原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

棄権して改めて悟る素人対象ランニング大会の“是と非”

2014年05月19日 | 時事論評
 (写真は、昨日東京都千代田区皇居周辺歩道にて実施されたランニング大会のスタート地点で原左都子が撮影した写真に不鮮明処理を加えたもの。)


 昨日(2014年5月18日)、上記皇居ランニング大会を「棄権」した私だ。

 何故、棄権したのか?  「原左都子エッセイ集」読者の皆様はご存知の通り、4月中旬に自宅ベランダで転び、現在全治2ヶ月の骨折を体内2箇所に抱えている故である。

 当該ランニング大会の「スタートリスト」がネット上で公開された時点では、私の骨折具合も相当回復に向かっていた。 「これは出場できそうだ!」」と一時出場に向けて動き出した私だが、結局処々の事由により出場を断念するに至った事はバックナンバーにて既述している。


 さてランニング大会当日が迫る中、私は当日の天候を日々調査していた。
 何故ならば、もしも当日「強風・雨天」等が予想される場合、棄権する事の“無念の度合い”が軽減されるからだ。 素人ランナーである私の場合、悪天候下でのランニング大会出場など体力的にも(美容観点からも)叶う訳がない。  身勝手にも、もしも当日悪天候だったならば…などと大顰蹙の我が身息災志向に陥っていた。

 ところが我が天候調査も虚しく、当日は輝かんばかりの青空が広がっているではないか!


 そしてランニング大会当日、私は当該大会に出場する我が娘の応援をする目的で皇居桜田門へ向かった。

 受付にて、「今回は怪我のため棄権する」旨を告げつつも、私は「ゼッケンを下さい!」と申し出た。 そんな事を申し出る私に意表を突かれたらしき若き女性係員氏から「なるほど!」なる不躾な回答が返って来た事態に、こちらこそが意表を突かれる。 (まさか、STAP小保方会見の真似をしたのではなかろうが??) この現象を考察してみるに、私の推測では棄権するランナーがわざわざ現地に出向く事など皆無なのであろう。
 そのお隣にいた係員氏より「お大事にして下さい」との言葉を頂き、多少は現地に出向いてよかったとの感覚を得たものである。

 
 冒頭表題にて示した通り、今回のランニング大会はあくまでも「素人」を対象として実施される大会である。
 それでも出場しているランナーの体格や動きを見れば、素人の私でも出場者個々に対してある程度の“ランニング歴”あるいは“スポーツ歴”が見てとれるのが興味深い。
 
 片や、そのような履歴が一切無いに等しい(要するに原左都子同様の)“ド素人ランナー”達の間に、イッパシのランニングウェアが流行している事を、情報源に詳しい私が認識していない訳がない。
 今回の大会に於いては、その種(ブランド物のランニングウェアに身を包んだ)“まず外見から入ろう”なる素人ランナーが急増殖している現実を見てとった。 商魂たくましい我が国繊維業界やスポーツウエア産業に踊らされている庶民行動の片鱗をみる思いだ。 
 (参考のため、私自身も“外見から入る”タイプだが、“右にならえ”現象に嫌悪感を抱く天邪鬼の私は、皆が着用しているランニングウェアは故意に避け、独自にスタイリングした格好でランニングを楽しんでいる。)

 
 
 そもそも、この大会にかかわらず素人対象ランニング大会に出場エントリーしているランナー達とは、そのほとんどが職場等団体による小集団か、家族同志か、あるいは個人である。
 いつもは私自身が大会に出場している身のため、それら「集団」を観察する時間が取れないのだが、今回は娘の応援側に回ったため「集団」の動きの程を詳細に観察出来た。
 我が観察力によれば、応援側も自分のグループ“以外”の出場者には全く興味がないようだ。  (確かに原左都子自身の感想を語っても、ヘボく走っているド素人ランナーには興味が向かないのは事実ではあるが…。)

 反面、将来五輪にも出場出来そうな体格面、素質面で将来性が見て取れるアスリートは、私は大いに興味を持って観戦した。  参考のため、今回のランニング大会女子5キロの部で優勝した未だ小学生と思しき少女には、未来に向けるランナーとしての可能性に大いなる興味を抱いた。
 ところが周囲の皆さんはそんな事にも一切関心がないようで、ただただ自身グループ身内の応援のみに特化していた事実が気にかかる…   自分の仲間や家族にしか目が向かない狭い視野範疇で、一体全体何を目的にランニング大会に出場し、また応援しているのだろう?? 

 しかも「ド素人対象ランニング大会」とは、今時そのほとんどが一般市民の皆さんと場を共有しての大会運営である。
 さすがに、これに関して開催側が熟知し大会運営している現状に“一応”安堵する。
 ところが原左都子に言わせてもらえば、この対応も特にランナーに対して生ぬるい。
 「お母さん、子供さんが走路に出ていますよ。 ランナーとぶつかるのでご注意下さい!」 と叫んだとて、所詮ここは皇居周辺との公的場所だ。 大会観覧者である子供とその母親を叱責する以前の問題として、大会主催者が取るべき対応とは、ランナー側こそが観覧者や一般市民にぶつかるのを塞き止めるのが先決問題だろうが!?! 
 もしや一般市民との間で何らかの事故やトラブルが発生した場合、必ずやランナー側あるいは大会主催者側が法的責任を負うはめになるのは歴然だ。


 最後に原左都子の私論で締めくくろう。

 世に「ド素人ランナー」が増殖していいだろう。 私とてその“端くれ”だ。

 いつもランナーの立場でランニング大会に出場してばかりいないで、たまには今回の私のように、今一度初心に戻って大会の様子を観客として眺めてみてはどうか?
 特に公道等公的場所を占拠して実施される「ド素人ランニング大会」とは、一般市民の皆さんにとって“大迷惑”であるどころか、大いに“危険な場と化す”ことも認識出来るであろう。

 まさか、走る趣味を持った自分こそがこの世で一番偉いなどと、たかが“ド素人ランナー範疇”で「そこどけ、そこどけ!」気分に陥り、大いなる勘違いに浸っていない事に期待したいものだ。