電脳筆写『 心超臨界 』

人生の目的は目的のある人生を生きること
( ロバート・バーン )

日本史 鎌倉編 《 「34、5歳からの10年間で、生涯は決まる」――渡部昇一 》

2024-06-24 | 04-歴史・文化・社会
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日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散記事『榎本武揚建立「小樽龍宮神社」にて執り行う「土方歳三慰霊祭」と「特別御朱印」の告知』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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人間の自己実現の段階について世阿弥の考え方は、幼年・青少年の場合はゆるやかで、年取るほど厳しくなる。若いころの才能には、いつも「早熟」の要素が入るので、無理に伸ばしてもいけないし、めざましいことをやってもいつ萎(しぼ)むかわからない、というおそれがある。しかし34、5歳からの10年間の仕事には、もはや早熟の要素がない。このときに駄目なら、その後も駄目だという。


『日本史から見た日本人 鎌倉編』
( 渡部昇一、祥伝社 (2000/02)、p223 )
3章 室町幕府――日本的美意識の成立
――政治的天才・義満(よしみつ)と政治的孤立者・義政(よしまさ)
  の遺(のこ)したもの
(3) 『風姿花伝(ふうしかでん)』――世界に冠たる教育論の誕生

◆「34、5歳からの10年間で、生涯は決まる」

日本は老人社会だと言われ、年功序列の社会とも言われているが、本当の個人の実力からいえば世阿弥の観察が正しいであろう。

戦後アメリカから入ってきたビジネスマンの教訓書も多かったが、その共通したことは、「40までに成功する」ということを一応の目安にしていたことだと思う。40までに「これぞ」というようなことのできなかった人間が、40以後になり、肉体も衰(おとろ)えてきてから大きな仕事をやるということはまずありえぬ、ということなのである。40まで本当の実力、つまり「まことの花」を窮めておかなければ、その後の維持はむずかしい。

人間の自己実現の段階について世阿弥の考え方は、幼年・青少年の場合はゆるやかで、年取るほど厳しくなる。若いころの才能には、いつも「早熟」の要素が入るので、無理に伸ばしてもいけないし、めざましいことをやってもいつ萎(しぼ)むかわからない、というおそれがある。しかし34、5歳からの10年間の仕事には、もはや早熟の要素がない。このときに駄目なら、その後も駄目だという。

学問の世界でも同じことである。24、5から10年以内に学位論文を書いて人が目を瞠(みは)るようなことをする。そこで慢心すればそれでしまいであるが、そこからさらに精進を重ねて、44、5歳までに世間に認められるような仕事をする。そうすれば晩年まで何とかやっていけるであろう。

なぜ34、5から44、5までの10年間が超重大かといえば、この時期になると、過去のやり方もよくわきまえ、これからのやり方も会得するころだからである、と世阿弥は言う。

「さるほどに、上がるは34、5までのころ、下がるは40以来なり」という恐ろしい言葉も出てくる。新潮社版でわずか11行の中に、3度まで、42、3まで天下に許されなければ、そのあとでよくなることはないのだ、と繰り返しているのはいかにも印象深い。

本当はこの年ごろまでは、ただひたすら仕事に没入できるのが望ましく、住宅問題や家庭問題で頭を悩ますことがないようでありたいものである。しかし地価の高騰は、早く土地を買った者が絶対に得をするという鉄則を示したために、仕事志願組にもぐらつきがでてきたのではないか、と思われないこともないが、ぐらついた人が多く出てくれば、ぐらつかない人が頭角を示すだろうということもまた明らかであろう。

その点、日本の高級エリート官僚のあり方は、かなり立派なものではないかと私は最近思うようになってきている。
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