ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

三つの偶然

2024年10月04日 | 随筆
 多分皆さんも過去に「偶然なのか奇蹟なのか」と思われるような出来事に、きっと何回か遭遇しておられる事かと思います。それはこの世の中でとても不思議な出来事であり、奇蹟としか言えないという思いを抱かされる事です。
 我が家ではそんな奇蹟的な事に何回か出会いました。そんな奇遇に「これは何と言ったらよいのか」と首を傾げています。そしてその奇蹟に感謝しています。
 
 数ヶ月前に夫が激しい体調不良に襲われて、結果的にコロナ感染症だと言う事でした。家族一同6回もコロナワクチンの予防接種をしていましたのに何故なのかとの疑問を抱きつつ、夫だけが入院となりました。
 ところがこの入院時に、家と病院を私は夫を送って三往復したのですが、三回とも同じ会社の同じタクシーでした。高齢者の私達は良くタクシーを使いますが、でもこの様に二週間の間に、しかもこれ程遠くまでタクシーで往復することはありませんでした。
余程ご縁があったのですね。有り難かったです。でもこんな偶然は信じられない出来事でした。家族にも沢山助けられました。

 直ぐ近くには我が家の掛かりつけの医院があるのですが、この時は運が悪くて、最初は自宅から40キロ位ある病院に夫が救急車で収容されてしまいました。コロナが流行っていたからでしょうけれど、私は夫に付き添って病院までの往復を何回かタクシーで行き来することになってしまいました。
 その時に乗ったタクシーがが同じ会社の同じ運転手さんだったのが不思議でした。運転手さんから「ご自宅は解って居ます」と言われて疲れた身体をシートに預けて、バイパスも大きく市の外回りをまわるようにして遠い距離でしたが、自宅の案内をしなくて良くて助かりました。この様に親切な運転手さんに続けて三回も恵まれるなんて、本当に奇蹟としか思えませんでした。

 そういえば可成り昔の事になりますが、私がある病院の整形外科で診て頂くことになって、バスセンターで時刻表を探していましたら、「何処へ行かれるのですか?」と声を掛けてきて下さった女性が「私も同じ病院へいくのです」と案内不足で時刻表の掲示の前で、マゴマゴしていた私達夫婦を助けて下さった方がいました。私を救ってくれた有り難い人の一人です。その女性と私は同じドクターの患者であり、同じ病気でした。彼女のアドバイスが大変参考になり、手術に踏み切る原動力になりました。不思議なことに彼女とはその後会うことはありませんが、私を救ってくれた有り難い人の一人です。

 また山口県という本州の西の遠い土地へ夫婦で旅行に行っていた時に「乙女峠」と云う切支丹弾圧の歴史のある土地の教会に「全国故郷(ふるさと)の道100選」に選ばれている美しい道があって「道の傍らのせせらぎの美しい谷沿いの道」を下って来た事がありました。想い出深い美しい道と歴史のある教会に出会いました。
 礼拝と見学を済ませて後の帰り道で、振り返ると夕陽に照らされた山の上の教会の尖塔が光って見えて、とても美しかったです。
 古くからの歴史のある教会でしたが、この日が「この教会の最後のミサ」に当たるのだと云う尼僧に偶然出会いました。長く過ごした教会に、心残りの深いような尼僧のお話を親しく聴かせて頂きました。見学した教会では、切支丹弾圧の歴史に詳しく触れた説明書が掲示されていて、詳しい様子が偲ばれて記憶に残る不思議な出逢いになりました。
 私達は意識せずに行動していても、何か見えない導きによって様々な出逢いに恵まれるようです。日頃は何気なく単なる偶然として見過ごしていますが、やがて結婚して生涯共に暮らすことに繋がる出逢いもあり、それはもう人智を越えたどなたかのご厚意に依るものとしか思えないようです。有り難い事です。
 人々は軽く偶然だと話題にしますが、「人と人の出逢い」ということは偶然と軽く考える事が出来ない場合もあると思えて来ます。残りの人生を共に過ごす人との出逢いは、本当に不思議です。

 穏やかな秋の一日ですが、どうぞみな様のこの先の人生が幸せで在りますように、思わず祈りたいと思っています。

東慶寺墓地に会ひたる黒き蝶我が石池に再び会ひぬ  あずさ



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