朝取り野菜ボックスのお手紙です
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野菜にビックな物が増えてきました
もう何度も書いていますが、本当に今年は過去最悪の気候で、夏は暑いし、雨は降らないし、と思ったら線状降水帯で畑は水没するし、と散々な年だったのです。それが、ついにレタス、カブなど大物が入ってきて、箱を開けた時のボリュームがたっぷりになってきたのです。嬉しいものですね~
ここにあと人参と大根が入れば、秋冬野菜としては申し分ありませんよね。今年は10月出しの大根は千葉県ではほぼ壊滅しましたが、11月半ばぐらいからようやく安定して出始める予定です。人参はお盆前の雨で種撒き直後に叩かれ発芽不良、かつ、9月頭の線状降水帯で水没したり散々でしたが、それでも育っはくれているので、もう少しで出荷開始です
それにしても11月なのにこのポカポカ陽気。あり得ないぐらいの暖かさですが、みなさんはどう感じていますか?
私はその異常さから10月末にこそっとホウレン草の種を蒔いてみたのです。「だから何?」と思われるかもしれないですが、実は今までの経験からはあり得ない事なのです。
ホウレン草は9月上旬から中旬ぐらいに種蒔き適期で、10月に入ってからではちょっと遅く、防寒をしないと育たないのが普通なのです。ただ、今年はあまりにも暑いので、10月末蒔きを試してみたのです。
人間の活動は人間が目標や納期を区切って、それを社会的仕組みにしています。例えば桜が咲こうか咲くまいが3月は卒業式、4月は入学式です。
一方で、農業は人間が自然に合わす仕事です。「桜が咲く頃が種蒔きの適期」というのがある通り、目安として日付はあるのですが、あくまで自然の流れに合わすから野菜が育ってくれるのです。それを人間の都合に合わせようとすると、無理が出るので農薬やボイラーを焚くといった不自然な事をしなくてはいけなくなります。
そうやって長い間、「◎◎はこの時期に種を蒔け」と伝承されてきたのですが、自然の方が狂って来てしまいました。
私がこの道に入った頃から「こんな年は無かった」という声を農家さんから聞いてきました。このお手紙でも「世界的には異常気象が多発し、日本でもここ数年で日本人全体の意識が変わる時が来るでしょう」なんてことを書いてきました。そしてやはりそういった時が来たのだな~と思います。
来年は更に天気が不安定になり、熱波も到来するかもしれません。そして、これまた何度か書いていますが、日本にとって生命線に水がどうなるか心配です。
世界的には水をもたらす源として大きな山、そして大河が必要です。世界的には日本の山や川は急峻で雨があっという間に海に流れてしまうため、水資源が貧弱な地形の国なのです。
しかし、これほど水が豊かなのは必ずといっていいほど梅雨に雨が降るからなのです。今年は千葉県は空梅雨でしたが、もしダム地帯が同様だったら完全に水不足でした。南からの暖気と北からの寒気、この流れが変わり不安定になればなるほど、梅雨前線の発達が乱れます。もし、梅雨が来なくなったら日本はどうなるのでしょう?
実際、農の現場では、昔は当たり前だった夕立が来なくなり記録的な猛暑が続くため、水が撒けない畑では作物が作れない時代に入っています。また、水を蒸散して身体を冷やす葉の面積が少ない長ネギは、もう千葉県では暑すぎて作れないのではないか、という議論もあります。干ばつにも強いと言われているサツマイモも、水不足で光合成が上手くいかず今年は甘みが載っていないようです。
気温が高く雨が降らない、そういった未来が近づいてきているかもしれません。この11月のポカポカ陽気はちょっと見方を変えれば恐ろしい顔をしているかも知れませんよね