原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

5/8 理研調査委「STAP論文取下げ」記者会見を論評する

2014年05月10日 | 時事論評
 小保ちゃんて、「テラトーマ」すら英語で書けないの??

 これは、先だっての5月8日(木)午後3時半よりテレビにて放映された、理研調査委員会による小保方氏STAP疑惑に関する「再調査不要・論文取り下げ」発表の記者会見を視聴した原左都子の感想の一つである。


 上記記者会見以降、小保方晴子氏が理研調査委に提出した「実験ノート」の「テラトーマ解析について」と題する一ページが世間を賑わしている様子である。
 マウス2匹がそのページに描かれて、その周辺に言葉少なに実験の解説が施されているようだ。 その解説用語が一部を除きほとんど日本語でなされている事に違和感を抱かされる。
 通常、医学を含め理化学分野の専門用語とは英語や諸外国語由来のものが多い。 その実験を実施する場合も自ずと海外文献に依存する機会が多く、実験ノートもそれに付随して英語や諸外国語を多用する事となるものだ。
 ところが小保方実験ノートの場合、表題の「テラトーマ」からして日本語表記である。 これには元医学関係者としては意表を突かれる思いである。 

 何と申しましょうか。
 描かれているマウスがいかにも可愛らしければ、ノート1ページ全体の雰囲気が“女の子”らしくて、これがもしも絵本か何かだったならば、小さい子供にも受けそうな(よく言えば)暖かさや微笑ましさが感じられる。
 なるほど、小保ちゃんて一部の国民に人気があるように、そもそも可愛らしいキャラなのかな~~。 
 などと元医学関係者の原左都子にして、的外れに小保方ノートを楽しんでいる場合ではない。


 とりあえず5月8日の理研調査委による記者会見の内容の一部を、原左都子の記憶範囲内で私論も交えつつ以下に振り返ってみよう。

 テレビ記者会見では渡部惇委員長の冒頭の挨拶及び簡単な説明しか放映されなかった。
 4月9日の小保方氏不服申し立て会見が2時間40分に及び長々とテレビ放映された事と比較して、メディアの扱いの歴然とした偏りの程はどうした理由によるものか?
 それは視聴率が稼げる小保方会見を優先したに決まっている事など承知の上だが、それにしても、理研調査委側の言い分ももう少し「生」で聞かせて欲しかったものだ。

 渡部委員長は、冒頭で今回の論文疑惑に関する「悪意」の意味合いに関して解説した。
 ここで私事だが、医学、法学両者の学問経験がある原左都子としては、一番最初に渡部氏がこの話題に触れた事を評価したい。
 渡部氏がメディアを通して言いたかったこととは、「悪意」とは理化学分野に於いては法律上の「故意」に該当するが、及ぼす「害」に関してはその解釈を法律上のものとは異にすると説明したかったものと思われる。 今回のSTAP疑惑に於ける「害」とは、“結果が真正ではないものになっている”、との若き小保方氏に対する配慮範疇だと私は理解した。
 要するに、小保方氏に「悪意」があったと結論付けた場合、医学も法律もわきまえない庶民に対するマイナスのインパクトが強すぎると判断しての理研側からの“弁護の意味合い”があったのではなかろうか?

 次に、小保方論文電気泳動写真内の“切り貼り”を理研委が「改ざん」と結論付けた場面を取り上げよう。
 これに関しても、渡部氏はこの“切り貼り”に関して小保方氏に(上記の意味合いでの)「悪意」があったか否かに関して取り上げていた。
 その説明内容とは、「電気泳動写真のレーン3の挿入」「その画像」「挿入位置」に関して調査結果を提示した上で、最終的には小保方氏の「目視による確認だった」事実に関して科学的根拠を有していない故に「改ざん」に当たるとの結論に至ったようだ。
 これに関し調査委は、小保方氏が2012年「ネイチャー」への論文提出後、「サイエンス」誌へも論文を投稿し、ネイチャー誌とは異なった内容を提出している事実にも触れた。 これに関し小保方氏からは「サイエンス誌への論文は未公開であり、ネイチャー誌とは関係ない」との理由で、理研委よりのファイル提出要求にもかかわらず、小保方氏側からの提出がない事実も「改ざん」決定の一因としているようだ。

 小保方氏ネイチャー論文「捏造」疑惑に関しては、誰しも分かり易いだろう。
 世に名立たる科学誌「ネイチャー」への論文提出に当たって、自分の過去の博士論文へ掲載した写真のコピーを誤って載せた、なる言い訳を誰が信じると小保ちゃんは思っているのか。
 おそらく理化学を心得ない庶民とて、これは怪しいと勘ぐることであろう。
 そうしたところ、やはり写真捏造に関する理研調査委の説明も短かった。
 これに関する小保方氏の「悪意」の程とは、「一枚一枚写真を確認するべきなのに、それをしていない」データ管理のずさんさこそが「悪意」に該当するとの調査委の説明である。


 最後に、原左都子の私論を述べよう。
 
 今回の理研調査委の記者会見内容に概ね賛同するのが私見である。
 ただ世には小保方氏弁護見解や、理研体質こそ改善するべきとの意見が蔓延している事実も重々承知している。  前者に関してはともかく、後者に関しては全くその通り!との私論を抱いているのが事実だ。

 そこで今回は表題の通り、あくまでも去る5月8日の理研調査委記者会見に関する私論を述べるにとどめ、また日を改めて、STAP細胞騒動に関する理研体質関連エッセイを綴り公開したいと心得る。