ヒーカップ唱法というのがあります。一般的にはフレーズの最後で語尾を跳ね上げるというか裏声にするというか、そういう感じ。最近では「マツケンサンバⅡ」でも知られています。
私がこれを最初に意識したのは、多分木之内みどりの「グッドフィーリング」。お手元に音源のある方はお聞きいただければわかりますが、「頑固なパパをまいていくから~」の「ら~」のあとです。
この曲は、作詞:松本隆、作曲:財津和夫、編曲:松任谷正隆というヒットメーカーが揃ってますので、世が世なら大ヒットしたかも。レコードで聞くとすごくいいのですが、歌番組で聞いた時のインパクトのなさが残念でした。(意見には個人差があります。)
そして、木之内みどりはこの曲が収録されている「グッドフィーリング」というアルバム収録の「ふたりのキャンパス」でもこのヒーカップをやってます。このアルバムは各種サブスクにあって、当然Spotifyにもありますので是非お聞き下さい。編曲と演奏がThe Last Showで、スチールギターとガットギターのソロ合戦が聞けます。誰が一番速いかという勝負ですが、そこにドラムも絡んでくるという豪華さ。(意見には個人差があります。)←こればっか
とはいえ、私にとって最も印象的なヒーカップは堀江美都子の「アクビ娘」。ご存じアニメ「ハクション大魔王」の曲ですが、
知恵がまわって 明るくて~
のあとと、最後の
アクビ娘はすてきな子~
のところで盛大にやってます。1コーラスに2回ずつなのですごく目立ちます。当然年代としてはアクビ娘の方が先なのですが、曲をちゃんと聞いたのは木之内みどりの方が先なので。
このヒーカップの狙いや効果については詳しくないですが、「アクビ娘」を聞いた感じではすごくポップというか可愛い感じが出せるので、この歌唱はグッジョブですね。22世紀に伝えたい名演です。私と同年代なら知らない人はいないと思いますが、こちらも今はサブスクにありますので興味のある人は是非お聞き下さい。手っ取り早いのはこちらです。
それで木之内みどりの方はというと、もちろんアイドルとして可愛さを強調する狙いはあると思うのですが、音域の狭い歌手の歌にインパクトを加える要素があるのではないでしょうか。
というのも、佐藤剛さんの「上を向いて歩こう」という本には、かの世界的ヒット「上を向いて歩こう」について当時の関係者の証言として「なにしろ九ちゃんは音域が狭いから、ファルセットヴォイスの特徴を上手く出してほしかったんです。」という話がありました。「上を向いて歩こう」に裏声なんて出てきたっけ?と思う方もいるかと思いますが、あの「オゥ、オゥ、オゥ、オゥ」という部分をはじめ、随所に裏声混じりの歌声が聞けます。ヒーカップと逆で裏声から入るといいますか。木之内みどりの歌でも、同じような効果を狙ったのかも、というのは個人的な推察です。
ヒーカップの話に戻りますと、これを使ってネタにできそうなのは、およそヒーカップが似合わないであろうという曲で全部の語尾にこれをやるというのはどうでしょうか。北島三郎の「与作」を歌いながら、
与作は木~を切る~ウッ!
とか。ま、ほぼ出落ちですね。私はやらんけど。
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