司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

条件付辞任

2010年03月02日 | 役員
役員が辞任すると決まった場合、ワタシとしてはチョット不思議なんですが、辞任と後任者の就任のタイミングを合わせたいとおっしゃる会社が大多数です。

ホントウならば、まずは辞任の意思が会社に到達して辞任の効力が発生し、急いで後任者を探し、株主総会を招集するという手続になるはずでは!? と思うのですが、実際はそういう流れにはなりません。

辞任によって、役員の法定員数を欠くようなケースでしたら、「欠員はマズイよ~」と考えるのも分かりますが、そうでなくても結構気にしていらっしゃるみたいですね。

ワタシとしても、「そんなことを気にする必要はないんですよ♪」などと余計な口を挟むこともないし、会社の希望されるとおりに手続しています。

。。。という訳で、通常は、後任者が選任される株主総会の終結で辞任の効力が発生し、後任者は直後に就任されるワケです。
会社のご事情によって、辞任の日に総会を合わせる場合と、総会の終結まで辞任の日を延ばす場合があります。

ただし、辞任の日は延ばすものの、事実上はもう会社に来ない役員の方もいらっしゃいます。例えば、親会社の従業員が子会社の取締役として出向していたけれど、その方が出向解除になり、海外に転勤するといったケースです。

そういう方の場合、辞任届けを提出してもらえるタイミングが限られていますよね。
当然、株主総会は欠席しますから、登記のときは辞任届が必要で、「●月●日開催の臨時株主総会の終結をもって辞任します。」というようなことを書いてもらわないと、辞任日を延ばせません。が、会社としては、後任者を決めたり、株主総会を招集したりする日程もあるので、すぐに総会の開催日を決められないこともあります。

そこで、あまりおススメはしないのですが、裏技を使うことがあります。
「後任者が選任された時をもって辞任します」という辞任届けです。
こうすると、株主総会がいつ開催されるか決まっていなくても、辞任と後任者の就任のタイミングを一致させることができます。

ご提案すると、結構皆さん気に入ってくださるのですが、ワタシとしてはあまり気が進みません。

理由① 条件付の辞任は、辞任するかどうか明確でないこと。
普通は期限付き辞任をしますよね。期限は到来することが確実ですが、条件というのは成就するかどうかが不確定です。もし、後任者を選任しなかったら辞任しないの?という問題がおこりますから、本来許されるものなのかな?というギモンがあります。

理由② 循環参照のような状態になるので好ましくないと考えられること。
普通、後任者の選任決議は、●●氏が辞任するので、その後任者を選任する。。。とします。ということは、辞任したら直ちに選任決議の効力が発生します。つまり、辞任という行為が先にあるはずなのに、後任者の選任を条件にするのは、「鶏が先か、卵が先か」みたいなことになるような気がするんです。

今まで何度か登記しましたけど、法務局は特に気にしていないようです。
(出来るだけ自然になるように工夫しています。)
でも、ワタシはなんかスッキリしません。ですから、おススメはしませんが、どうしても困ったときは使えるかも!? (^_^.)
コメント
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