合併や会社分割の組織再編のオシゴトの際、念のため確認しているコトがあります。
法律上は特に問題のない些細なコトだとも思えますが、わりと「へえぇ~。。。そうなんですか? 良い事を聞きました♪ 」 と喜んでいただけます。
実務家の皆様には、目新しいことでもないし、現在は常識的なことだと思いますが。。。契約書の作成通数 (印紙税) についてです。
旧法下では、合併契約も分割契約も当事会社の数だけ必要でした。
現在では、法律上は1通でも足りることになっています。
そこで、「契約書の原本は何通作成しますか?」 と確認するようにしています。
最低限にしたい場合は、契約書の末尾は、「本契約を証するため本契約書1通を作成し、甲乙記名押印のうえ、甲が原本を乙はその写しを保有する。」 というような文言にしています。 印紙税は原本1通につき4万円ですので、減らした通数分お徳です。
このことに気付いたのは、会社法施行後初めて合併の依頼を受け、四苦八苦していたトキでした。今もよ~く覚えています。 何たって、依頼が来たのは効力発生日の3日前だったんですから。
会社法では吸収型の組織再編は登記が効力発生要件ではありませんから、その意味では「絶対!」間に合わせないといけない。。。というモノでもなかったんですけど、相当なプレッシャーでした。
で、書類の出来もそれほど良くなくて、恐怖感にかられて半ば徹夜状態でチェックしていたとき、ふと、気付いたんです。
旧法下では、締結済の合併契約書の原本が事前開示書類になっていたのに対し、会社法下では、合併契約の内容を開示すれば足りる。。。ということに。
。。。つまり、契約書の原本を開示する必要があるなら、合併の当事会社それぞれが原本を持っていなくてはいけませんが、内容だけなら原本を持つ必要はないってことになります。
残念なことに、その案件では間に合わなかったんですけどね~。
当事のワタシは、大発見をしたような気持ちでしたが(笑)、同業者の皆さんもきっと気付かれていたんでしょうね~。
ただ、会社のご担当者は、そうそう組織再編に関わることはないでしょうから、印紙税が4万円安くなると聞くと、喜んでくださいます。
合併の場合だと、消滅会社が契約書の原本を持つ意味はあまりないので(どうせ、合併後は1社になるんですから)、グループ会社の合併だと、「存続会社だけが原本を持つ」 ことにするケースが多いです。
会社設立の場合の定款は、電子定款の場合、印紙税が不要となるので、現在では圧倒的に電子定款を選択されます。
合併や分割でも、同じように紙を使わずに契約を締結すれば、印紙税はゼロになると思いますが、実務上はまだまだ紙をヤメルのは難しそうです。
ちなみに、登記に使用する契約書に収入印紙を貼っていなくて、「ダイジョウブでしょうか?」 というお問い合わせもありますが、登記の際はそこはモンダイになりません。 でも、後で貼っておいてくださいね ♪
訂正: この記事を投稿しましたところ、いくつかコメントを頂戴しました。 「会社法で解釈が変更されたのではなく、もともと原本を当事者の数だけ作る必要はなかった。」 というご指摘です(詳しくは→コメント欄)。
そのため、従前の解釈についてもう一度確認してみましたが、その点に関して言及しているものは見つかりませんでした。でも、ご指摘いただいたように「原本に限る」という解釈は確かに無理があると思いますので、その点については訂正させていただきます。
なお、本文に関しては、自分の反省も込めて修正はしないことにいたしました。どうぞご了承ください。
今後とも何かありましたら (記事は頑張って正確に書くよう努力しますが) 、コメントをお寄せいただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
で、他社の貸借対照表原本は1通しかなく持ってこれないですね・・
だから、謄本の開示で足りるはずです・・
ということは、合併契約書も謄本で足りたはずです
会社法で「合併契約の内容」とされたのは、合併契約が書面に限らず、電磁的記録で作成されることをふまえた規定ぶりとなったもので、旧法から解釈の変更があったものではありません
印紙税のことは、商法の時代はあまり気にしたことがなくて、会社法(施行規則)の書きぶりから単純にそう思っていたのですが、確かに旧法でも原本に限るとは書かれていませんし、原本のみが開示書類になると考えるのは難しそうですね。
本文の方もちょっと訂正しようと思います。ご指摘ありがとうございました <(_ _)>