今週の朝採り野菜ボックスのお手紙です
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寒くなってきましたが、野菜を作っている身としては、ついに霜が降りたという感じです
今年はずっと暖かい日が続いていたので、野菜の生育が前進して年明けに出す予定の野菜がもう全部大きくなってしまって、現場では大量の破棄が出ています。そんな中で霜が降りると、野菜達は「こりゃいかん身体を引き締めて霜にやられないようにしなくちゃ」と一気に糖度を高めて身が引き締まり美味しくなります。
また生産者からすると、「ようやく霜が降りてこれていったん野菜の生育が止まる」と、ほっとします。もっとも、春菊などは寒さに弱いので終わりが近いというのを感じますし、同じく寒さに弱い里芋やサツマイモ農家は「早く掘り上げないと」と気が急くのも霜です。
寒くなると野菜達はギュッと身を縮めて糖度を上げ、寒さへの耐性を上げます。今回入れた日本ほうれん草も葉が縮れ気味になりようやく美味しくなってきました 特に赤茎に甘みが載ってきた感じです。
本来、この時期には砂糖のように甘くなるのですが、そういった意味ではもう少し寒さに当たった方が良いかも知れませんね。
ただ、前も書きましたが、日本ほうれん草は葉より茎の方が多くタンポポのように地べたに這うように育つので、収穫の手間が凄くかかります。さらに赤茎を残す収穫方法は手間もよけい増えるので、普通のほうれん草に比べて2倍ぐらい作業の時間がかかるのです。みなさんも茎のところの泥を落としたり洗ったりするのに手間がかかると思います。それでもやっぱり美味しいんですよね~
前回ちょこっと案内した黒田五寸人参も割れやすいのですが、美味しさは格別です。ただ、そういった一昔の野菜は食卓にのぼらなくなってきてしまいました。
例えば、お正月の八つ頭について先日の「田んぼと畑の耕育教室」で聞いたら、もはや過半数が「知らない」という反応でした。三浦大根も知らない人が多く、作るのも手間、料理も手間、という昔ながらの野菜がどんどん廃れていっています。
まあ、カット野菜が売れ、電子レンジでチンをするのが料理という世の中ですから仕方ありませんが、ちょっと前までは「食こそ命を作る源」という目や「感謝」の心があったんですよね。
例えば寒さに負けず耐え忍ぶ野菜の命を頂くから、人間も寒さに耐えれる身体になっていく、という考えですね。南国からフルーツを取り寄せて冬に食べるのは自然ではない、というのが「身土不二」という考えです。つまり、自分が住んでいる地域の食べ物を食べよう、という考えですね。そういった事を学ぶ人も増えた一方で、昔ながらの野菜がどんどん廃れていっているのも今の世の中ですよね。