電脳筆写『 心超臨界 』

限界も恐怖と同じでしばしば幻想なのである
( マイケル・ジョーダン )

人間学 《 企業の麻疹――伊藤肇 》

2024-06-20 | 08-経済・企業・リーダーシップ
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人間が一度は麻疹(はしか)をやらねばならぬと同じように、企業にも必ず通らねばならぬ四つの関門がある。いうなれば「企業の麻疹」みたいなもので、これを一通りやった企業は非常に強い体質となり、ちっとやそっとの雨や風ではびくともしない。しかし、その中の一つでもやっていないと、何時の日か「麻疹」を経験しなければならぬということで要注意となる。


『人間学』
( 伊藤肇、PHP研究所 (1986/05)、p56 )
第2章 人品骨柄の人間学

◆企業の麻疹(はしか)

范蠡(はんれい)が指摘したように、必ずしも「長頸烏喙(ちょうけいうかい)」の男でなくとも、「与(とも)ニ患難ヲ共ニスベキモ、与(とも)ニ安楽ヲ共ニスベカラズ」の原則は一般にも通用する。

早い話が、人間が一度は麻疹(はしか)をやらねばならぬと同じように、企業にも必ず通らねばならぬ四つの関門がある。いうなれば「企業の麻疹」みたいなもので、これを一通りやった企業は非常に強い体質となり、ちっとやそっとの雨や風ではびくともしない。しかし、その中の一つでもやっていないと、何時の日か「麻疹」を経験しなければならぬということで要注意となる。また「麻疹」は幼いうちにすませておけば軽くてすむが、年齢(とし)をとってからかかると、そう簡単にはいかない。企業においても同様である。

麻疹の第一は「赤字」である。

初めから儲かって、儲かって、笑いがとまらぬ事業などというものはあるはずがない。

スタート時には赤字の累積で夜逃げでもしたくなるような辛い思いを何度も経験しなければならない。そうでないと会社に筋金が通らないのだ。

財界不倒翁といわれる日本化薬会長の原安三郎が「百万円儲けたという経験は、将来、その人が十億円儲ける経験にはならないが、若いうちに1千万円損した経験は、むしろ、将来、十億円を得る貴重な経験となる」と喝破しているのは、まさしく、その辺の呼吸である。

やっと赤字が解消し、蓄積ができはじめると、今度は税務署に狙われ、特別調査や査察をやられ、さんざんしめあげられたあげく、体験を通じて、税務対策の「虎の巻」を会得し、日本ミネチュアベアリング会長の高橋高見のように、「夜、ねる前に静坐し、今日一日いかにしたら30万円の節約ができるかを思案し、妙案が出ない限り、寝につかない」という強(したた)かな経営者に成長する。

麻疹の第三は「深刻な労働争議」である。

恋を失うことによって、はじめて恋の本質がわかり、戦に敗れて、やっと戦争の悲惨さがわかると同様に労働争議も労使ともども、生きるか、死ぬかのギリギリの場に追い込まれた時、争議の愚劣さが身にしみてわかる。つまり、2、3日、ストをぶって賃金をあげて、やめた、というのでは労使ともに損が身にこたえない。瀕死の重病をやってみないと生き返った喜びがわからないのと同じである。そして、労使ともにヘトヘトになるまで争議をやった結果、きわめて簡単な一つのことがわかるのである。それは、ストライキをやるくらいなら、いくら時間をかけても話し合いで解決したほうが得だ、という一事だ。

日産自動車、追浜工場の「相互信頼の碑」には「闘争の嵐が吹きすさぶ憎しみの泥沼には、幸福の青い鳥は飛んでこない」とあるが、深刻な労働争議の経験から滲み出した箴言だけに迫力がある。

麻疹の第四は「お家騒動」である。

「赤字」「脱税」「争議」と「患難ヲ共ニシテ」それらを克服したあと、最後にくるのが「お家騒動」である。

これは意外に企業が赤字で苦しんでいる時よりも、えてして、儲かっている時のほうが起こりやすい。山崎製パンの内紛などはその典型的な例だが、何もかも安泰になってくると「与(とも)ニ安楽ヲ共ニスベカラズ」ということになってくるのである。
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