原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

後10日で、東京五輪が始まってしまう…

2021年07月13日 | 時事論評
 私め原左都子は、昨今のコロナ禍に関わらず。


 ブエノスアイレスにて2020年夏季五輪の開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会が開かれ、IOC委員の投票で7日東京が選ばれる以前より、2020東京五輪開催断固反対派である。

 それ故に、当時ブエノスアイレスのIOC総会会場で安倍氏や滝川クリステル氏等々が「お・も・て・な・し… 」なんだかんだと大騒ぎをしでかした時点から、嫌悪感を抱き続けている立場だ。

 その嫌悪感に拍車をかけられるのが、昨今のコロナ禍下での強引な五輪・パラ大会の強行劇である。


 本日2021.07.13付朝日新聞「耕論」のテーマは、「プランBが見えない」と題して。
 「この道しかない」とばかりに物事が進められてきた新型コロナ対策や東京五輪の問題。 菅政権で「プランB」(代替案)が見えてこないのはなぜなのだろう。
 を問う内容となっていた。
 
 その中から、漫画家・随筆家 ヤマザキマリ氏による「わたしたちはイワシの群れか」と題する耕論を、以下に要約引用しよう。

 これほど非難が絶えず、わだかまりが残る中で始まる五輪は今までなかったことだろう。 菅首相や官僚は何を話し合っているのか詳しい説明はしないし、国民は国民で徹底して議論することも無い。
 東京五輪をパンデミック(世界的大流行)の中でもやらなければならない具体的な理由が知りたい。 ただただ「うまくやりますから」では、バカにされているような気がするだけだ。
 疫病が発生している最中に人間が一斉に集まるなんて、古代の人ですら誰もしていない。 イワシの群れのように一斉に一緒に動いてそのうち数匹は食われてしまうが、それでも大半が生き残れるからいいだろう、との感覚なのか。
 為政者が簡単に統括できるのは、人があまり深く物事を考えない社会だ。 様々な意見を生み出す知性や教養は邪魔になる。 長いものには巻かれてしまう社会的傾向には抗えないにせよ、その状態を離れた位置から俯瞰できるようになるべきではないか。
 「場合によっては五輪が出来ない場合もある」と最初から頭の片隅で思っているべきだ。 災害が起きた時もプランBやプランCを持つ人の方が冷静だ。(中略)
 イタリア人は人の話も聞かず列を作れば横入するような人たちが少なくないが、最初のロックダウン(都市封鎖)の時は、なぜか一斉に規律を守った。 いざという時にどうするべきかを自分で考える訓練ができていた結果だろう。
 オーケストラでは、それぞれの楽器でソリストとして素晴らしい音楽を演奏することもできるが、そんな彼らの特性をよく理解した指揮者に当たれば、統括した時に素晴らしい交響楽になる。
 それこそがイワシやアリとはまた違う、人間という精神性を持った生き物にふさわしい群衆社会のあり方なのではないかと。 

 (以下略すが、以上朝日新聞本日付「耕論」より一部を要約引用したもの。)



 私事及び私見に入ろう。

 私め原左都子も、1979年時と2016年時の2度イタリアを単なる観光旅行にて訪れたことがある。 その際に経験したのは、イタリア人の実にフレンドリーで親切な対応だった。
 例えば1979年の旅行時には革製品店でバックを買い求める際に、若き女性店員氏が私の財布に着けていた和風のストラップが「とても可愛い!」と感激してくれ、「それがどうしても欲しい」とねだる。 「商品代金を値引きするから」と事でそれに応じたら実に喜んでくれた。
 あるいは2016年時の訪問でも、宿泊ホテルの係員氏に実にフレンドリーな対応を受けたり、特急列車内でもお隣の座席のビジネスマン氏等に親切に対応いただいたものだ。
 ヤマザキ氏の場合、長年イタリアに住まれたご経験を語っておられる故にその印象は異なって当然であるのだろう。

 ヤマザキ氏が記されている「イタリア人はロックダウン時に一斉に規律を守った」との部分が、我が国の首都・東京に於ける4度にも及ぶ「緊急事態宣言」と明らかに異なる部分だ。

 いや我が国においても、昨年春の第一回目の「緊急事態宣言」時には、(特に都心部に於いて)都民は一斉に外出を控えた記憶がある。
 銀座、新宿、渋谷… その大混雑都市部での人手が歴然と極少になった記憶が我が記憶が今尚鮮明にある。

 それが、「緊急事態宣言」が2回、3回、4回となるにつれ…
 政治が悪いのやら、国民がバカなのやら……

 結論から言うと、我が国の場合は絶対的に「政治」側の責任! と私は結論付けたい。
 少なくとも、菅政権よ。
 IOCに迎合してでも自身の身を守ることと、国民の命のどちらが大事なのかはあなた方自身が判断するべきことだった!
 その能力がそもそも欠落しているのだから、ここにきて菅政権の支持率が急低下してもやむを得ない、という事だろう。

 表題のごとく、まさに五輪開催まで後10日と迫ってしまった現在。

 今からでも遅くないから、菅政権はこの五輪・パラ期間は、国民の命を守ることに最大限尽力するべきだ!
 (と書きつつ、菅政権にはその能力が根本的に欠落している事態が見て取れるのが、一国民として実に悲しい…)