リーグトップの.275に708得点と、今季もロッテのマリングリング打線は破壊力抜群でした。
昨年に比べて数字以上の手応えがあったのは大量得点の翌日に抑えられるといったことが少なかったからだと思われ、このあたりに質の向上が感じられます。
克服をした課題もあればそうでないものもありますが、着実に進化をしていることだけは間違いないでしょう。
やはり打順を固定したことが一番だと、そう考えます。
昨年までことある毎に指摘をしてきましたが、やはり自分に何を求められているかが分かったことで選手の自意識が高まったのだと見ています。
昨日は9番、今日は5番では選手はただバットを振るしかないのは当たり前の話で、役割をしっかりと認識をした選手たちのスッキリとした表情が印象的とは言い過ぎかもしれませんが、立ち位置が明確になったことを歓迎するコメントが多かったことは見逃せません。
選手たちもやはり戸惑っていたのだなと、改めて感じています。
あまり型にはめるのもどうかとは思いますが、猫の目打線の限界は明らかでしたのでこの変化を歓迎します。
一方で打線の固定は長い目で見ればマイナスだと、行き過ぎた主力主義には反対です。
レギュラーがしっかりとしているチームは強いのですが、かと言ってフルイニング出場へのこだわりは弊害になりかねません。
アンタッチャブルな井口だけではなく金泰均やサブローなどは点差が離れた試合であれば控え選手との交代はあってしかるべきだと考えますが、実際は塀内が一塁の守備要員として出番をもらったのがせいぜいでした。
その塀内は昨年のプチ覚醒がフロックかどうかの確認すらできませんでしたし、出場機会が限られた根元の伸び悩みは深刻です。
かと思えば結果を残せない竹原をしぶとく使い続けるなど偏りのある起用には不信感すらあり、何がしたいのかが見えなかったのが正直なところです。
ただでさえ野手については頭数が少ないところへ限られた選手で戦う高校野球チックな人事では選手層の薄さが改善をするわけもなく、来季以降に大きな課題を残しました。
私は堅実に1点を取りに行く野球を好みますので、バントは攻撃の要だとすら考えています。
ですから無死で走者が出た場合は常にバントで送るべきだとまでは言わずとも、その姿勢は持って欲しいと思っています。
この点ではレギュラーシーズンについて言えば昨年までと変わらず、期待をしたものとはなりませんでした。
荻野貴や今江など特定の選手にしかバントのサインを出さず、効率的な得点ができたとは言いがたいものがあります。
金森打法の好影響か四球が増えたことで総得点は増えましたが、残塁病が目立ったこともまた事実です。
このあたりはバントを多用したポストシーズンでの采配が特別なものにすぎなかったのか、あるいは変化の兆しであったのかが注目の2011年になることでしょう。
序盤のヒーローは荻野貴でした。
辛抱強く紅白戦から西村監督が使い続けたことで徐々に打撃の調子を上げて、開幕とともに一気にブレイクをしました。
コンパクトに振り抜いた打球は面白いようにヒットゾーンに飛び、俊足を活かした守備や攻撃的な走塁でロッテを首位に引っ張り上げたことは衆目の一致するところでしょう。
しかしその攻撃的な走塁が結果的に故障に繋がったことは不幸なことであり、腫れがまだ引ききらない現状を考えれば来季も厳しいかもしれません。
それでもチームにとって欠かせない選手であることは間違いありませんから、焦らずにじっくりと完治を目指してもらいたいです。
そしてシーズンを通してのヒーローは、もちろん首位打者に200本安打を達成した西岡です。
あれだけ痛い痛いと欠場の多かった西岡がキャプテン就任により人が変わり、全試合フルイニング出場をしたのですから驚き桃の木山椒の木です。
パワーをつけた代償として失ったと思っていたスピードスターの称号も、シーズン終盤には盗塁の数を重ねて堂々たる復活宣言をしました。
なぜに終盤まで盗塁をしなかったのかは分かりませんが、走ってこその西岡ですから喜ばしいことは言うまでもありません。
ポスティングでチームを去ることが濃厚になりつつあるのが悲しいのですが、今季の頑張りに心から感謝の意を表したいと思います。
その他にも今江、井口、金泰均、大松、サブロー、福浦、里崎など頑張った選手は数多いですが、個々の選手については別の稿に譲ることとします。
期待通りだった選手、そうでなかった選手など悲喜こもごもではありましたし、左対左神話に翻弄もされましたが、それでも1軍で試合に出られただけでもマシでしょう。
その出番すらほとんど与えられなかった選手のことを考えれば不憫でしかなく、不幸にして荻野貴や早坂などが故障をしなければ日本シリーズで優秀選手賞に輝いた清田ですら30試合も出られたかどうかが分からないのが今季の選手起用でした。
このあたりはいろいろと事情もあるでしょうが、やはり使わなければ育たないことが清田で実証をされたと思いますので、来季こそは澱みのない人事を願ってやみません。