原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

塾も学校も教えない 原左都子の「大学公募制推薦」必勝法

2021年07月09日 | 教育・学校
  もうすぐ東京五輪がやっとこさ“無観客で”始まろうとしているこの時期に。



 何故、受験にまつわる話題を取り上げるのかと言うと。

 つい先ほど朝日新聞にて、「塾が教えない中学受験必笑法」と題するコラムが目に入った故だ。

 この記事を読まずして、ほぼ10年前に経験した我が娘の「大学公募制推薦受験・合格」騒動が我が脳裏に鮮やかに蘇ったのだ!
 早速、その受験・合格騒動を、以下に記載させて頂こう。

 我が娘の場合、私立中学受験期のみ民間の学習塾にお世話になったのだが。
 これが教員経験がある我が身にして、何の役にも立たないと言うのか、その指導法や指導者の態度に辟易とさせられてばかりだった。
 そんな塾の指導方針にイライラしつつも、サリバン母の指導ばかりでも我が娘の身が持たないかと冷静に判断し。 役に立たずとてよいから、とにかく娘の学習環境が変わって息抜きにはなるだろうと判断し、塾通いを続行させたものだ。
 ただ、我が娘の良きところを見抜いてくれる指導者もいたりして、娘はそんな指導者に可愛がられつつ受験を迎え、結果として私立中学合格を果たしてくれた。


 時が流れ、中高生時点での我が娘の大学学部志望分野が「芸術系」であったため、高1時点から美大予備校に通わせることにして。
 学科勉強はあくまでサリバン母の私が単独で担当することとした。

 その状況が高2の終わりまで続行した娘だったが…
 高2が終わる3月のある日に、突如と娘が涙ながらに私に訴える。「デッサンが出来なくて…  もう美大予備校は辞めたいし、美大受験も辞める…」
 こんな切羽詰まった事実を訴えてくるのは、発達障害で寡黙な娘にして生まれて初めてのことだった。
 娘がこれまで、未熟な心の中でどれ程苦しんできたのかが、サリバンの私には手に取るように把握出来て、一緒に泣いた。

 そして私は、即刻娘に告げた。
 「分かった。 それでは進路を大幅に変えよう。 今ならまだ公募制推薦が間に合うはずだからそれを狙おう。 で、貴女は別の具体的志望先はある?」 娘が即答不能であると想像していたら、やはりその通り。
 そこで私は、高校から配布されている「大学指定校推薦・公募制推薦一覧本」を取り出して、娘と二人でしらみつぶしにそれを一覧した。

 ここで、既にサリバン母としての志望先を絞り込んだ。
 それが可能であるのは、娘の学習指導を小学校入学前より長年に渡り日々執り行ってきていた故である。
 娘の現在の学業成績詳細に関しても十分に把握している私は、2,3の候補先を娘に提示した。
 その中から娘自身が決定したのが、娘が入学して卒業した大学学部学科であった。

 その後、今後の合格に向けた対策にすぐに着手することが叶った。

 娘は公募要件である「高校出席日数」「英検準2級・漢検準2級合格」を、厳しい日々のサリバン指導により早期に満たしていた。
 高校の教科評定基準(と言ったかな?)も4,2をゲットしていたし、公募制推薦出願条件のすべてが出揃った。

 後は、秋に実施される大学における「小論文課題」及び「面接」対策だ。

 特に「面接」に関しては、学校でも指導いただけるとのことで、それにお任せしてみると。
 くだらない指導をしてくることが気になった。 必ずや制服を着用して髪を結んで質素ないでたちでのぞむように。 だの、 娘の場合は2年間美大予備校へ夜間毎日通ったのだが、それは面接では決して言うな。 だの…

 元高校教諭である私は、「それは違う! 貴方の高校教師たちは随分と旧態依然とした思想の持主が多いようだが、そんな地味な風貌で寡黙な貴女が面接に臨むべきではない! 貴女はお洒落が得意だし、まず制服で行くのは辞めよう。 色彩は控えめにした方がよいが、貴女なりのお洒落をせよ。 それから、美大受験予備校へ2年通った事実を必ずや面接官に告げよ! 高2の終わりに挫折したとはいえ、2年間美大受験に向けて頑張った歴史を公にするべきだ。」 
 
 片や小論文課題に関しては、私こそが娘の志望大学にて収集してきた小論文過去問を分析し、私自身が傾向と対策の指針作りを施し娘に指導した。 
 娘の場合内容的にはある程度書けるものの、時間不足で字数が満たせない。
 それを受験前日の夜までとことんサリバンの私が徹底的に指導を続け、何とか時間内に文字数が満たせるまで持ち込んだ。

 そして受験当日は、「とにかく自信を持って頑張ってくるように!」とのエールと共に送り出した。

 公募制推薦受験から帰宅した娘の態度が明るかったのを、私はよく覚えている。 小論文も字数不足にならずに書けたし。 特筆するべきは、面接に於いて娘が高2の終わりまで夜間美大予備校へ通っていた事実に関して高評価されたというのだ。  と言うのも娘の進路先の学科が「美術」要素を必要とする部分もあり、実際に面接官に美術分野の教授がいて、その人物と娘を通わせた美大予備校に関して話が盛り上がったらしいのだ。


 これ、いけてる!!
 その思いで合格発表を待ちわびていた母娘の元に、まさしく「公募制推薦合格」通知が届けられた。
 我が娘に対する厳しいサリバン受験指導は、見事に花開いた!