孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

韓国  不動産バブルで遠のくマイホーム 高まる不満 バブル崩壊の危険も

2021-11-16 23:03:58 | 東アジア
(【11月3日 FNNプライムオンライン】不動産取引の国家資格の受験会場 受験者が急増している理由は、マンション価格急騰で取得できる取引時の手数料も高額になっていることに加え、就職難もあるとか)

【就職難に住宅価格高騰、若者世代の生活困難で出生率は0.84 大統領選挙の争点にも】
日本も困難・重大な問題は多々抱えていますが、ひとまずそれらを棚に置いて言えば、お隣韓国では、日本を上回る一人当たりGDPを達成しながらも、特に若い世代での生活苦が著しいことがよく指摘されます。

熾烈な競争社会、(いわゆる一流企業への)就職難、住宅価格の高騰・・・・就職も結婚もあきらめる若者も多いとか。

必然的に結婚・出産も減少し、昨年の出生率は「1を」切る0.84という信じがたい低水準に。(通常は、出生率が「1」を下回るのは戦争などよほどの異常事態とも言われています。)

日本と韓国は常々いがみ合っていますが、どうせそのうち両国とも人口減少で消えてなくなる国だからほっておけ・・・という感も。
コロナ禍はそうした若者の苦境に追い打ちをかけています。

****「若者の65%が就職を諦めた」と韓国シンクタンク、傾向と「意外な」妥協案とは?****
コロナ禍による業績悪化の影響から、2020年度・2021年度の新卒内定取り消しが大々的に報じられている。新型コロナウイルスの影響は、日常を超えて生活基盤にまで浸食している。その影響はお隣・韓国も受けていて、こちらはよりひどい状況と言える。

韓国経済研究院が全国の四年制大学に通う3〜4回生と卒業生2713人を対象に先日行ったアンケート調査によると、回答者の65.3%が就職を諦めている状況ということがわかった。

中でも、33.7%は最初から就職活動をしておらず、23.2%は形だけ就職活動をしていると回答した。「ただ何もやっていない」という回答も8.4%に上った。積極的に就職活動をしているとの回答は10人中わずか1人(9.6%)だった。

また、韓国の求人サイトであるジョブコリアのアンケート調査でも、似たような結果が出ている。それが、「就職希望目標を下げた」という回答だ。

ジョブコリアが下半期の求職活動をする新入職男女求職者812人を対象に「就職目高の現況」についてアンケート調査を行った結果、回答者の66.7%がすでに、希望ランクを下げていると回答した。さらに、これらのうち30%は「目の高さを下げて求職活動をしているが、就職ができないときはさらに下げる」という立場まで示している。

一方、36.7%は「すでにランクを下げて求職活動をしているので、これ以上は下げられない」と回答している。「目標ランクを下げず、就職できなくても下げない」という求職者は11.5%で10人のうち1人水準にとどまった。

ランクを下方修正した求職者が増加した結果、中小企業への就職を希望する人が増加しているようだ。
つい最近まで、一流企業に就職できなければ負け組のような風潮があった韓国だが、中小企業への有能な人材が増えていく結果がどうなるのか、気になるところだ。【11月9日 サーチコリアニュース】
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生活困難の大きな要素のひとつが住宅価格が高騰し、手の届かないところにいってしまったという現実。

次第に熱を帯びている次期大統領選挙でも、そのあたりの対策が焦点にもなっています。

****マンション価格高騰、遠ざかるマイホームの夢 韓国大統領選の争点は****
韓国大統領選では、新型コロナウイルスで傷ついた経済の立て直しや暮らしの改善などについて、各候補の公約に注目が集まっている。文在寅(ムンジェイン)政権が進めた融和的な対北朝鮮政策の行方も争点だ。
 
大きな争点が不動産問題だ。文政権に入って、投資資金が集まるなどして価格高騰が続き、ソウルのマンションの平均価格(10月現在)は約12億ウォン(約9700万円)に達した。マイホームの夢が遠ざかった人々の不満は高まるばかりだ。
 
与党「共に民主党」候補の李在明(イジェミョン)前京畿道知事(56)は価格を押さえ込む強力な措置を打ち出す。不動産取引を監視する機関を設け、不動産関連の事件の捜査権を持たせることも検討するという。
 
広がる格差への対応も焦点だ。李氏は格差解消へ分配を重んじる。「基本所得」として全国民に1人当たり年100万ウォン(約9万6千円)を支給し、若者にはさらに100万ウォンを上乗せすると訴える。賃貸住宅を増やす「基本住宅」、希望する国民全てに1千万ウォン(約95万円)を最大20年にわたって低利で貸し出す「基本金融」などと合わせ、「基本シリーズ」政策と名付けてアピールする。
 
最大野党「国民の力」候補の尹錫悦(ユンソクヨル)前検事総長(60)は格差拡大について「教育や資産づくりなどのために公正な機会を提供する」と訴える。機会の平等を図りつつ、困難を抱える層は福祉政策で救済するとの姿勢だ。不動産問題では5年の任期内で全国に250万戸の住宅を供給すると主張。宅地再開発を促す規制緩和も進めるとしている。(後略)【11月5日 朝日】
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問題はそれら施策の実効性ですが・・・

【不動産価格は文在寅政権発足からの4年間で2倍近くに高騰】
高騰するマンション価格は「不動産バブル」の様相を呈し、「バブル」はいつかはじけるもので、そのバブル崩壊の危険性が現実味を帯びてきています。

****「マンション価格は2倍近くに高騰」崩壊間近か…“韓国不動産バブル”のヤバすぎる現状《文在寅の大失策》****
韓国では今、不動産バブルが深刻だ。不動産価格は文在寅政権発足からの4年間で2倍近くに高騰。このバブルが崩壊すると経済再建が難しくなる可能性が高く、今後も上昇し続けるのか、あるいは暴落するのか、多くの韓国人のみならず、世界中がその動向に注目している。

不動産政策を乱発
文在寅政権は2017年5月の発足以降、大統領選で公約に掲げた「住宅価格の安定」を実現するため、25回にわたって不動産政策を発令した。賃貸事業者を廃止し、個人の多住宅保有に懲罰的な税金を課すなど何でもありで、事態は泥沼に陥っている。
 
地方の不動産価格は下落傾向にある一方で、都心はますます高騰。今年、首都圏のマンション価格は19年ぶりの高い上昇率を記録した。
 
韓国有数の経済市民団体の一つである経済正義実践市民連合(経実連)によると、朴槿恵政権時(2013年2月〜2017年3月)の不動産価格の上昇率は4年間で7.6%、李明博政権時(2008年2月〜2013年2月)は5年間で2%だった。

その経実連は今年6月の記者会見で、文大統領の就任からの4年間で、ソウルにある75か所のマンション団地(11万5000戸)の相場が一坪あたり2061万ウォンから3971万ウォンまで93%も上昇したと明らかにした。

政府内には“諦めムード”も漂う
文政権の不動産政策は裏目に出続けている。例えば、政府は不動産価格が高騰している原因は投機にあると考え、多住宅保有を抑制するため、住宅供給を減らして、住宅融資を規制した。だが、その影響で「一日でも早くお金を借りて住宅を購入しよう」というパニック・バイイング(Panic Buying)が起きた。今では、韓国の標準的な30坪型マンションは、一戸あたり10億ウォンを超えている。
 
こうした状況を前に、政府にはもう諦めムードさえ漂っている。金富謙(キム・ブギョム)首相も今年6月、国会で「住宅価格(高騰)の解決策があるのなら、どこかから盗んできたい気持ちだ。皆がこの泥沼から抜け出したいと思っているが、抜け出せない」と、絶望的な心境を露わにした。

不動産バブルが崩壊する予感
この異常な不動産バブルは、近いうちに崩壊するのではないか――。韓国では、そう囁く声も増えている。
 
今年7月には、首相(国務総理)直属の機関である金融委員会の都圭常(ト・ギュサン)副委員長までもが、金融リスク対応チームのテレビ会議で「不動産市場に“暗雲”が近づいているという専門家の警告を無視してはならない」と述べるなど、経済崩壊への懸念を表明した。
 
この状況を、日本のバブル期と重ね合わせて見る向きも多い。日本のバブルの主な要因には、低金利政策があった。1985年のプラザ合意以後、日本政府が利下げを行ったことで流動性資金が増大し、株価と不動産価格が上昇。しかし、90年に橋本龍太郎大蔵相(当時)が「融資総量規制」を発表したことで、融資なしでは売買が難しい不動産取引が停滞し、不動産価格が暴落した。これが、日本の「失われた30年」の始まりだった。
 
そして、文在寅政権の任期終了が近づく韓国は、それと同様の流れを辿っている。不動産価格の高騰を受けて中央銀行(韓国銀行)が金利を引き上げ、融資も規制されはじめたのだ。

不動産取引が激減している
新型コロナウイルスの影響を受けて、韓国では昨年5月に政策金利が0.5%に引き下げられ、それ以来、据え置かれていた。しかし、韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が今年6月、そうした緩和的通貨政策を「秩序をもって正常化していかなければならない」と述べ、8月に0.25%引き上げた。その先、年内には、さらなる引き上げが行われるという見方が強まっている。
 
そして融資規制も始まった。所得に占める負債割合が増えると内需経済が萎縮し、ひいては雇用難の長期化につながるとして、銀行をはじめとする金融機関が家計向け融資の敷居を高めているのだ。
 
そうした影響は数字にも現れている。ソウル市の10月17日の発表によると、9月の市内のマンション取引件数は2348件で、8月の4178件から43.8%も減少しており、前年同月の3775件と比べても37.8%少なかった。

 
不動産取引の激減は、市場が上昇から下降に転換するシグナルだ。しかし、家を購入する人が少なくなった一方で、ソウルの高層マンションは増え続けている。不動産ビッグデータ会社「アシル」が集計したソウルの直近のマンション物件は4万1890件で、2か月前より11.4%多かった。

不動産関係者は「住宅価格は上昇すると考える購入希望者が夏までは多かったが、融資規制の報道以降、問い合わせが途絶えた」と話している。(後略)【11月15日 チャン・ドンドン氏 文春オンライン】
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【止まらない「パニック買い」 家計負債は世界でも最も高い水準に】
規制が強化されるなかでおきた、一日でも早くお金を借りて住宅を購入しよう」というパニック・バイイング(Panic Buying)については、現地紙が以下のようにも。

****「危ない」レベルを超えた「パニック買い」、住宅価格下落への警告に耳を傾けるべきだ****
2030世代(20代と30代)の「パニックバイイング」が、危険なレベルを超えたという懸念が高まっている。

今年に入ってから8月まで、ソウルのマンション取引で30代以下の割合は40%を超えた。一部の団地では、若者層の購入件数が半分を超え、住宅価格の50%近くを借金でまかなっている。

彼らに住宅価格下落への警告は通じなかった。「住居梯子」が外されてしまうのではないかという懸念の方が大きかったからだ。

しかし、バブル崩壊の可能性に背を向けるには、住宅価格の高騰や家計負債への後遺症が深刻なのが現状だ。「金の宴」が終わったという警告に耳を傾けなければならない時だ。

国際通貨基金(IMF)は先月、グローバル住宅価格が急落するリスクがあると警告した。各国が資金源を圧迫することになれば、資産バブルが崩壊しかねないという。IMFは今後3年間、住宅価格が先進国では14%、新興国では22%下落しかねないとし、具体的な数値まで発表した。

韓国銀行は、韓国の住宅価格の上昇幅は主要国のうち、大変高いと診断した。グローバル資産価格の下落が現実となれば、韓国は最大の衝撃を受けかねないという警告だ。

市場はすでに異常な兆しを見せている。政府が融資規制に乗り出し、ソウルでは「取引の崖」現象が現れている。価格を引き下げても売れずに売り物件が増え、一部の新規分譲マンションは半分近くが売れ残りとなっている。

住宅価格全体が下落に転じたとは言い難いが、住宅価格を支える買い手の余力は減り続けている。国内総生産(GDP)比家計負債が100%を超えている現状で、政府の資金繰り圧迫は当面続くと見るべきだ。

パニックバイイングに動員された借金は、2030世代を押さえつけている。若者層の総負債元利金返済比率(DSR)は37%を超えている。所得の3分の1以上を借金の返済に使わなければならないという意味だ。食べていく日常生活費を減らさなければならない状況だ。

住宅価格が下落すれば、購入した家は「カントン住宅(債務超過の住宅)」に転落し、莫大な借金を残すこともある。所得と資産を考慮した融資は合理的選択だが、恐怖心理で過度に借金をすれば「金不足」時代には耐え難い。


借金をした住宅購入について、若い世代のせいばかりするわけにはいかない。現政権に入って住宅価格が2倍近く急騰した。「今でなければ永遠に住宅が買えない」という不安は当然の反応だ。

しかし、多くの不動産対策にもかかわらず、住宅価格が上昇したとして、一歩遅れてパニックバイイングに乗り出すには韓国国内外の経済環境があまりにも不安で混乱している。

住宅価格の下落への警告にも耳を傾け、自分の資金余力にあわせて、合理的な購買をしなければならない必要がある。政府も潜在的な住宅価格の不安要因がないように公共万能から抜け出し、持続的に供給を増やさなければならない。【11月2日 東亜日報】
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多額の借金で住宅を購入する結果、韓国の家計負債は世界的にみても極めて高い水準になっています。

****韓国の家計負債がGDP超え、規模も増加速度も全て「1位」=韓国ネット「またIMF危機が?」****
2021年11月15日、韓国・文化日報などは「国家経済規模を考慮した韓国の家計負債は、世界37カ国・地域のうち最も多いことが分かった」と伝えた。

国際金融協会(IIF)の報告書によると、今年4〜6月期を基準とする37カ国・地域の対国内総生産(GDP)比の家計負債比率は、韓国が104.2%で最も高かった。2位は香港(92.0%)、3位は英国(89.4%)、4位は米国(79.2%)、5位はタイ(77.5%)で、日本は7位(63.9%)となっている。調査対象国・地域で家計負債がGDPを上回ったのは韓国が唯一だった。

家計負債の増加速度も、韓国が1位を記録した。昨年4〜6月期の韓国の家計負債比率は98.2%で、1年間で6.0ポイント上昇している。各国・地域の上昇幅は香港が5.9ポイント、タイが4.8ポイント、ロシアが2.9ポイント、サウジアラビアが2.5ポイントなどとなっている。

また、対GDP比の非金融企業の負債比率を見ると、韓国は115.0%で、香港(247.0%)、中国(157.6%)、シンガポール(139.3%)、ベトナム(125.0%)に続き、5番目に高かった。

IIFは「調査対象国・地域のほぼ3分の1で、家計負債比率が上がっているが、特に韓国とロシアが顕著だ」と分析している。

この記事に、韓国のネットユーザーからは「世界一、おめでとう」「またIMF(国際通貨基金)危機を味わうことになるかも」「不動産低迷期が来たら、IMFのころのような試練が訪れるだろうね」「不動産価格が上がって、猫もしゃくしも借金してまで投機したんだから、家計負債が増えて当然だ」「メディアが不動産を買えとあおったせいだ」「今の不動産の状況を見てごらんよ。借金をせずに暮らせるか」「住宅ローンも含めたら家計負債はGDPの150%、世界で最も危険な国に転落するだろう」などのコメントが寄せられている。

また「文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の日常」「文在寅大統領と『共に民主党』の最高の業績だ」「数年後、歴代で最も無能な政権と与党だと烙印(らくいん)を押されるだろう」などの政権批判と、「コロナ時代にこの程度の管理ができているなら、韓国政府はよくやっているよ」という擁護の声も上がっている。【11月16日 レコードチャイナ】
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【バブル崩壊が起きると家計直撃】
家計負債(その6割が住宅担保融資)が極めて高い状況で不動産バブルがはじけると、その衝撃は家計を直撃します。

****日本のバブル崩壊よりも酷い惨状も……****
一方で、日本と韓国の不動産バブルには大きな違いもある。日本では主に企業が不動産負債を抱えていたが、韓国ではその多くを個人が負っているのだ。(中略)
 
韓国の不動産バブルは「崩壊」の岐路に立っている。だが、本当にバブルが崩壊したら、家計負債が蓄積された低所得層は生存の危機に追い込まれるだろう。そこから融資した銀行も連鎖的に破綻し、経済全体が「災難レベル」の打撃を受けることになる。
 
家計負債が大きい韓国の場合は、その影響が広範囲に及ぶことは必定で、日本のバブル崩壊よりも深刻な状況に陥ると考えられる。
 
不動産と金融当局にとってはまさに正念場だ。しかし、経済に疎いと言われる文在寅大統領が危機感を感じている様子はない。【前出 チャン・ドンドン氏 文春オンライン】
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【ソウル脱出も加速】
一方で、すでに住宅に手が届かなくなったソウルから脱出する人も増えているようです。

****住宅高騰で「脱ソウル」加速 6年間に341万人が流出=韓国****
韓国・ソウルの住宅価格と家賃の高騰に加え、売り物件不足も加速し、「脱ソウル」現象が何年も続いている。

韓国の不動産専門リサーチ会社、リアルトゥデーが統計庁の国家統計ポータルの国内人口移動統計を分析した結果によると、2015年から昨年までの6年間に341万4397人がソウルからほかの地域に移住した。毎年平均56万9066人がソウルを離れた計算になる。今年は9月までに43万4209人が離れた。

特に20〜30代のソウル離れが著しい。15年から昨年までにソウルを離れた20〜30代の割合は全体の46.0%だった。具体的には30代(24.1%)の割合が最も高く、20代(22.0%)、40代(14.1%)、50代(11.8%)などが続いた。

リアルトゥデー側は「マンションの売買価格と家賃が数年間で大幅に上昇し、サラリーマンがソウルで住む家を探すのは難しくなった。首都圏の鉄道・道路網が大々的に拡充され、ソウルにアクセスしやすくなるほど脱ソウル現象はさらに加速するだろう」との見方を示した。実際、ソウルに隣接した主要地域の人口は毎年急増している。【11月16日 聯合ニュース】
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中国でも恒大集団の綱渡り資金繰りが続き、不動産バブル崩壊も取り沙汰されていますが、そっちがはじけると韓国のバブル崩壊の引き金になるのかも。

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