(【インヴェスドクター on twitter】)
【「ゼロコロナ」の厳しい感染対策をめぐるトラブルが各地で】
つい先ほど目にした中国の三面記事的な事件。
****「金持ちは偉いのか」警備員の男が感染対策の検温をめぐり客を刺殺 中国****
中国・広東省の公安当局によると広州市のショッピングセンターで13日、警備員の男(39)が客の男性(39)を刃物で刺したということだ。男性はその後、死亡が確認された。
中国メディアは、施設側の話として「駐車場に入る際の体温検査でトラブルになった」と報じている。
「ゼロコロナ」政策を続ける中国では厳しい感染対策をめぐるトラブルが各地で相次いでいる。【11月15日 ABEMA TIMES】
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三面記事的な事件ではありますが、中国社会の抱える大きな二つの問題と関連付けられています。
一つは、“厳しい感染対策をめぐるトラブルが各地で相次いでいる”という、“ゼロコロナ対策”の問題。
もう一つは、犯人である警備員の「金持ちは偉いのか」という言葉が想起させる格差の問題。
量的に二つの問題を今日同時に取り上げるのは無理なので、今日は前者のゼロコロナ対策のみ。後者の格差問題は習近平政権の目指す「共同富裕」とも関連し、中国社会の根幹に関わる重大問題ですが、また別機会に。
厳しいコロナ対策ということでは、これもつい先ほどの記事。
****消毒員がドアこじ開け、ペットの犬を撲殺…中国でコロナ対策の殺処分相次ぎ物議****
香港紙・明報は15日、中国南部の江西省上饒市で、地元当局が新型コロナウイルスの感染拡大防止のため住宅の消毒作業を行った際、ペットの犬が消毒員に撲殺されたと報じた。中国ではコロナ対策でペットが殺処分されるケースが相次ぎ、ネット上で批判を招いている。
報道によると、市内の感染者が出た地域で今月5日、住民をホテルに強制隔離し、各家庭を消毒する措置が取られた。ペット帯同は禁止だったため、ある住民女性は愛犬を自宅室内に残し、施錠して隔離先に向かった。
自宅の監視カメラで確認したところ、防護服姿の消毒員が玄関ドアをこじ開けて入り、愛犬を鉄の棒で殴りつけ、持ち去ったという。
女性がSNSにカメラの映像入りで告発すると、地元当局は13日、飼い主に謝罪したと発表した。しかし、犬を撲殺したことを「無害化処置」と表現し、更なる物議を醸した。
人口600万人超の上饒市では、10月30日から今月14日まで82人の感染者が確認され、当局が厳戒態勢を敷いている。【11月15日 読売】
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江西省上饒市(じょうじょうし)・・・始めて聞く都市名ですが、それでも人口600万人超。さすが、14億人の中国には、こういう「大都市」がゴロゴロしている・・・と思ったのですが、確認すると、都市部の何倍もの面積を有す農村部を内包する行政区画「地級市」としての人口(面積は岩手県の1.5倍ほど)で、都市部人口は120万人ほどのようです。
【大連からの来訪者は施設で14日間隔離】
それはともかく、新型コロナの件。ゼロコロナを目指して躍起になっている中国では、このところ「感染拡大」が抑えきれていません。
“公式データに基づくロイターの算出によると、10月17日から11月14日の間に中国本土では症状が確認された国内感染者数が1308人報告され、夏季のデルタ株流行時の感染者数1280人を上回った。”【11月15日 ロイター】
ただ、「感染拡大」とは言っても、4週間で1308人なら、人口14億人で1日あたり46人あまり。
このところ感染状況が落ち着いている日本よりはるかに少ないレベルで、世界的にも極めて感染が少ない状態です。
「ニア・ゼロ」とも言えるほどですが、それでも中国政府は「ゼロ」を目指して厳しい対策を続けています。現在、地域的に感染が報じられているのが東北部・大連。
****中国で最大規模のデルタ株流行、東北部・大連からの人流制限も****
中国が新型コロナウイルスを巡り、感染力の強いデルタ変異株のこれまでで最大規模の流行に苦慮している。一部の地域では感染が急速に拡大している東北部の都市・大連からの人々の流入を制限している。
公式データに基づくロイターの算出によると、10月17日から11月14日の間に中国本土では症状が確認された国内感染者数が1308人報告され、夏季のデルタ株流行時の感染者数1280人を上回った。
これは中国で最も広範囲に広がったデルタ株流行で、21の省・地域・市に影響を与えている。多くの他国の流行に比べれば小規模だが、中国当局は「ゼロ寛容」政策の下、感染阻止に躍起になっている。
12の省レベルの地域では、厳格な接触者追跡、リスクのある地域の人々に対する複数回の検査、娯楽や文化施設の閉鎖、観光や公共交通機関の制限といった規制の迅速な実施で、数週間以内に感染を抑えた。
しかし、大連ではウイルスとの戦いが続いている、と国家衛生健康委員会の担当者は13日のブリーフィングで語った。
ロイターの算出によると、人口750万人の大連では11月4日に最初の有症者が報告されて以来、1日平均で約24人の新規感染者が確認されており、これは中国の他のどの都市よりも多い。
丹東、鞍山、瀋陽など大連近郊のいくつかの都市では、大連からの来訪者が自由に移動できるようになるには施設で14日間隔離しなければならないとしている。
中国本土では11月14日時点で、国内の市中感染者と海外からの感染者を含め、症状のあるコロナ感染者が累計9万8315人確認されている。死者数は累計4636人。【11月15日 ロイター】
公式データに基づくロイターの算出によると、10月17日から11月14日の間に中国本土では症状が確認された国内感染者数が1308人報告され、夏季のデルタ株流行時の感染者数1280人を上回った。
これは中国で最も広範囲に広がったデルタ株流行で、21の省・地域・市に影響を与えている。多くの他国の流行に比べれば小規模だが、中国当局は「ゼロ寛容」政策の下、感染阻止に躍起になっている。
12の省レベルの地域では、厳格な接触者追跡、リスクのある地域の人々に対する複数回の検査、娯楽や文化施設の閉鎖、観光や公共交通機関の制限といった規制の迅速な実施で、数週間以内に感染を抑えた。
しかし、大連ではウイルスとの戦いが続いている、と国家衛生健康委員会の担当者は13日のブリーフィングで語った。
ロイターの算出によると、人口750万人の大連では11月4日に最初の有症者が報告されて以来、1日平均で約24人の新規感染者が確認されており、これは中国の他のどの都市よりも多い。
丹東、鞍山、瀋陽など大連近郊のいくつかの都市では、大連からの来訪者が自由に移動できるようになるには施設で14日間隔離しなければならないとしている。
中国本土では11月14日時点で、国内の市中感染者と海外からの感染者を含め、症状のあるコロナ感染者が累計9万8315人確認されている。死者数は累計4636人。【11月15日 ロイター】
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日本で言えば、現在程度の感染状況の東京から他の地域に移動した場合、施設で2週間隔離が必要になる・・・といった厳しさです。
学校の対面授業削減、文化施設の閉鎖はもちろんです。
“大連市当局は、公共交通機関の運行に制限を掛けたほか、不必要に市を離れることのないよう市民らに指示。運輸関連の当局者によると、市外に移動する人の数は96.5%減少し、1日当たり平均で918人となっているという。”【11月12日 Newsweek】
【市民生活への大きな負担 疲れの色も】
“中国政府が「ゼロコロナ政策」を堅持する中、地方当局は感染抑制に向けてあらゆる手段を講じている。”【同上】という状況ですが、さすがに“疲れ”の色も。
しかし、来年2月の冬季五輪に続き、秋には習氏が3期目続投を目指すとされる第20回共産党大会といった大型イベントを控えており、来年も今のような厳格な「ゼロコロナ」が続くことが予想されています。
****中国「ゼロコロナ」戦略の功罪、市民疲れ色濃く****
「いつまで耐えられるか」という悲痛な声も
中国はここ1年余り、国境沿いの街に相次ぎ厳格なロックダウン(都市封鎖)を導入してきた。地元住民は国外からの感染流入を防ぐため、まさに「歩兵」としてコロナとの闘いで最前線に立たされている。
ミャンマーとの国境沿いにある宝石取引拠点の雲南省瑞麗市。地元の母親らは投稿で、幼い自分の子どもは定期的に受けるコロナ検査に「まひ」しつつあると嘆いている。2歳児ですでに検査を100回も受けたと話す母親もいる。
検査で次々と陰性結果が出ても、数カ月連続で隔離を強制されたとの投稿もあった。一部の飲食店は半年以上、休業に追い込まれたままだ。
中国では変異株「デルタ株」により、2020年初頭に初めて武漢市を封鎖して以来、最大規模の感染拡大に見舞われており、全国的に新たなロックダウンや厳しい規制が敷かれている。さらに多くの省で感染が広がっているが、全体では1日当たりの新規感染者数が100人未満にとどまる。
公衆衛生の専門家は2022年もほぼ年間を通して制限措置が続くとの考えを示唆しており、中国が掲げる「ゼロコロナ」戦略への疲れを指摘する声が各地で目立ってきた。
10月31日には、上海ディズニーランドで数万人が閉じ込められた。入場客1人が検査で陽性反応が出たことが発端で、残る全員が待機を命じられ、足止めに遭った。花火が上がる中、園内には検査を受ける長い列ができた。
首都・北京では、共産党幹部300人余りが集まる重要イベントを来週に控え、ウイルス封じ込めに向けた「厳戒態勢」が敷かれている。10月28日には、上海―北京間の高速鉄道に乗っていた数百人が車両から退避させられ、隔離施設へと送られた。乗務員1人が濃厚接触者に特定されたためだ。
北京の学校2校は今月1日、各校の教師1人と生徒1人がそれぞれ検査で陽性結果となったことで閉鎖された。ネットに出回った動画によると、そのうち1校の校長は、生徒らは検査結果を待つ間、校内で一夜を過ごすことになるとして、親に枕と毛布を届けるよう指示。その後2週間の隔離には、生徒1人につき親1人が同伴できると説明している。
また陽性反応が出たその教師と同じワクチン接種会場でブースター接種(追加接種)を受けていた学校職員が勤務する別の数十校もドミノ連鎖で閉鎖に追い込まれた。
北京住民の中には、追跡アプリで感染者が出た場所に居合わせたことが判明し、当局が一元管理する隔離施設に送られたか、ドアの外にセンサーが設置された状態で自宅待機を命じられたと話す者もいる。たとえ、それが数分の滞在であってもだ。
中国商務省は1日、冬場を控え、家庭や業者に対して必要品を確保しておくよう指示。さらなるロックダウンに住民を備えさせるための措置だと広く受け止められた。ただ、同省はその後、発表について考えすぎないよう市民に促している。
中国は2年近く前に武漢の封鎖を決めて以降、引き続きロックダウンに加え、大量検査や強制隔離を徹底して実施している。厳しい規制を敷いていたオーストラリアやシンガポールといった国々が緩和方向へとかじを切った後でも、中国は変えていない。
データをみる限り、中国は他の国・地域に比べて、驚くほど封じ込めに成功している。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、累計の感染者数は11万人、死者は5000人未満だ。これに対し、米国は感染者が4600万人余り、死者は75万人近くに上っている。
習近平国家主席は2020年1月以降、中国を出ておらず、20カ国・地域(G20)といった国際会議にもネット経由で参加するなど、バーチャル外交に徹している。
ミシガン州立大学の社会学者、スーフェイ・レン氏は、中国は世界で最も厳しいと言える封じ込め対策を講じていると話す。中国のような地方と中央政府の双方が市民を徹底監視する仕組みは、危機時には極めて有効だとし、これは市民が比較的従順に規制を順守していることからも見て取れるという。
だが、自身も中国にいる父親に2年会えていないというレン氏は、厳格な国境封鎖による人間への影響をあなどるべきではないと指摘する。「中国が扉を閉ざしていることで、人と人の交流が断絶されており、その喪失感は計り知れない」
中国は来年2月の冬季五輪に続き、秋には習氏が3期目続投を目指すとされる第20回共産党大会といった大型イベントを控えており、近く規制が緩和される兆しは全くみえない。
中国の呼吸器疾患の専門家、鐘南山氏は、感染拡大が発生するたびに封鎖の導入と解除を繰り返すよりは、ゼロコロナ戦略の方が代償が少なくて済むとして、適切だとの考えを示している。(中略)
在中国欧州連合(EU)商工会議所のヨルグ・ワトケ会頭は、中国のコロナ対策により、外国企業は将来の計画を策定するのが一段と困難になっていると話す。
ワトケ氏は「隔離が長いほど、中国への影響も大きくなる――とりわけ、ハイテク業界はそうだ」と指摘。実質3週間の隔離措置など、中国と簡単に行き来できないことで、専門家やビジネスマンの間で中国への渡航を避ける動きが広がっていると述べる。
瑞麗市の当局者らは、昨年9月以降、4回実施しているロックダウンやその他の封じ込め対策は、ミャンマーからのウイルス侵入を阻止する手だてだと話している。
雲南省保健委員会のデータによると、瑞麗市の市中感染者は年初来、おそよ300人にとどまるが、ミャンマーを中心に外国からの帰国者による感染が7月以降、700人余りに上っている。
中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」では先週、ある大学生が瑞麗市当局が国境沿いの宝石取引市場を閉鎖したことで両親が仕事を失ったと投稿していた。「収入も何の補助もない中で、両親はなお弟の学費を支払わなければならない。Rにはこのような家族が数え切れないほどいる」。この投稿には12万以上の「いいね」の反応があった。Rとしているのは、瑞麗市の規制に絡む投稿に対する当局の検閲を逃れるためだとみられている。
瑞麗市のある住民は、検査ですべて陰性反応だったにもかかわらず、21日間たっても仮設隔離施設から出られないと不満を漏らしていた。半年も隔離施設に閉じ込められ、残る半年は恐怖と絶望の中で生きているという住民もいる。その男性は過去1年に100回近く検査を受けたと言い、こう述べた。「いつまで耐えられるだろうか」【11月5日 WSJ】
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中国商務省が家庭や業者に対して必要品を確保しておくよう指示したところ、台湾進攻の戦闘準備かと大騒ぎになった話は広く報じられています。
それにしても、2歳児ですでに検査を100回、数カ月連続で隔離を強制、一部の飲食店は半年以上休業・・・日本では考えられない措置ですが、政治体制の違いでそれが可能になる中国です。
【「コロナの煉獄」 実現不可能な目標を追いかけているのでは?】
しかしながら、「そうは言っても、いつまで続けるのか?」という話になりますが、中国以外の国々が「ウィズ・コロナ」に舵を切っている以上、ワクチン・治療薬で画期的前進がない限り、今後も中国は外からの感染流入に脅かされ続けるということになります。どうするのか?
中国は世界から切り離されてもやっていけるという中華思想的な発想なのか・・・、あるいは中国製ワクチンの効果によほど自信がないのか・・・といった邪推も起きます。
****中国ゼロコロナ政策は「コロナの煉獄」 米、香港紙などが批判****
<感染者ゼロを掲げる中国当局だが、市民生活に大いなる犠牲が。デルタ株にゼロコロナ路線は無意味との指摘も>
新型コロナウイルスによるパンデミックの長期化に伴い、各国政府は「ウィズコロナ」の考え方に舵を切りつつある。ウイルスの完全な駆逐は非常に難しいとの前提に立ち、医療と経済のバランスを模索するアプローチだ。
一方で中国政府は、新型コロナを国内からほぼ完全に駆逐する「ゼロコロナ」戦略を堅持する。入国時の厳しい隔離措置により水際対策を万全のものとするほか、国内での感染者発生の際には厳格な対応を取っている。しかし、市民生活への影響は甚大だ。
米公共ラジオのNPRは、中国南西部の雲南省瑞里の町が昨年3回もロックダウン対象となったと報じている。ある女性は45日間の隔離生活を命じられ、その間十分な食糧の供給も受けられなかった。
別の夫婦も、不衛生で湯も出ないホテルの一室に突如隔離され、食事も不十分だったという。家には4歳と14歳の娘だけが取り残された。隔離費用は自己負担となり、ホテル代を賄えない人々は貨物用コンテナでの生活を強いられる。
都市部でも厳しい対応が続く。10月30日には、感染者1名が上海ディズニーランドを訪れていたことが判明した。翌夜、警察の部隊がパーク全体を突如として封鎖した。滞在中だった3万人以上の入園者が深夜まで帰宅を許されず、寒さのなか保健所職員による全数検査を待った。(中略)
「ゼロコロナ中止は代償伴う」 中国紙が社説で警告
私生活を大きく制限するゼロコロナ政策に関し、中国国内では肯定的な評価が出る一方、SNSを中心に疑問の声も上がっている。これに対し中国共産党の関連紙『環球時報』は編集長名の論説を掲載し、ゼロコロナを廃止すれば大きな代償が伴うと警告した。
11月4日付の同記事は、「ゼロコロナ政策の維持は高くつくが、廃止はさらに高い結果を招くことに」と題するものだ。記事は一部でゼロコロナへの批判が聞かれるとしたうえで、「私は彼らに反対する」「私が出会った人々のほとんどは、中国のダイナミックなゼロ感染者政策を支持している」と主張する。
記事はさらに、中国は医科学上のブレイクスルーを目指すべきだとも述べている。これにより、中国は「いかなるステージにおいても戦略的主導権を発揮できる」と社説は結んでいる。
厳しい国外の視線 「コロナの煉獄」
しかし、国外の目は厳しい。米CNNは環球時報の記事公開と日を同じくして、「中国のゼロ感染への執念が、いかに同国を『コロナの煉獄』に変えるか」と題する動画を公開した。
動画は、世界でも有数の高いワクチン接種率を誇る日本やオーストラリアなどがウィズコロナ路線を歩みつつあるとし、対比する形で中国路線の特殊性を論じている。ゼロコロナで成功を収めていたニュージーランド、オーストラリア、シンガポールなどでさえ、デルタ株以降は方針を転換する柔軟な姿勢をみせている。(中略)
香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙も、ゼロコロナ路線を転換すべきとの立場だ。同紙記事は「ウイルスが順応した今、中国ゼロコロナの目標は可能性ゼロ 複数の専門家が指摘」との見出しを掲げる。
2004年にSARS第2波の防止に尽力した感染症の専門家などが同紙に対し、SARSとは異なり新型コロナは人間社会に定着しているなどとの見解を明かしている。いま目指すべきはウイルスの完全排除ではなく、(中国製)ワクチンの抗体レベルの減少を把握するための大規模な検査だ、と専門家らは指摘する。
デルタ株の封じ込めは可能か
入念な感染防止対策にもかかわらず、局地的なアウトブレイクが中国の広い地域で繰り返している。ブルームバーグは、中国は過去5ヶ月ほど第4波に見舞われており、半数以上にあたる20の行政区で新規感染者が報告されていると報じている。日ごとの新規感染者数は全土で100人前後と大きくないものの、ゼロコロナへの道は険しい。
CNNは、「にもかかわらずウイルスは急速な拡がりをみせ、ゼロコロナの持続性に疑問を投げかけている」と述べる。中国では感染ピークの到来間隔が短くなり、ピーク期間も長期化する傾向にあることから、当局の感染対策自体の有効性にも疑問符がつくとの指摘だ。
ゼロコロナは、経済面でもリスクを伴う。独コメルツ銀行のアナリストらは米CNBCの取材に対し、中国がゼロコロナに固執するならば、すでに電力危機で弱体化している中国経済がさらに下振れしかねないと警告している。
市民生活に大きな犠牲を強いるゼロコロナ路線は果たして実を結ぶのか、動向が注目される。【11月10日 Newsweek】
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