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アイドル本を読みながら妄想してみる

2016年12月08日 | ブックレビュー

 アイドル本とはいえ読んでるのは「南沙織がいたころ」という新書。2011年に出版されたもので、大衆文化論や都市社会学が専門の関西大学教授永井良和氏が、南沙織さんが活動していた時代の雑誌記事、関連書籍、引退後発売されたCD-BOXのブックレットでのインタビュー等膨大な資料を基に彼女の足跡を追ったものです。アイドル本人が自伝とかエッセイを書いたことにして実はゴーストライターがいたとかいう、いわゆる「アイドル本」とは違います。

 こういう本を買うくらいなので私も彼女の大ファンだったのですが、南さんがデビューしたのは私が小2のとき。なのでデビューしたばかりの頃はあんまり覚えてません。デビューして2~3年してから兄の影響でレコード聞き始めたりしてだんだん好きになったという感じです。

 彼女というと元祖アイドルと言われたようですが、まだ返還前の沖縄出身で日本語より英語が得意なこともあり特異な存在だったことは言うまでもありません。さらに、歌うことは好きだけど彼女の前には同じタイプの存在はいなかったため、目標とするアイドル像など当然なく、何より本人がスターになりたくてなりたくてたまらなかったわけでもなかったようです。

 そんななので、東京に連れてこられたものの住まいも決まらずホテルで生活させられ、学校には通わせて貰えるという約束もなし崩しにされてメチャクチャに仕事を入れられた結果、精神的にまいってデビューほどなくして引退を口にしたこともあったそうな。この辺の経緯は私はお子様だったのでまったく知りませんでした。

 当時のことをこの本で読むと、最初に所属した事務所が良くなかったらしく、いわば儲けるだけ儲けて使い捨てにしようとしてた雰囲気も感じます。芸能人とはいえ若い女の子なので、ガチガチに仕事入れて動かしていないと遊びを覚えたり彼氏を作ったりしてデビューにかけた費用が回収できず儲けも出ないと思ってたのでしょう。うまくスターになっても男ができればアイドルとしての寿命は短いとか。ただ、幸いなのはレコード会社のCBSソニー側が彼女のイメージに合った楽曲制作に熱心であったことでしょうか。私も彼女のどこが好きだったかというと歌が好きだったので。その後移籍した事務所も良かったようですが。

 で、何を妄想したかというと、実はキャンディーズのこと。彼女たちは「普通の女の子に戻りたい」と言って解散してしまいましたが、なんとか続けさせることはできなかっただろうかと思ったり。

 当時の彼女らはというと、全員集合や見ごろ食べごろ、レッツゴーヤングなどのテレビのレギュラーに加えラジオ番組もありレコーディングもやってCMもやって全国ツアーもちょくちょくという、それこそほとんど休む間もないくらいだったことは想像に難くありません。そうなると、同年代の女子が楽しむようなことはほとんどできないわけで、やめたくなるということもあったのだろうと。

 なのでそういう生活から解放し、まずはテレビのレギュラーを減らし、キャンディーズとしてのレギュラー活動は一旦お休みしてアルバムだけは年に1枚出す、コンサートも1年のうち1ヶ月の間に数カ所でやるだけにして、あとはドラマに出たり映画に出たりはそれぞれ自由にやらすとか。あるいはもっと長いスパンでキャンディーズとして集まるのは3年に1回くらいにして、やるときは半年くらい徹底的にやるとか。当然結婚しても出産してもキャンディーズは残すということで。そんな簡単に行くかという声はあるでしょうが、だからこそ妄想であってそういう風にだんだん大人の女性になっていく彼女たちが見られても良かったかなぁとか思います。

 それはそうとして、この「南沙織がいたころ」という朝日新書は凄くいい本なので、彼女に少しでも興味のある人は読んでみることをお勧めします。去年1回読んだのですが、また最近読み返して新たな発見がありました。中身が濃くていい本は3回くらい読んでみないと。