司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

支店の設置!? その3

2010年03月24日 | 株主総会
議事録に記載された支店設置に関する取締役会の議案を見てみますと、結構面白い工夫が凝らされています。

例えば、支社を設置する決議の場合、「法律上の支店とはしない」と言ってみたり、支店を設ける決議の場合、「支店登記は行わないものとする」(←支店じゃないという意味だと思います。)としたり。。。

一応「支店登記をしないんですよね?」程度には確認させていただいておりますが、登記がないのであれば、議案の意味内容とか細かい言葉遣いまで詮索はいたしません。
それでも、「誤解のないようにしておかなくっちゃ!!」というキモチが滲み出ていますよね♪

ただ、そもそも、支店とすべきかどうか、という基準が確立されていない会社では、支店の場合とそうでない場合の実質的な差異について比較検討されているようです。

ワタシとしては、理論上の定義や、実際に支店登記をしている会社はあまり多くないという事情をご説明しています。
また、社会保険や税務関係などでは、支店に該当するかどうかで差異はないようなので、最終的には、会社が支店の実質を有するかどうかを判断するしかないんでしょうね~。。。と申し上げております。
(あんまりオオッピラには言えませんけど)支店の実質を有するかどうかの判断の過程では、支店登記のメリット・デメリットも考慮した方が良いのでは。。。というようなニュアンスのことも言っているかもしれません(^_^;)

でも、以前と違って支店管轄での登記事項が激減し、手間もコストも減りましたよね。対抗力という意味も大分薄くなった気がしますので、それによって支店に対する考え方も多少変わって来るかもしれません。

ハナシはちと変わり、
何ヶ月か前のこと、ある会社さんから支店設置登記のご依頼がありました。
ちょっと変わった案件です。
今までの会社の基準では「支店」ではなかった営業所が、諸般の事情で支店になることになったのだそうです。

他の営業所との整合性もあって、内規の調整も大変だったようなんですが(物理的には何も変わらない状態だったので)、もっと大変だったのは取締役の方々の説得です。
取締役会では「支店を設置する。」ことと「年月日設置する」ことを決議するんですが、「実態が全く変わっていないのに、新規で設置するような決議をするのはオカシイッ!(怒)」とおっしゃる方がいるので、その人々を納得させないと。。。と、担当者様は頭を抱えておられました。

最終的には、もう少し事情を詳しく議事録に書くことにして(取締役の方は内部的な事情はモチロンご存知です)、つまり、内規の変更に伴って支店に昇格みたいなことを説明的に追加して、何とか取締役にもOKをもらい、登記も完了しました。

ことあるごとに、「これだっ!!」というような説明の仕方はないものかな~?と思うんですけどね~~。
ワタシの理解度が低いせいか、イマイチなんです (*_*;
実務と理論を一致させることってムズカシイです。
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支店の設置!? その2

2010年03月23日 | その他会社法関連

実際の支店登記が正しく理解されて行われているか、ということまで突っ込んでみたことはないのですが、支店に該当しそうな組織があるのに支店登記が行われていない会社や、支店なのかな~??(はてな?)という支店登記のある会社が相当数あるように思います。

クライアントの会社さんからも、「当社の支店については支店登記をしなければならないでしょうか?」というご質問がたびたびあります。

ワタシにとっては、いちばんイヤ~なお問い合わせです。
今までハッキリとお答えできた例がありません。

以前(ずぅ~っと前)、知人にそのことを話すと、「支店にしたけりゃすればいいんだよ♪」とアッサリ言われてしまいました (^_^;) (←解決しないんですけど (ーー;) )

とっても乱暴なんですけど、考えてみればそれも一理あるように思えてきたんです。

つまり、支店の実質を有するかどうかは、客観的に判断されるべきものなのですが、その基準は会社ごとに異なると考えられるワケです。
そこで、会社としては、それぞれ、「支店となるかどうかの基準」を設けているように思います。 ここでは、ある程度会社の主観も入ってしまいますが、それは仕方がないということなのでしょうね。

支店であれば、登記の義務が発生しますし、重要書類の備え置きの義務などもあります。その反面、支配人を置くことができますので、本店から独立して取引を行うことが可能になります。 支配人は登記され、必要であれば印鑑登録をすることもできます。

あれこれ考え合わせると、特に大きな会社の場合、「支店の基準」は、支店であることのメリットを享受したいかどうか、も関係するのではないでしょうか?
結局は、支店の実質を備えた機関であるかどうかを判断するのは取締役会ですので、支店設置の決議がない=支店ではない、とするのが実務の運用なのだろうな。。。と思います。

「名称なんて関係ない!」 と言われておりますが、実務では、「支店」「支社」「営業所」などの名称でランク(?)を分けていることも多いようですね。

でも、会社のHPに載っている組織図や、営業所など(連絡先とか地図の案内)と、「法律上の支店」とは、通常見分けがつきません(^_^;)

結局、スッキリとはしないまま、何と!まだつづきます。 

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支店の設置!? その1

2010年03月19日 | その他会社法関連

よく質問があるけど、ワタシ自身もよく分からない。。。という長年のギモンがあります。知っていそうなヒトに質問したこともあるんですけど、結局はキチンとした答えがでない。。。。

難しいんですねぇ~。。。。コレ、支店のハナシです。

会社が少し大きくなってくると、「営業所」 とか、「支社」 とか、「支店」 とか、本店以外の拠点を持つようになります。
でも、そういう会社が支店登記をしているか、というと、そんなことはありません。

日本有数の大企業であれば、当然、本店以外の拠点は何十箇所もありますよね。
じゃあ、支店登記はどうかというと、東京に本店のある会社が大阪だけ支店登記しているとか、その逆とか、支店登記はしていない。。。という会社の方がダンゼン多いと思います。

ただし、金融機関は例外で、「支店」と呼ばれている店舗であれば、必ず支店として登記されています。ですから、銀行の登記事項証明書は、支店区のボリュームがすごいことになってマス。 どうやら、これは銀行法の縛りもあるようでして、ちょっと特別かもしれません。
それ以外でも、業務の内容によっては支店の設置が必須とされている場合もあるようです。こういうのは、対外的に強制されているようなモノなのですけどね。商社なんかも、支店登記の数は相当多いですね。 商社の場合は、海外の支店も結構たくさん登記されているような気がします。

つまり、強制されていない状況で支店登記をする会社というのは、すごく少ないケド、ホントウに支店がないんでしょうか? というのが 本日のお題です。

では、そもそも支店登記の対象となる 「支店」 って、どんなものを指すのか?
ギモンですよね~。
判例では、「本店に従属し、本店と異なる場所に設けられ、一定の範囲の営業についてある程度の独立性を持って営業活動を営むことが出来る人的、物的組織が存在する営業所(最判S39.3.10 判時369号39頁)」と定義されているようです。

そして、「支店」という名称でなくても、支店の実態を持っているのであれば、会社法上の支店である、というのが、理論上の結論です。

でもね~。。。理論と実態は一致しているとは思えないんです。
。。。というわけで、答えの出ないモンダイなのですけど、もう少しお付き合いください。 

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合併契約書の印紙税

2010年03月18日 | いろいろ

合併や会社分割の組織再編のオシゴトの際、念のため確認しているコトがあります。

法律上は特に問題のない些細なコトだとも思えますが、わりと「へえぇ~。。。そうなんですか? 良い事を聞きました♪ 」 と喜んでいただけます。

実務家の皆様には、目新しいことでもないし、現在は常識的なことだと思いますが。。。契約書の作成通数 (印紙税) についてです。

旧法下では、合併契約も分割契約も当事会社の数だけ必要でした。
現在では、法律上は1通でも足りることになっています。

そこで、「契約書の原本は何通作成しますか?」 と確認するようにしています。
最低限にしたい場合は、契約書の末尾は、「本契約を証するため本契約書1通を作成し、甲乙記名押印のうえ、甲が原本を乙はその写しを保有する。」 というような文言にしています。 印紙税は原本1通につき4万円ですので、減らした通数分お徳です。

このことに気付いたのは、会社法施行後初めて合併の依頼を受け、四苦八苦していたトキでした。今もよ~く覚えています。 何たって、依頼が来たのは効力発生日の3日前だったんですから。

会社法では吸収型の組織再編は登記が効力発生要件ではありませんから、その意味では「絶対!」間に合わせないといけない。。。というモノでもなかったんですけど、相当なプレッシャーでした。
で、書類の出来もそれほど良くなくて、恐怖感にかられて半ば徹夜状態でチェックしていたとき、ふと、気付いたんです。


旧法下では、締結済の合併契約書の原本が事前開示書類になっていたのに対し、会社法下では、合併契約の内容を開示すれば足りる。。。ということに。
。。。つまり、契約書の原本を開示する必要があるなら、合併の当事会社それぞれが原本を持っていなくてはいけませんが、内容だけなら原本を持つ必要はないってことになります。

残念なことに、その案件では間に合わなかったんですけどね~。

当事のワタシは、大発見をしたような気持ちでしたが(笑)、同業者の皆さんもきっと気付かれていたんでしょうね~。
ただ、会社のご担当者は、そうそう組織再編に関わることはないでしょうから、印紙税が4万円安くなると聞くと、喜んでくださいます。

合併の場合だと、消滅会社が契約書の原本を持つ意味はあまりないので(どうせ、合併後は1社になるんですから)、グループ会社の合併だと、「存続会社だけが原本を持つ」 ことにするケースが多いです。

会社設立の場合の定款は、電子定款の場合、印紙税が不要となるので、現在では圧倒的に電子定款を選択されます。
合併や分割でも、同じように紙を使わずに契約を締結すれば、印紙税はゼロになると思いますが、実務上はまだまだ紙をヤメルのは難しそうです。

ちなみに、登記に使用する契約書に収入印紙を貼っていなくて、「ダイジョウブでしょうか?」 というお問い合わせもありますが、登記の際はそこはモンダイになりません。 でも、後で貼っておいてくださいね ♪

訂正: この記事を投稿しましたところ、いくつかコメントを頂戴しました。 「会社法で解釈が変更されたのではなく、もともと原本を当事者の数だけ作る必要はなかった。」 というご指摘です(詳しくは→コメント欄)。

そのため、従前の解釈についてもう一度確認してみましたが、その点に関して言及しているものは見つかりませんでした。でも、ご指摘いただいたように「原本に限る」という解釈は確かに無理があると思いますので、その点については訂正させていただきます。

なお、本文に関しては、自分の反省も込めて修正はしないことにいたしました。どうぞご了承ください。

今後とも何かありましたら (記事は頑張って正確に書くよう努力しますが) 、コメントをお寄せいただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 

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添付書類としての登記事項証明書

2010年03月17日 | 商業登記

ここ何年かで登記手続きも色々とベンリになってきました。
ベンリになったといえば、「登記事項証明書」。管轄外の登記所でも登記事項証明書や印鑑証明書が取れるようになったんです。

登記中に一部事項証明書とか印鑑証明書を取る場合など、管轄の登記所へ行かないとダメな場合もありますが、基本的にはドコの登記所でも全国の登記事項証明書が取れます。とってもベンリです。

(ちなみに、オンラインで登記事項証明書を取得することもできるようになっています。料金も300円ほど安く、現地に行く手間もなく、郵送料も普通郵便の料金はかかりません。 ご興味のある方はやってみてくださいね。)

登記申請の際には登記事項証明書を添付しなければならない場合がありますが、交換システムが利用できるので、登記申請する登記所で証明書を取得してから登記申請できます。以前は郵送で取得したり、2箇所の登記所を移動したりしていましたから、それはそれは楽になりました。

じゃあ、実際に登記事項証明書を添付するケースって、どういうものがあるでしょうか?
今、一番頻度が多いのは会計監査人の登記事項証明書ですかね? 会計監査人が監査法人の場合には登記事項証明書が必要になります。会計参与も同じです。
( ※監査法人の登記事項証明書は、登記事項が膨大なため、管轄以外では取得できないことがあります。)

その他には、組織再編で消滅会社サイドの管轄が異なる場合です。合併ですと消滅会社、会社分割ですと分割会社、株式交換ですと完全子会社のものになります。

それから、支店登記を本支店一括申請でなく、申請する場合です。 こちらは、本店で登記された登記事項証明書を添付して、支店の管轄登記所に登記申請することになっています。

そして、オンラインで登記申請する場合はさらにベンリでして、登記情報提供サービスを利用することができます。
これは、登記情報提供サービスで番号を取得しておいて、登記申請書にその番号を入力すると、別途登記事項証明書の添付が不要になるというモノなんです。

料金も安いし、わざわざ紙を入手する必要がないし、すぐに取れるし。。。と、とてもベンリです。
御上も何とかオンライン申請を普及させようと一所懸命なんでしょう。

ただねぇ~。。。ホンネを言わせてもらうと、他の登記所の登記内容が見られるんですから、わざわざお金を取って登記事項証明書を添付する必要はないんじゃない?って思うんですよね。

実はそういうことが他にもありますが(グチグチ。。。)、また今度~ (^_^;)

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