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NHK特集「わが沖縄 ~具志堅用高とその一族~」

2022年05月13日 | TV番組レビュー

 今年で沖縄返還から50年ということで、沖縄に関するテレビ番組を色々目にしますが、このNHK特集は1979年のもの。かのボクシングジュニアフライ級世界チャンピオンだった具志堅用高選手が、絶好調で防衛を続けていた頃の話。

 沖縄では具志堅という苗字は珍しくないので、具志堅さんがチャンピオンになったとき現地では「あれはどこの具志堅だ?」と話題になっていたそうです。

 その具志堅さんの一族は、もともと旧王朝に勤めていたため廃藩置県というかいわゆる琉球処分で没落し全土に散っていったそうです。ただ、一族の人が第二次大戦中の戦火でも家系図を守り、記録はしっかり残ってました。一族はこの当時で200家族、1500人を数えたとか。

。その一族には、同じく「具志堅用高」というおじいがいて、具志堅選手の名前は父親がその人にあやかってつけたそうです。そして、その先代(?)の具志堅用高さんもこの番組の当時88歳で健在であり、ご本人の話も聞けました。この当時にその年齢なので、なんと明治24年生まれ。

 明治31年に沖縄県にも徴兵令が敷かれ、このおじいは明治44年に徴兵され久留米の連隊へ。標準語もわからなかったものの銃剣は連隊一の腕だったとのことで、運動能力に優れていた血筋なのかもしれません。そしてこの人は終戦間際に50代でまた徴用され、南方で兵隊の食料とするためのカツオを釣っていたのが、終戦で沖縄に帰ってくると3通の戦死公報が。息子さん3人が南方で亡くなったそうです。

 そして沖縄に帰ってきたものの住んでいた村は採石場として米軍に接収され、追い立てられたおじいは生き残った弟たちとともに名護に移り、もともと住んでたところはその後廃村になったそうです。採石場で掘られた石で沖縄の基地建設がされたそうで、なんともやりきれない話です。

 実際に明治時代から戦争中のことまで覚えている人たちが語っていたこの番組は貴重ですね。本土復帰50年ということで沖縄に関する番組が多いですが、そういう生々しい話をもっと見たいです。

 この番組の当時具志堅選手は24歳の現役チャンピオンで、戦うのは海外の強豪であっても「沖縄の人は強いと言われたい。ナイチャー(内地の人)には負けられない。」ということを力強く語ってました。具志堅選手というと、試合前の「君が代」斉唱も注目されてましたが、あれがどういう気持ちだったかというのも聞いてみたかったりします。当時は歌が下手だと笑ってたのですが、私は彼の背景が何も見えてなかったのですね。

 ところで、調べてみたら具志堅選手は10年ほど前に「ファミリーヒストリー」にも出てたようです。そっちも見たいですわ。


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