半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

石塚左玄と食育のお話

2023年06月14日 | 朝取り野菜ボックスのお手紙

今週の朝採り野菜ボックスのお手紙です

 今、風邪が流行っているのですが、基本対策は免疫を高めるしかありません。良く言われているのが「薬には風邪を治す力は無く、症状を和らげる事で余計な体力を使わさせず免疫が働くのをサポートするのが役割」という話です。私もこの世界に入ってこの言葉を知ったときは「えっ、そうなの?」とびっくりしました。

 そして、未病の段階で防ごうとする時に、昔ながらの伝統的養生で良く使われるのが「梅肉エキス」と知りました。青梅を擦ってトロトロにまで煮詰める事で、超濃縮されたもの凄い粘りと酸っぱさを誇る梅の力が詰まっているものです。これを知ってからは、私も子供も体調が悪かったりちょっと風邪っぽかったら「梅肉エキスを舐めて早く寝なさい」というのが習慣となっています。

 そして食卓の守り神はやはり梅干し。今の日本人は肉食が多く体が血液が酸性に傾いていると言われますが、梅干しは強アルカリで体のバランスを整えてくれます。鉄分などのミネラルの吸収も促進し、胃腸を整え、その殺菌力で今の時期の病原菌を抑える力もあります。胃腸が弱った時におかゆと梅干しという組み合わせは、理に叶った食事なわけです。しかも本物は美味しい

 そんな梅干しといった伝統食を始め、江戸時代までは日本は漢方を中心にした医療だったのが、明治に入り、肉を中心にした西洋料理ばかり食べる人達の中で今までに無かった奇病が流行りました。また医学の世界でも「西洋医学を修めたものが医者だ」と漢方医を無くし、森鴎外のように西洋医学を盲信したばかりに脚気で多くの兵士を死に追いやるという事件も起きました。

 そこで登場したのが、漢方医学も西洋医学も修めたマクロビの起源と言われている石塚左玄です。先週もちょこっと書きましたが、彼は、いわゆる「身土不二」の元となる思想を元に、「人間と自然は一体で切り離せない。その地域の旬が人間にも最も適していて健康的な食べ物だ。そしてその地域で代々伝わってきた伝統的食生活を学ぶべきである」といった「食養生運動」という考えを広げていきました。

 「一物全体」といって、例えば白米は栄養素を取り除いた残り粕であり米は玄米として食べるべきだ、というように「食べ物は丸ごと食べるべき」と言ったのも石塚左玄です。そういった石塚左玄の残した考えで一番凄いな~と思うのは「食育」という考えだと私は思います。「体育、智育、才育は即ち食育なり」「子供の教育の礎は食育である」と日本で初めて説いたと言われています。特にそうだな~と思うのが、「子供の教育において、健康と命に関わる食育が最重要で、それは親が行う家庭教育である」と明言していることです。

 思い返すと私が食卓で言う事は親の受け売りが多いのです。例えば「肉をグー食べたら野菜はパー食べなさい」とか、「ご飯粒を残すとバチが当たるよ」とかです。もちろん、私は今の仕事が農に関わるので、食卓の野菜がどうやって出来たものか、とか、梅干しやラッキョウは世界最強だぞ、とか意識してたわけではないですが、伝えてきました。どうせ高校生ぐらいからマックとかコンビニ飯が増えてくるわけですが、私がそうだったように大きくなって体調を崩したり、あるいは子供が出来た時にどこに立ち返れば良いかわかっているということは、とても大切だと思うのです。

 そして、各家庭にも意識しているかどうかはさておき、それぞれの食育があると思うのです。みなさんの食卓ではどんな会話がされているか、覗いて聞いてみたいものですね~

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