孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

韓国  下火になったとも言われる「ノージャパン運動」 反日と日本好きの二極化も

2021-11-29 22:49:18 | 東アジア
(ソウル近郊にある日本の江戸時代を再現した日本テーマパーク「にじもりスタジオ」【11月20日 テレ朝NEWS】)

【ノージャパン運動は下火になってきた・・・のか?】
いわゆる徴用工判決や慰安婦合意破棄などで関係が極度に悪化している日韓関係については、2019年7月、半導体素材3品目に対する日本政府の対韓輸出規制強化をきっかけに韓国で「ノージャパン運動」(日本製品不買運動)が展開され、すでに2年以上続いています。

この影響で韓国市場から撤退していく日本企業がいくつも出ましたが、最近、韓国内では「ノージャパン運動は下火になってきた」という声も聞こえるようになっています。

****「日本製品不買」じゃなかったの? 韓国で日本車の売上急増…それでも文在寅が“反日にしがみつく”ワケ****
いま、韓国国会で進行している国政監査(政府の政策や予算の執行状況など、行政全般を監視する韓国国会独自の制度)で、日本車をめぐる報告に一部の国会議員が怒りを露わにしている。昨年、韓国の在外公館が購入した外国車の3分の1が日本車だったことが判明したのだ。

与党「共に民主党」の金炅俠(キム・ギョンヒョプ)議員が国政監査で発表した内容によると、韓国の在外公館が購入した外国車は、2019年は14台、2020年は15台で横ばいだったが、19年に14.3%だった日本車の割合が、20年は33.3%に倍増していた。

これを受け、金議員は「国民感情に合う行政ではない」と、日本の外務省に相当する外交通商部の公務員を叱責した。(中略)

2019年からはじまった「ノージャパン」運動
韓国最高裁判所が日本企業に対して賠償金支払いを命じた、いわゆる徴用工判決や慰安婦合意破棄などで日韓関係が冷却するなか、2019年7月、安倍内閣は韓国向け先端素材の輸出管理強化に踏み切った。

韓国政府はこれに強く反発し、文在寅大統領は同年8月2日、青瓦台(韓国大統領府)で開かれた国務会議で「われわれは二度と日本に負けない」と述べ、日本政府に対抗する姿勢を公式化した。
 
そして、韓国政府と与党「共に民主党」を中心に、日本製品を買わない、使わない、日本に行かないという「ノージャパン」運動が広がった。 韓国国民は日本旅行やユニクロなどの日本製品の購入を忌避し、大手スーパーの店頭からは日本製ビールが消えた。 

日本車を破壊する韓国国民(2019年) ©共同通信社 当時、韓国メディアは連日のように不買運動を報道し、日本製品の購入を“売国的な犯罪行為”であるかのように扇動するなど、韓国内の「ノージャパン」は異様な盛り上がりを見せていた。 
 
その運動の中で、日本車も当然のように打撃を受けた。(中略)

日産自動車は韓国市場から撤退
結果的に、日本車の販売台数も激減した。(中略)20年の日本車の販売台数は計2万564台で、19年の3万6661台と比べて44%も減っていた。
 
昨年12月には、日産自動車が韓国市場から撤退し、今年に入ってホンダコリアも自動車展示場1カ所とサービスセンター2カ所を閉鎖。年末にもサービスセンター1カ所を閉鎖する予定とのことで、これは撤退の兆しとも言われている。
 
文在寅政権にとって「ノージャパン」は、表向きは日本の措置への対抗だったが、約50%の支持率を維持するためにも恰好の材料だった。

ただそれは、日本製品の購入や日本旅行を望む国民の権利を奪い、さらには日系企業はもちろん、日本関連のビジネスに従事していた韓国国民の仕事を犠牲にした上での運動だった。

日本車の売上が回復している
しかし、「ノージャパン」は、新型コロナウイルスが全世界に拡散した2020年、急激に縮小した。

大型マートの陳列台にはキリンとサントリーのビールが再び並び、10月15日にはソウル市松坡区にあるロッテワールドモールのユニクロ売り場に、日本発のアウトドアブランド「ホワイトマウンテニアリング」とユニクロのコラボ商品を目当てに、約100人が開店前から長蛇の列を作って話題になった。 
 
一時は売上が激減した日本車もまた、回復に向かっている。(中略)今年1月から9月までの(ホンダコリアの)累積販売台数は3045台で、前年同期と比べて47.3%も増えている。他の日本車ブランドも販売台数が伸びている。(中略)

今ではもう、繁華街でレクサスを壊されたり、日本車に乗っているという理由から車線変更を妨害されたりする心配もなく、日本車を購入できるようになった。さらには在外公館の職員も、日本車を愛用している。ここにきて、「ノージャパン」は説得力を失ったとみていいだろう。

それでも“反日”を打ち出す理由
それでも、在外公館が日本車を購入していることに対し、与党議員が「国民感情に合う行政ではない」と怒ったのはなぜなのか。

(中略)再び「反日」の姿勢を強く打ち出すことが、低迷した支持率を回復させる“一発逆転”のカードに見えたのだろう。(後略)【10月28日 ノ・ミンハ氏 文春オンライン】
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【企業レベルでは、日本との経済協力「必要」92.6%】
企業レベルで見ると、韓国企業の日本に対する見方は、「ノージャパン運動」とか、いわゆる「反日」的な動きとはかなり異なるものがあるようです。

****日本との経済協力「必要」92.6% 関係改善には悲観的見通し=韓国****
韓国の大韓商工会議所が11〜15日、国内の輸出入企業202社を対象に日本との経済協力の必要性に関する世論調査を実施した結果、回答企業の92.6%が「必要」とし、「必要性を感じない」との答えは7.4%にすぎなかった。

両国の関係改善の見通しについては、「現在の困難が続くと思う」(80.7%)と「もっと悪くなると思う」(6.4%)との悲観的な回答が大半を占めた。「徐々によくなると思う」との楽観的な見通しは12.9%にすぎなかった。

 
両国の協力を妨げる最も大きな障害に関しては「歴史問題」との回答が42.1%で最多だった。次いで、「新型コロナウイルスの再拡大など対外環境の悪化」(15.3%)、「輸出規制など両国の貿易摩擦」(12.9%)、「相互けん制・競争意識の高まり」(10.4%)、「両国国民意識の悪化」(9.9%)などだった。

企業の問題解消のための政策支援課題としては、「外交正常化」と「物流支援」(それぞれ25.5%)、「協力課題発掘」(12.3%)、「民間交流の活性化支援」(11%)などと続いた。

大韓商工会議所のカン・ソクグ国際通商本部長は「外交対立と新型コロナで二重苦に見舞われている両国の企業は今後、世界の供給網(サプライチェーン)再編にも対応しなければならない難題に直面している」として、「民間経済界から韓日協力の基盤を修復し、協力課題を発掘して交流するよう努力する必要がある」と述べた。【11月29日 聯合ニュース】
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【国民レベル 反日と日本好きの二極化】
では、国民個人レベルではどうか・・・もちろん、「ノージャパン運動」を強く支持する「反日」的傾向は、一定割合の韓国国民に見られるでしょうが、日本の「嫌韓」論がイメージするほど「反日」一色という訳でもないようです。

*****反日と日本好きの二極化が進む韓国****
<コロナ禍が続く韓国で若者を中心に日本ブームが広がるなか、日本でも韓国旅行の再開を心待ちにする人向けのイベントも実施されている>

韓国の若者の間で人気となっている観光地がある。今年9月、ソウルから車で1時間半の距離にある京畿道東豆川(トンドチョン)にオープンした日本テーマパーク「にじもりスタジオ」だ。
11月1日、韓国政府がウィズコロナを宣言し、規制を段階的に緩和する方針を発表すると、日本料理店を訪れる人たちが増え始めた。

また、韓国航空各社は日本上空を飛行する「無着陸観光飛行」を運行し、訪日観光の再開を待つ人たちが空から日本を楽しんでいる。

コロナ禍が続く韓国で若者を中心に日本ブームが広がるなか、日本でも韓国旅行の再開を心待ちにする人向けのイベントが実施された。

日本テーマパーク「にじもりスタジオ」
「にじもりスタジオ」はドラマの撮影場として作られた。2003年に放映されたドラマ『大長今(日本名;宮廷女官チャングムの誓い)』が人気を得ると歴史ドラマが相次いで作られた。日本で撮影が行われたドラマもあるが、出演者やスタッフの移動費など制作会社の負担が大きかった。そこで、演出家が主導して日本の江戸時代を再現した撮影場が在韓米軍訓練場の跡地に作られた。

撮影場は、Netflixの『犯人はお前だ!』やドラマ『ペントハウス』、『九尾狐伝』などのほか、歌手のミュージックビデオなどでも使われたが、ノージャパンと続くコロナ禍で使用される機会が少なくなったことから大幅な補修工事を行なって、新たに開業したのが日本テーマパーク「にじもりスタジオ」だ。

スタジオ内には日本料理店や旅館があり、着物や浴衣のレンタルも利用できる。
運営会社は反日感情を懸念して広告宣伝などを行わず、また、写真を見る限り日本の街並みとは異なる和韓折衷のテーマパークだが、日本を体験できるという評判がSNSで広まった。

韓国政府がウイズコロナに伴って観光制限を緩和したことも相まって、多くの若者で賑わっている。

日本の上空を旋回する無着陸観光飛行
(中略)日本政府の入国規制緩和と韓国政府のウイズ・コロナ宣言で、観光往来の再開を待ちきれない人たちが空の旅を楽しんでいる。

アシアナ航空は往来再開の目処が経っていない8月と9月に、金浦空港を出発し、日本の上空を飛行して済州島に到着する国内線を運行し、続いて仁川や釜山の空港を出発して対馬などの上空を飛行した後、出発地に戻る無着陸観光便を運行した。

格安航空会社LCCのエアソウルは、鳥取県と香川県の上空を飛行して出発地に戻る便を運行し、利用者には訪日観光再開後に利用できる香川県と鳥取県の無料宿泊券や特産品などが贈呈された。平均搭乗率が95%に達したという。

ティーウエイ航空も10月から金浦、仁川、大邱を出発して佐賀県などを上空から見たあと出発地に戻る「無着陸観光飛行」を開始した。10月30日には利用者に佐賀県が用意した記念品がプレゼントされ、2022年まで使用可能な割引クーポンや佐賀県の特産品を抽選でプレゼントするSNSのイベントも実施した。

「無着陸観光飛行」の利用者は上空からでも日本を見たいという人たちばかりではない。日本の上空を旋回する無着陸観光飛行は国際線として運行されることからパスポートが必要だが、空港や市内の免税店を利用できる。(中略)

反日と日本好きの二極化が進む
日本にも韓国旅行の再開を待ち切れない人たちがいる。韓国観光公社が11月14日、東京・品川区の会議場で、アシアナ航空の機内食を体験するイベントを実施した。機内食を食べるだけという約1時間のイベントだったが、100人の募集に対して2000人近い応募があったという。

参加者たちが搭乗券を使って入場し、機内と同じように並べられた座席に着くと、客室乗務員がカートを押しながらビビンバやコチュジャン、韓国のりなどの機内食を提供した。

ニュースを見た韓国人は「自分は日本旅行の禁断症状が出ている」「韓国人と日本人は互いの文化が大好きなのに、政界が紛乱をあおっている」「互いの文化を理解し合えるのは良いことだ」「文政権の5年間の反日扇動で得たものは何だったのか」などと投稿した。

いまだノージャパンを叫ぶ人たちがいる一方で、若者たちは日本料理店や日本テーマパークで日本擬似体験を楽しんでおり、反日と日本好きの二極化が進んでいる。【11月29日 佐々木和義氏 Newsweek】
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あの「反日」の強い韓国で日本テーマパークを営業して大丈夫なのか?と他人事ながら心配にもなりますが、盛況のようです。

「にじもりスタジオ」のような日本街テーマパークは中国にも多くありますが、やはり「反日」が無視できない国柄ですから、中国・大連のそうした施設は営業停止状態にあります。

そうした中国から韓国「にじもりスタジオ」を見ると・・・

****韓国にもある「日本風情街」、中国人の反応「我が国の日本風情街のほうが立派だ!」****
中国の大連市にオープンした「日本風情街」は、批判の声が殺到したこともあってほどなく営業停止となった。それだけ中国では反日感情が強いと言えるが、同じころに韓国にも「日本風情街」がオープンしていた。中国メディアの騰訊はこのほど、韓国の「日本風情街」について紹介する記事を掲載した。

記事の中国人筆者が紹介したのは。韓国のソウル近郊・東豆川市にある「にじもりスタジオ」だ。ドラマ撮影のセットを活用した施設で、江戸時代の日本を再現しており、飲食店や土産物店、さらには旅館まであるという。

写真を見ると、施設内には鳥居があって石畳の道路の両側には日本の温泉街のような街並みが続いているのが分かる。記事によると、入場料は日本円にして約2000円で、多くの若者が訪れているという。

見たところよくできていると言えそうだが、中国人筆者は「大連の日本風情街の方が立派な感じがする」と主張した。「やっぱり大連の日本風情街は最高だ」としている。しかし、残念ながら大連の日本風情街は営業再開の見込みはまだないようだ。

そのうえで中国人筆者は、現在の日中関係はそれほど良いとは言えないものの、文化交流を続けることは必要だと主張した。中国では「日本による文化侵略だ」などの批判の声が多いものの、中国は日本と文化交流することを恐れる必要はないとしている。むしろ心を大きくして、もっと日本から多くを学ぶべきだと主張した。

韓国も反日感情が強いと言われているが、韓国版の「日本風情街」は好評を博していて中国のように営業停止に追い込まれるとの動きは今のところないようだ。

中国人筆者としては、大連の日本風情街の再開を心待ちにしているようであり、そのような中国人も少なくないのかもしれない。【11月29日 Searchina】
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【韓国で「反日」超えた「嫌中」との調査結果も 何とも微妙な日中韓の関係】
中国が出てきたついでに言えば、韓国と中国の間には、日韓の反目以上に強い嫌悪感があるとの調査もあるようです。

****韓国で「反日」超えた「嫌中」 中国映画の配給中止も****
韓国では、朝鮮戦争での中国人民志願軍の活躍を美化した中国映画への拒否感が強い。9月には、中国兵の活躍を描いた「長津湖」と同種の中国映画が市民団体などの強い反発に遭って配給中止に追い込まれた。

韓国で物議を醸したのは、1953年の中国側と米軍などとの激戦を描いた「1953金城(クムソン)大戦闘」(原題「金剛川」、邦題「バトル・オブ・ザ・リバー 金剛川決戦」)。

韓国での上映を前に、予備役軍人の団体などが「中国や北朝鮮の視点から描いた政治宣伝物だ」と上映許可の取り消しを要求。映画輸入会社が契約撤回を表明し、国民に謝罪した。

中国で韓流ドラマや韓国人歌手が人気を集めた裏で、キムチやチマ・チョゴリといった韓国文化に関し「中国発祥」とする見方が横行していることへの韓国側の不満も高まっている。

昨年10月には、世界的人気の韓国男性グループ「BTS(防弾少年団)」が朝鮮戦争での米韓の連帯に触れた発言を中国のネットユーザーが攻撃し、韓国人ファンの強い反感を買った。

最近発表された日韓共同での世論調査によると、韓国で中国への印象が良くないとの回答は前年より15%近く上昇して約74%に上り、日本への否定的印象(約63%)を上回った。

一方、北朝鮮は「最近、中国で朝中が米国の侵略に打ち勝った戦争の映画が多く作られ、大人気となっている」と外務省ホームページで好意的に伝えている。【11月26日 産経】
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韓国における「反日」と「嫌中」を単に数字だけで同じレベルで考えていいのかは考慮する必要はあろうかと思いますが、いずれにしても何とも微妙な日本、韓国そして中国の関係です。
まるで愛憎がもつれあう男女関係みたい。
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