほどを対象としているのか、破綻しないで所得のなかで払えている800-900万人を対象にしているのか、それとも支払能力を超えて返済のために借りる多重債務者250万人を対象にしているのか、見えてきませんし、対象集団が定義されていません。
そんな経済学的評価による債務者分類から、何を得られるでしょうか。
事実認識がかけていませんか。
ただしい現実認識を欠いた経済学的解決策が、現実に機能しないのは、いうまでありません。
もっともそうだからこそ、いくら議論されても、立法の事前検討で取り上げようがない。
といって、一部の懇談会メンバー学者のいうようま議論が尽くされたということは、いえない。破綻者の状況しか議論されていなかったでしょう。
例えで考えるかとわかりやすいかと思います。
まずはわかりにくい例えから、優秀な方がやすいお給料で働いていたとします。まわりの方はもっといいところを探したほうがいいんじゃないのか?なんて勝手に心配するかもしれません。ただ、本人は世の中に待遇のいい会社があることはわかっていても、そういった企業にめぐり合うためには、それなりに時間をふくめたコストがかかることを知っています。そういった時間を使うくらいなら、適当なところで妥協して働いたほうがいいと思って働いているのです。経済学では「サーチコスト」の例としてよく使われます。
次にわかりやすい例えを。なぜ割引をしない定価主義のコンビニが繁盛して、安売り大好きなスーパーが苦戦するということが起こるのでしょうか?人々が合理的ではないからでしょうか?この問題がわかれば、貸金業におけるまさくにさんのお考えも変わるのではないでしょうか。
多くの経済学的な反論は、自殺するほど追い込まれている方は気の毒だがそれはそれで個別に対応をするべき問題であって、そういった方は金利規制をするという手段では救われないと考えています。不当な金利規制は闇金融を産み出す副作用もあります。ただ、なにより心配しているのは、不当な金利規制により、便利なサービスが利用できなくなるということなのです。サービスを供給したい人がいて、利用したい人がいるのに政府がそれを規制してもいいのかということです。まさくにさんは小泉改革がお好きなはずですよね。これが理解できないはずはないかと思います。どうせ金利規制をしたぐらいではへこたれない、すくいようのないごく一部のもののために全体のマーケットが殺されて人々の利便性が犠牲にされていいのかという問題なのです。
まさくにさんのおっしゃっていることは、合理的な人間はコンビニの商品は高いから、安売りをしているスーパーで節約をするはずということなのです。ただ、コンビにはそれなりに便利だから(場所がよく、品揃えがタイムリーで、コンパクトな売り場でなどなど)高くても利用されているのです。そして金利規制というのは、例えれば、「スーパーの安売り品を利用せずにコンビニの高い商品ばかり買ってよい生活ができずに困っている人がいるから、コンビニもスーパーと同様安売りをするように価格規制をすべきだ」ということと同じです。そんなことしたらコンビニのビジネスモデルはうまくまわらず、コンビニはたくさんつぶれるでしょうし、いつもコンビニを使っている人間としては非常に迷惑な話なわけです。
自分でもすごくよい例えが見つかったと思っておりますが、これで経済学的な考え方がお分かりになられたでしょうか?
金融庁は考えた。そしても議員も賛同した。
悲惨な多重債務の原因は、金貸しの態様だと。
貸すのが悪い。貸さぬが親切と、堂々と増原議員は主張する。
弁護士の多くが、多重債務者をどうせ倒れるんだから、金額が膨らまないうちに、早期に処理したほうがよいと。
金利規制で失われるサービス自体が、制度的濫用を招いている。
グレーゾーンの恩典を長く維持するために、業者は、貸増して、しかも月の約定返済率を下げて、5年でも完済できないようにして、多重債務者を生んでいる。
多重債務の元凶は、グレーゾーンだと。
これがなくなれば、利益性がおちて、無理には貸さなくなる。
無理にはとは、信用セグメント貸倒率が10%を超えるような債務者には、貸さないという意味。
1000万人の利用者がいて、そもそも100万人もいたとしたら、非常識な市場だろうに。
(実際には、250万人の多重債務者の貸倒は、12-14%とも言われているが)
これは多重債務者をつくらない社会的予防措置である。
制度には費用と犠牲はつきものだ。
しかしそもそもが、審査もなく安易に、貸し付けても、貸付規模1兆円そこそこで、800億円どころか、1000億円の利益がでてやっていける経営環境こそが、制度的濫用をうんでいるのだ。
制度とかした過剰貸付マシーンは、効用をはかるどころか、社会的弊害を生んで、公害防止策がうたれないと、その動きは止めようがない。
それも経済活動で、制度的濫用といっても、利用が禁じられない、違法でない以上、仕方がない。
国家が、消費者金融に依存しなければならないような一部の低所得者などに限り、個人につましい生活を強要し、多重債務になるのを予防するための、グレーゾーン禁止法が費用というより、救済策であり、営業に対する社会的制約に過ぎないのではないでしょうか。
もはや金利を下げる下げないという議論でなく、下げるのは決まっているのですから、その影響をどのようにお考えになりますか。
抗生物質を飲んで、悪い菌を殺してしまうので、何が起こっても仕方がないと考えるか、そうでないと考えるか。救済はいるのかいらないのか。
週刊東洋経済今日発売号の記事をどうみますか。