ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

人の真価に気づくとき

2017年01月06日 | 随筆
 新しいものは、何でも美しく、瑞々しく、生き生きとして、とても感動的なものが多いです。
 年が明けて、昨日が去年になり、元日の朝は松の緑が一段と映えて見えました。玄関の松飾りも、仏花や床の間の松も、実に生き生きとして見えます。
 寒い季節には、草木も萎れがちですが、松はそのような中にあって、何時も変わらぬ緑で、己の変わらない強い姿を見せてくれます。
 夏の季節には、他の木々や植物の緑に囲まれると、あまり見栄えしないのですが、この寒い季節になっても枯れたりしぼんだりせず、己の真価を発揮して「吾此処にあり」とその存在感を知らしめます。
 逆境に耐える強い姿勢は、何かあると直ぐに変節してしまいがちな人間の弱さを退け、何時も変わらずに生きて行く強い意志の気高さを示してくれます。
 だからこそ、新年に相応しい木として門松になるのでしょう。論語に「子曰く、歳寒(としさむ)くして、然(しか)る後に松柏の彫(しぼ)むに後(おく)るることを知る。」とあります。逆境や苦難のときこそ、その真価を発揮します。
 去年も様々な災害がありました。記憶に新しいものは、
1)新潟県糸魚川市の大規模火災。折からの南風にあおられて、140棟焼失、鎮火に30時間掛かった異例な大火災でした。現在も未だ瓦礫の始末中で、年末の災害に遭われた方達を思うと胸が痛みます。
2)熊本地震・鳥取中部地震・内浦湾地震・茨城県など、頻繁に揺れました。特に熊本は震度5の前震と7.3の本震があり、6⁺が続く異例な地震でした。美しく堅牢だった熊本城も、石垣や天守閣が崩れました。地震の頻発は人智ではどうすることも出来ないだけに、被災者と共に不安が一層つのります。
3)台風10号などによる被害。10号は一旦南に下がって再び戻ってくるという不思議な動きを見せ、現代科学の限界を見せつけられた思いでした。岩手県岩泉町の洪水・北海道にも豪雨をもたらして沢山の被害を出し、野菜類も流されたり長雨で不作になりました。
4)交通事故の多発。軽井沢スキーバス横転事故、死者15名と乗客全員負傷の大事故がありました。加えて高齢ドライバーの事故が目だち、高齢者の免許返納が増えたそうです。加害者は年齢を問わず犯罪ではありますが、特に高齢加害者は、人生の終焉に近づいての犯罪であるだけに、想像しただけで哀れです。しかし、交通事故の被害者は、何時も突然の不幸に見舞われます。最大限の注意を払いたいものです。 
 そんな中にあって、良いニュースも挙げられます。
1)ノーベル賞の生理学・医学賞に大隈良典教授が選ばれました。基礎的な課題を一人で取り組まれ,長く人類史に貢献する研究でした。
2)リオ五輪に卓球・水泳・体操・レスリング女子・柔道・バドミントンなど大活躍、リレーでバトンタッチの妙技で銀、メダルの数は41個と過去最多でした。冬季の活躍も目に新しいです。また、パラリンピックの認知度が高まったことも良いことでした。
3)オバマ米大統領が広島訪問・安倍首相が真珠湾を訪問して慰霊、長い間胸にわだかまっていたものが、溶けて行く爽やかなニュースでした。
4)小池氏が東京都知事に選ばれて初の女性都知事として活躍されています。選挙権も18歳からになりました。今年も多くの部門で、女性リーダーが出て来ることを期待しています。
5)国立西洋美術館が、ユネスコの世界遺産に指定されたこと。また「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に認定、地道な保存活動が実りました。
6)日本人最年少で、七大大陸最高峰登頂の現役大学生・南谷眞鈴さんなども挙げられます。
 みな逆境をはね除け努力を積み上げた上での結果です。

 これからの若者達が世の中の偏狭な価値観に縛られず、自分の持つ能力を最大限に生かす方向を目指して欲しいです。その結果、きっと新しい次の偉大な業績を積み上げてくれることでしょう。そう考えると胸の弾む思いがします。

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