原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

左都子の「自然科学概論」 小講座 Ⅶ

2021年07月26日 | 学問・研究
 (冒頭写真は、原左都子2度目の大学にて受講したA先生による「自然科学概論」授業の我が講義ノートより転載したもの。)



 前回に引き続き、ギリシャの天文学者とその業績の紹介を続けよう。

          
 コペルニクスは自身の天文学に、前回に述べた離心円・周転円理論を大いに取り入れた。
 しかし、エカントの理論は嫌ったらしい。 数学的に考えられている点に過ぎず、それが重要な役割を果たす訳がないと考えた故だ。
 
 その離心円・周転円理論だが、一次元的な理論(平面モデル)であり、リアルな星の世界を写し取っているとは考えられない、としている。
 占星術との目的のために作られた理論であり、そのため一方的にのみ正確な理論となっている。


 異端的な思想として。
 地球自転説が、ポントスのヘラクレイデス(B.C.388~310)より大胆に主張された。
 しかしこの説はあまりにも当たり前過ぎて、力学的論議により否定される運命にあった。 大地がもしも動くとすれば、大地から離れている鳥・雲等々はその場に取り残されるはずだ。
 ただ現在は“慣性の原理”(近代力学の基本 ガリレオ、デカルト)によりこの考え方はしないが、古代の力学観は異なっていた。
 “運動には原因がある” “何ものかが動かしている”  これが大原則。
 
 これに関してコペルニクスは、大地から離れているものも大地と同じ類のもの、故に一緒に動く、とのオカルト的な説明しかできなかった。  
 

          
 ティコブラーエはコペルニクスの天文学は認めたが、地動説は否定した。

 サモスのアリスタルコス(B.C.310~230)は、太陽と地球、月と地球との距離の比を測定した。 
 半月になれば月から地球及び太陽との角度が直角になることから、それを証明した。(上記写真内図参照) 
 この理論はアルキメデスにより証言されているが、詳細は不明。
 ただこの太陽中心説のメリットとは逆光が説明できることにあり、オリジナリティがあり評価可能なアイデアであった。
 しかし、後世へは紹介されていない。

 本小講座は、きりがよいためここで終了しよう。


 
 原左都子の私見だが。

 哲学者であるA先生は実に博学な教授であられたが、随分と細かい部分にまで探求と考察が及んでおられる。
 おそらくご専門ではなかった古代天文学に関しても、これ程詳細に解き明かされているのに脱帽だ。
 
 最後に紹介したティコブラーエやアリスタルコスなど、私はこの授業で初めてその名を知ったのだが。
 いわば“地動説”を初めて否定し、“太陽中心説”の礎(いしずえ)を築いた古代の科学者達であったということだろう。
 
 そんな古き時代から科学に於いて仮説検証が確実に実行されていた事実に、元科学者の端くれとして感動するより他無い。