電脳筆写『 心超臨界 』

他者の働きによるのではなく
自ら他者に尽くすことにより成功をつかめ
( H・ジャクソン・ブラウン Jr. )

真理のひびき 《 報償を目的としたり恩に着せる心もちで為される言行は――中村天風 》

2024-08-03 | 03-自己・信念・努力
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  [箴言七]

  報償を目的としたり 恩に着せる心もちで 為される言行は
  真の誠意でもなく 又親切でもない
  It cannot be defined as a real sincerity nor kindness of man, if he
  says or acts for others with an objective to receive some compensation
  or an intention to lay them under obligation.


『真理のひびき』( 中村天風、講談社 (1996/7/18)、p68 )

英国の格言の中に、“Emolument is no object with me.”(報酬は私の目的ではない)というのがある。が、この格言の意味もまた、前掲の箴言の意味と同様の考えを提示しているということはその字句で充分理解できると思う。

要は、人と人との世界に活きるお互い人間は、どんな場合にも、お互いの間柄を、天風教義のディクラレーション(宣言)にも宣言してある通り、常にいかなる場合にも、偏(かたよ)りのない公平で美しい愛情と、真の誠実さを心として尊い思いやりで助け合うという、いわゆる文字通り親切本位で共に活きることが最高の理想であらねばならない。

しかも、それを真に現実化するには、要するに、私心のない言行が、何をおいても必要とされる。

そしてこの先決的な要訣(ようけつ)である私心なき言行とは、報(むく)いをあてにしたり、自己の言行を相手に恩着せがましく思わせようとするのでは、その意味がまったくなくなってしまう。

禅家の訓(おし)えの中にも、施して報いを求むることなかれ、というのがある。

また有名な処世修養の要道を説述してある明の時代の中国の名著といわれる『菜根譚(さいこんたん)』の三十三節にも、

  ○放得功名富貴之心下 便可脱凡
  (功名富貴の心を放ち得下して すなわち 凡を脱すべし)

というのがある。

この語は詳しくいえば、人間がこの世に活きる要訣は、みだりに功名や、富貴の慾望に心をとらわれないということである。そうすれば、健康も長寿もさらに幸運も、求めなくても当然のように恵まれる真人となり得るという、峻厳なる宇宙真理を喝破したものなのである。

『菜根譚』という訓話集は、今の中国が明といわれた時代に、明人の洪応明(一説には洪自誠ともいう)なる人が著述したものと伝説されているが、いずれにしても、遠い数百年前の時代において、すでにこの侵すべからざる人生に絡まる宇宙真理を、正確に霊感した哲人のいたことは、まことに尊いことであるといわねばならない。

そもそも宇宙真理なるものは、断然絶対の実在である。

多く語るまでもなく、絶対のものは、いかに時勢が変遷し、どんなに世相が変移しても、不変不易(ふへんふえき)のものである。

だから、経済機構という厳しい枠の中に活きることを余儀なくされている現代のような物質偏重の時代であっても、人生の根本哲理は、自我を本位としない生活こそ真の人間に与えられた最高至純の合理的なものであるということに、何の変わりもないのである。いいかえれば、人間は無私無我の生活を本位として活きてこそ、本当の人間としての幸福――健康と長寿とよき運命――を求めなくても恵まれるというのが、この世ある限りいささかも変わることのない。人生に賦与(ふよ)されている宇宙真理なのである。

多くいうまでもなく、事実は最後の証明者として、無言の雄弁をもってこれを立証している。

現に功名富貴の欲求に汲々(きゅうきゅう)たる人々を見てみよである。彼らは常に、真の健康を満喫することができず、心ならずも医薬のとりことなり、したがって長寿などということは、願っても得られず、さらには、どんな場合にも幸運に安住することができず、四六時中その慾望にその心は引きずり回されているという憐れな状態で貴重な人生を価値なくしている。

そしてその結果、強さ、長さ、広さ、深さという、人生に欠くことのできない四大条件のことごとくが、徹底的にスポイルされているのである。

然るに、何と情けないかなと言いたいくらい、現代人の多くは、この文化の時代に生まれながら、この自明の哲理を自覚できずに、やれ生存競争に負けてなるものかとか、人生は富貴と名声にありとか、またはやれ享楽こそ真の人生だとか、極めて浅薄なドグマ(教義)の弁解と口実とで、ひたすらに、自己本位に基づく唯我の生活に努力することが、二度と繰り返しのできないいのちに対する間違いのない活き方であるかのように履(は)き違えている。

しかも、こうした無自覚な人生生活をあえてする人が、少しでもその数を減らさぬ限りは、世相も時勢も断じて好転することはできず、したがって、心ある人々が熱烈に渇望している真の平和の世界などというものは、とうてい実現不可能な夢の世界のものでしかないことになり終わる。

ところが、当然こういう真理を知っているべきはずの政治家や学者や宗教家が、概してこうした消息に無自覚で、あえてなおかつ自我本位の生活を平然として行っている人が多いという実状である。

したがって普通人においては、むしろ欲求に汲々と心を燃やし、それを獲得することに他を排しても努力することが、人生の心の幸福と恵みをわがものにするための当然の手段であるように思い込んでしまっているのも無理もないことともいえるが、いずれにせよ、このようにみてきたとき、なんともいえない嘆かわしさに、かりにも済民救世(さいみんきゅうせい)を意図するわれらは、ただただ形容のできないさびしいものをさえ心に感じるのである。

私がかつて大患に冒されて後、人生真理の探求に志して求道の放浪生活を敢行した際、最後の正念自覚を獲得したインドにおいてのカルマ・ヨガの研鑽と践行に熱中していたとき、恩師の聖哲から、

「これはシェイクスピアの言葉だが、すこぶる玩味(がんみ)すべきものがあるから、これをダーラナ(安定打坐法)を行いながら正しくその真意を捉えてみるがよい。そうすれば必ずや現在の汝(なんじ)の病患の恢復(かいふく)の遅い理由が自然と判然するから」

といわれて、終わりに添記してある一つの章句を口誦(こうしょう)された。

そこで師のいわるるままに、ダーラナを行うときに、この章句を公案としてその真意を感得することに一生懸命観念集中を行って、次第次第に、自分の病患の恢復がはかばかしくないのはあまりにも自我に即した妄念(もうねん)が終始心の中で葛藤(かっとう)を起こしていたため、天から生まれながら賦与されている自然良能力の発動を阻止妨害していたからであるということが、漸次に自覚されてきた。

そこで、それから以後は「空」に徹する心を堅持することにひたむきに努めたところ、執着から離脱した無我の心が宇宙エネルギーから甦(よみがえ)えりの力(ヴリル)を多分に収受することとなって、文字通り厚紙を剥がすように、全体生命に驚くべき活性がみなぎってきたのである。

そして、そのすべての結果が、現在皆さんが目のあたりに見らるるごとき、われながら不思議に思うほど真の健康生命を、ただ単に肉体のみならず、精神生命にも創り出すことができたのである。

したがって、こうした尊い事実を体得したということが、よりいっそうこの箴言を作った強い理由を為しているのである。

であるから、そのつもりで皆さんもこの箴言の真意を心に体して、真人としての純正生活に徹せられたいと熱奨する次第である。

終わりに、参考のため、天風が悟入正念(ごにゅうしょうねん)することのできたシェイクスピアの章句と、自作の格言とを添記するので、どうか充分省察して、その真諦(しんてい)を把握されるよう念願する。

「慈悲というものは強(し)いらるべきではない。慈雨のように天からこの大地へ降りそそぐものだ」――シェイクスピア

「真の人生生活は、自己のためだけでなく、人類すべてのためにある」――天風哲人
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