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ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」終わりました

2021年06月21日 | ドラマレビュー
 フジ系のドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」が終わりました。世間でも大きな話題になってたので、ご存じの方も多いでしょう。主演は松たか子、坂元裕二脚本という作品です。

 私は坂元裕二作品は以前から注目しており、なんと言ってもきっかけは「最高の離婚」ですが、あれを見た後に遡って「Mother」を見て、その後「Woman」「問題のあるレストラン」「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「カルテット」「anone」など見ました。

 「Mother」は随分話題になったようですがリアルタイムでは見ておらず、あとで調べたら色々受賞してた様子。ただ、これは脚本とか坂元作品の特徴であるセリフの妙というより芦田愛菜ちゃんの熱演が話題になったのかも。実際は主演の松雪泰子さんはもちろん、田中裕子さん、尾野真千子さん、高畑淳子さん、山本耕史さんなど、すべて素晴らしかったですが。

 その後の「問題のあるレストラン」「カルテット」「anone」などはひねり過ぎというか、こねくり回し過ぎで「一般受けするのかなあ」とか思ってました。「anone」はすごく深いテーマだと思うのですが、見てるのはちょっと辛い感じもありました。逆に「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」は、どこでひねるが利いてくるのだろうと思ったらなんかすんなり終わってしまったり。

 そこでこの久々の連続ドラマである「大豆田とわ子と三人の元夫」ですが、本当に面白かったです。私は初回を見逃したので3週間くらい経ってから録画してあったのを3回連続で見たのですが、その時点でTwitterを中心にドラマのレビューでは絶賛されてて、それも私が結構参考にしてる人たちの評価が良かったので、ある程度期待して見ました。

 かなり人間関係が複雑なドラマですが、それをうまく利用して、ありえないシチュエーションを「んな、アホな」と言わせない展開がナイスでした。三人の元夫とどのように結婚したとか別れたとか細かいところはあまり語らずに、あくまでも現在を中心にして、それぞれとの結婚生活を視聴者に想像させるような描き方はさすがです。

 さらに、今回はいつにも増してセリフのこじらせ感が凄かったのですが、それで笑わせてしまうのも凄いなあと。「anone」はストーリーをこじらせ過ぎ、「問題のあるレストラン」はセリフは面白いけどストーリーは…という感じでした。そこが、今回は細かいことを抜きにしてこのドラマの世界観を楽しめるという事で、これまでになかったドラマとも言えますし、これぞ連続テレビドラマの醍醐味だという感じもします。

 実は好きな女優さんは一人も出ていないというか、主演女優をはじめ苦手な人ばかりだったのに楽しめたのはアッパレといいましょう。男優では、シーズン2と言われていた二番目の夫役を演じた角田晃広さんが一番気に入りました。これまで見たことなかった人ですが、これは好キャストでしたね。

 あとは三番目の夫である中村慎森役の岡田将生さんのセリフが、「最高の離婚」で瑛太さんが演じた光生とイメージが重なるところがあって、その辺は見るたびにニンマリしてしまいました。

 また、ナレーションの伊藤沙莉さんにもアッパレをあげましょう。女優さんながら一度を顔を出さず、声だけで最も存在感を発揮してたという事は覚えておきます。

 前にも書きましたが、前夫と現夫というとなんかドロドロした恋愛劇になりそうなところを、三人とも「元夫」という存在でありながら元妻の事を本当に好きだというのが面白かったです。伊丹十三さんの本でヴィヴィアン・リーの話を読んだことがあるのですが、彼女が亡くなった時に泣きながら棺を担いだのが、二人の元夫と最後に一緒に暮らしていた男性だったとか。もしかしたら、そういうところは意識してるのでしょうか。

 なんにしてもいいものを見せて貰いました。これだけのキャラを揃えてるのだと、続編はいくらでも作れそうですが、坂元裕二先生にはまったく違ったキャストでの新作を期待したいところです。やはり新しいのが見たいですしね。

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