昨日の相談事例です。
(ホヤホヤ事例に合わせて、花も昨日の散歩のときに撮ったホヤホヤ写真です!)
満開のスイカズラ
MMSが15点。
時間:2点
場所:2点
計算:0点
想起:0点
模写:0点
前頭葉検査は見事に不合格
立方体の模写:不可
動物名想起:2個
かなひろいテスト:正答はゼロ。内容把握も「ももたろうの話」
生活実態に関しては
「本人に確認しても、ほとんど自覚がなく家族からの聞き取りとする」
とのコメントがあって、ちょっと笑ってしまいました。
その自覚のなさが中ボケの中ボケたるゆえんですからね。
同居のお嫁さんは
①②⑤⑦⑧⑪⑭⑮⑳にしっかりとマルをつけています。 中ボケですね。
具体的な生活実態として
・何度も通帳をなくす。
・風呂の空焚きをする。
・ほうれん草のおひたしにクリープをかける。
・洗米はできるが、炊飯スイッチではなく保温スイッチ を押してしまう。
などの訴えがあったそうです。
二段階方式を学んでいる私たちは、まさに「中ボケ!さすがに家族(特に嫁)の目は正確だなあ」と感嘆するわけですが、世の中ではこれでも、まだ「ボケてるのか?そうでもなく年のせいか?だってちゃんと話はできるもの」と悩むレベルでしょう。
生活歴の確認をしたら、5年前に可愛がっていた孫が大学進学で転出したとのことで、ごく普通の、老化が加速されたアルツハイマー型認知症(中ボケレベル)と考えて問題はないように思われます。
みなさんは、脳が老化を加速する時「時の見当識」が難しくなっていく順番があることを覚えていますか?
詳しくはAマニュアルの44ページに解説しています。
このことは、とても大切なことですから検査の時にはいつも忘れないようにしてください。
「時の見当識」を一番最初に確認しますから、その後に続く検査の大まかな成績の見通しを立てることもできるのでしたね。(Aマニュアル47ページ)
この検査を実施したH町のM保健師さんは、とても丁寧に「時の見当識」を確認しています。
客観的に採点することはもちろん大切ですが、それ以上に心がけていただきたいのは、「実力はどうなっているか」を知ろうとするテスターとしての心構えです。
年月日に関しては「5月」とだけ答え、季節はわからない状態だったので
「春夏秋冬のどれですか?」と聞き直してみると
「秋」という答えになったそうです。(ここで落ちる順が違うことになりますね)
そこで確認のために
「秋ですか?」ともう一度問い直すと
「田植えの時期だから・・・夏かな」と。
そこでさらに「夏のどのあたりでしょうか?」と確認したら答えられないために季節は0点という評価でした。
テストのやり方・評価ともに完璧です。
問題は低下順がおかしいことです!
話は変わるようですが。この方が描いたA4判用紙を見てください。
名前に注目しましょう。
(画像にカーソルを当ててダブルクリックして大きくしてください)
姓は遠藤さんと言われます。
「遠」はどうにか書けていますが、
「藤」は似ても似つかない字になっています。
もともと、自分の名前は目をつぶってでも書けるものです。左手でも書けます。
もちろん大ボケになっても、かなり長くまで書けるものです。
この方は、カタカナ3文字の名前は書けていますし、文章も書けています。
それだけに自分の姓 が書けないということを重視しなくてはいけません。
結論として言えることは、この方には失語症があります。
だから、自分の名前が書けなかった。
だから、今の季節はわかっているのに(着衣が正常)季節が言えなかった。
こんな散歩道も
生活上に問題が出てきていますから、失語症だけではなくて脳の老化が加速してしまったこともあります。
老化が加速するきっかけは、孫の大学進学だったかもわかりませんし、失語症の発症だったかもわかりません。
家族からの詳細な聞き取りで、かなりのことが、明らかになるでしょう。
たった20分間の検査から、このくらいのことまでわかる二段階方式ってやはり魅力的ですね!