ばあさまの独り言

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シルバー向けの商品を

2012年11月17日 | 随筆・短歌
 日本人のうち65歳以上の人の占める割合が、昨年(2011年9月15日現在)に3374万人となり、初めて3000万人を越えました。勿論私もこの中の一人です。
 近年は、老人と云えどもおしゃれで、気力体力に満ちあふれて、一年のうちに何度も旅行に出かける人、コンサートや展覧会に良く行く人、スポーツに打ち込む人などが多くなりました。昔のように生涯働いたり、家に大家族で過ごす高齢者が少なくなって来たように思います。
 ですが、高齢者向けのおしゃれな衣類や、操作の簡単な機器などが店頭に置かれて居ないように思っています。今後10年もすれば、インターネット位出来ないと、生活に不便するのではないかと気になります。家に居て、本が買えるということがどれ程便利か、年をとって歩くことが出来にくくなった時、配達してくれる企業がどんなに助かるか・・・。
 近年近くの本屋さんが次々に廃業して、私は専らネットで本を買うようになりました。またバスで10分ほど行けばとても大きな本屋さんがありますので、今のところそこを利用します。でも往復バスに乗る時間や労力・費用を考えると、ネットで買った方がずっと安く確実に手に入ります。ぶらっと寄って、暫く沢山の本に囲まれる幸せや、思いがけない本を手に入れる楽しみも嬉しいですが、やはりネットは便利です。
 きっともう10年もすればネットなどで注文し、配達して貰う事が当たり前の時代になるのでしょうが、果たしてその恩恵に浴せる知識や技術を身に付けている人が、現時点でどのくらいいるのでしょう。映画も囲碁やその他のゲームも適度に機器で楽しめれば、老後の生活が充実します。
 やたらと不要な機能を組み込み、高価で操作しにくい商品は、好奇心に溢れた若者向けには良いかもしれませんが、これからどんどん増える高齢者には向きません。アイパッドなどのタブレットの操作も簡単になったとはいえ、高齢者にも身近になるように、丁寧な説明が欲しいですし、操作に困った時の対応も不安です。ネットに対する注意も十分承知していないと、困るのではないでしょうか。難解な横文字が多すぎることも気にまります。
 買ったは良いけれど説明書を読みこなすのに大変で、途中で動かなくなった場合どうしたらよいのか、となるとなかなか手も出ません。そんなことにならないような操作の簡単な製品の開発をすることが、落ち込んでいると云われる電気・電子機器製品のアイディアの一つにならないでしょうか。
 こんな話しをしていましたら家族に、もう10年もしたら、どれ程進歩しているかは図り知れないけれど、音声で教えて呉れたり、バーチャルな画像で指示してくれるので心配は要らないと言われました。本当にそうでしたね。既に間違うとピッと教えてくれもします。
 私は年をとってから、以前よりもおしゃれに気を遣うようになりました。決してむやみに若作りをしたい訳ではありません。老醜をさらけ出していたくない見栄もあり、着る楽しみも欲しいのです。ですから、年ごとに新しい洋服や履きやすい靴を買ったりします。薄くて温かい下着が開発されれば、直ぐに求めます。
 デパートや専門店には、若者向けの衣類や子供服は多いですが、高齢者の男性・女性をターゲットにしたお店は、どのくらいあるのでしょう。高齢者の購買力はさしたるものでないとは、これからは云えない時代だと思います。高齢社会白書(2011年版・内閣府)によると、2015年に27%だった65歳以上の人口が、2025年には30.5%になり、2055には40.5%になるになるとありました。
 ある大手衣料品メーカーから、アンケートを求められることが良くあって、その都度、シルバー向けのおしゃれな衣類をと、もう10年以上書き続けているのですが、いまだにそのメーカーが希望に叶う衣類を新作発表したと云うニュースを聞きませんし、そんなコーナーも見かけません。。
 私の通っているフィットネスには、高齢者が多くなりました。皆さん最後迄元気で居たいと考えている人達です。その人達がロッカールームで、醤油などの瓶の蓋が開けにくくて困るという話しになりました。なぜこんなに力をいれないと開かないのか、私も痛切に感じていましたから、大いに同感でした。開ける道具もあるのですが、それを遣わなくては開かないというのは、欠陥容器です。メーカーはなぜこのことに気付かないのか、不思議でなりません。承知していても、自己防衛を優先させているのではないか、と思えてなりません。使い安いということは、消費者サービスの大切なポイントであることを忘れないで欲しいものです。
 秋になったばかりの頃に旅先のお土産として、美しいステンレスの箸(取り分け箸)を何組か貰いました。漆塗りの箸は、滑って掴みにくく、気付かぬうちに傷が付いていたりして、お客様には特に気を遣うところがあります。いぶし銀のようなこの箸は、細かい溝が箸の先の方に入れてあって、頭を丸くし、先端が尖りすぎてもいなくて、実に使いやすいのです。軽くて持ちやすく、春雨のように滑り落ち安いものもつまみ損ねることもありません。世界的に有名な洋食器を作っている会社の製品ですが、素晴らしいアイディアだと感心しながら愛用しています。
 熟練の職人さん達が研究開発した技術のようでした。いつでも清潔で美しいので、私は持っていた塗り箸の大部分を捨てました。
 長く使うものは、安くあれば良いと云うわけにはいかず、家族数が減って小人数になればそれに相応しい、しっかりしたよい製品が欲しくなります。何時までも真新しいようにみがきあげれば、愛着もひとしおで、もはや手放せない器具になること請け合いです。日本は、すさまじい速さで高齢化社会に入って来ました。物を作る会社も売る企業も、高齢者の存在を忘れては、成り立って行かないことでしょう。

器にも魂あらむとささやかな魚菜を盛りて夕餉整ふ(実名で某紙に掲載)
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