今週の「朝取り野菜ボックス」のお手紙です
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夏休みももう少しで終わりです。子供たちは学校へ行き始め、大人も子供も夏休み前の生活リズムに戻る時期が来ましたね
さて、新米が流通し始めましたが品薄、高値が続いているようです。ただ、お米は1年に1回のものなので、そろそろ流通量がどっと増えてきて価格は落ち着いてくるでしょう。しかし、また来年の夏が近づく頃になると米不足になってお米の値段がまた上がるかもしれません。
私はそれでも良いと思っていて、農家のみなさんも「今までが安すぎたんだよな」と語り合っています。ここ10年、最低が1俵(60㎏)1.2万、平均しても1.3万台がお米の相場で、「こんなんじゃやっていけない」と止める農家が続出していたのです。
お米の値段は需要と供給のバランスから決まると言われていますが、実際はブラックボックスになっていて正確にはわかりません。農協の中央部が決めているようで、そこには政府の意思も関わり、不透明だという人もいます。
ただ、もともと人口減と米離れから需要が減り続けていたところにコロナ禍で更に外食需要が減り、「需要より供給が多いのが悪いのだから、米の作付けをもっと減らせ!」と叫ばれ続けていました。しかし、一般の人はそういった事をほとんど知らないでしょう。我が師匠の高柳さんは「日本では農業の問題は農家の問題とする。でも食べ物は国の安全保障の問題だ、という事がわかっている農業国のフランスなどでは、『農業の問題は我々国民全員の問題だ』という認識がある。なんでこんなに違うんだろう?」と、よくぼやいています。
実際、お米が不足しているという事をメディアがニュースとして取り上げる事で一般の人は知るのが常なので、メディアの問題とも言えるかもしれません。まるで、地球温暖化の話と同じですよね。
2006年にアメリカの元副大統領のゴアさんが地球温暖化の警鐘を鳴らした「不都合な真実」は、世界では大論争になりましたが、日本ではほぼ取り上げられませんでした。2018年に広島や岡山周辺で大被害を出した西日本豪雨も1つのニュースとして取り上げられるだけ。2019年にドイツを中心に地球温暖化に対する大デモがあった時も、日本では気候行動サミットでの小泉議員の「セクシー発言」しか取り上げられませんでした。
結局、2015年に国連で制定されたSDG'Sという言葉を、ここ4~5年、ようやくメディアが取り上げ始めてから環境問題や地球温暖化問題が日本でも浸透した感じです。お米も同様に、今回の米不足を機に、広く国民に「お米は大事」という認識が広がってほしいですし、そのためには多少値段は上がるべき、と思う人が増えてほしいと思います。
ここ3年のお米相場はググっと下がっていましたが、それでもお米を作って来たのは「先祖代々の田んぼを守る」という義務感からでした。
お米を作るためには沢山の機械が必要で、毎年あれこれ壊れるのを直しながら頑張ってきた中心は、平均年齢75歳を超えるいわゆる「後期高齢者」と呼ばれる年代です。しかし、機械が修理では間に合わない場合は借金をしてまで新品を買う年齢でもなく、また体にガタが来て田んぼを止めます。今、その数が急増しているのです。
結局、田んぼをやりたいと思う若手が増えない限り、つまりそれだけの稼げる作物にならない限り、田んぼはどんどん廃れていくんですね。
世界のどこを見ても小麦、トウモロコシ、お米の三大主食は国民を守る生命線で、ロシア・ウクライナの小麦が輸出量が減るだけで世界は大混乱をしています。自給率が低い日本にとって、お米は国民の命を守る安全保証の問題ですので政府はお金をもっと稲作に回すべきだと思いますし、私たちもお米や農業を我が事のように考える時が来ていると思います。
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