原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

小保方論文“切り貼り”は何故「改ざん」と確定されたか?

2014年05月21日 | 学問・研究
 今回の我がエッセイ内容は、朝日新聞5月15日朝刊記事に依存するところが多大である事を、最初にお断りしておく。


 「原左都子エッセイ集」5月10日バックナンバー 「5/8理研調査委STAP細胞論文取下げ記者会見を論評する」 と題するエッセイに於いて、私は以下の記述をしている。

 小保方論文電気泳動写真内の“切り貼り”を理研委が「改ざん」と結論付けた場面を取り上げよう。
 これに関して、理研委渡部氏は論文内“切り貼り”に関して、小保方氏に(上記の意味合いでの)「悪意」があったか否かに関して取り上げていた。
 その説明内容とは、「電気泳動写真のレーン3の挿入」「その画像」「挿入位置」に関して調査結果を提示した上で、最終的には小保方氏の「目視による確認だった」事実に関して科学的根拠を有していない故に「改ざん」に当たるとの結論に至ったようだ。
 これに関し調査委は、小保方氏が2012年「ネイチャー」への論文提出後、「サイエンス」誌へも論文を投稿し、ネイチャー誌とは異なった内容を提出している事実にも触れた。 これに関し小保方氏からは「サイエンス誌への論文は未公開であり、ネイチャー誌とは関係ない」との理由で、理研委よりのファイル提出要求にもかかわらず、小保方氏側からの提出がない事実も「改ざん」決定の一因としているようだ。


 遡ってその1ヶ月前の 2014.4.10バックナンバーに於いて、私は 「4/9 小保方会見、むしろ科学者として墓穴を掘った」 なる表題のエッセイを公開している。
 その中から、小保方氏が電気泳動写真に関するネイチャー論文が「改ざん」ではないと主張した箇所、及び小保方氏の弁明に大いなる落ち度がある点を原左都子が指摘した部分を振り返らせていただこう。

 〇 電気泳動写真が「切り貼り」されている事実に関する釈明に関して。
 小保方氏によれば、論文の不具合が発覚した時点で科学誌「ネイチャー」担当者に電気泳動写真の「切り貼り」に関して質問したそうだ。 その結果、「切り貼り」自体は許容できるが、それをする場合「切り貼り」をした事実を黒線で囲む等の手法により明記するべき、との回答を得たとの事だった。小保方氏としては、その措置をしなかった部分のみで自分に責任があり、これは「改ざん」に当たらないとの説明だったが。
 元医学関係者であり「電気泳動」実験もこなしてきている私にして、初めて耳にした話である。
 もし、ネイチャー発言が正しいと仮定しても。  世界トピックス的論文発表に於いて何も電気泳動写真「切り貼り」などとの“極めて危険性の高い処置”をせずとも、(ご本人曰く)200回も成功した(らしい)STAP細胞実験過程に於いて、幾らでも理想的な電気泳動写真は撮れたであろうに…… 


 冒頭で紹介した5月15日朝日新聞記事 「STAP細胞論文画像『改ざん』 切り貼り不正の境目は?」 と題する記事は、上記電気泳動画像「切り貼り」に於ける研究不正のセーフとアウトの境界線に関して、素人にも分かり易く解説している。
 巷のメディアに於いて、「素人には分かりにくいであろう」解説や「解説内容に専門性が乏しい」解説等、大して役に立たない論評はあちこちで見かける。  これらに対し、上記朝日新聞記事は科学的専門性をもってきちんと解説出来ていると私は評価する。
 以下に、その内容の一部を要約して紹介しよう。

 小保方論文電気泳動画像に関し理研委は「改ざん」に当たり、研究不正と認定した。
 これに対し、元理研委委員長だった古関氏の過去論文は、「不正なし」と判断している。
 その違いはどこにあるのか?
 小保方論文の場合、違う実験で行った2枚の画像を組み合わせた点を挙げ、「図を加工したことで、正確な情報が失われた」と指摘した。
 片や古関氏論文の場合は、実験ノートから元の画像が1回の実験から得られたことが確認されたとしている。
 要するに、加工によってデータの信頼性が損なわれたかどうかが「不正」を判断する一つの分水嶺となった。
 研究不正とは認定されていない古関氏は、画像の切り貼りがあったことを受け、一部の論文掲載誌に訂正や修正を申し出ている。 その申し出とは、画像を切り貼りした事実を明示するように改める内容である。
 (以上は、朝日新聞記事より一部を要約して紹介したもの。)


 原左都子の私論に入ろう。

 今一度、4/9小保方会見の「切り貼り」に関する一部を以下に振り返らせていただこう。
 小保方氏によれば、論文の不具合が発覚した時点で科学誌「ネイチャー」担当者に電気泳動写真の「切り貼り」に関して質問したそうだ。 その結果、「切り貼り」自体は許容できるが、それをする場合「切り貼り」をした事実を黒線で囲む等の手法により明示するべき、との回答を得たとの事だった。 小保方氏としてはその措置をしなかった部分のみで自分に責任があり、これは「改ざん」に当たらないとの会見の説明だったが…

 ならば何故、小保方氏は「ネイチャー」相手に未だかつて論文修正を実行しないのか!?! 
 科学素人弁護士を雇い、素人感覚で理研委に無駄に盾突いてばかりいないで、それこそを真っ先に実行するのが小保方氏が今後“科学者として生き残る道”ではないのか。
 それは小保方論文とは言えども、その実態が理研上司や周囲研究者に“煽てられ”、取り急ぎ提出した論文に過ぎないからであろう。 まさかまさか、小保方氏の個人力のみで「ネイチャー」に論文訂正を実行できるすべのない程の、弱体立場なのであろう。

 しかも、もっと深刻な小保方氏の“墓穴”とは、実験ノートが至ってずさんな実態である。
 元理研委である古関氏の場合、少なくとも手元に当時の電気泳動画像を「実験ノート」内で保存していたため、それが論文が生き残る命綱となったとの事だ。

 この差は歴然と、原左都子も結論付けたい。


 世間には、理研内の長老どもが自分こそが生き延びる目的で若き小保方氏一人を排除せん!と動いているとの世論がある。 確かにそれも真実であろうと(過去に一時理研に籍を置いた)私も推測している。

 それにしても小保方氏の科学者としての対応が、今に至ってずさん過ぎるのだ。
 何故、科学に関して素人の弁護士を雇ったのだ?  写真捏造疑惑に関し「当時超多忙だった故に写真を整理する時間がなかった」と弁護士に言わせて事が済むと、小保方氏は本気で考えているのか!?!
 本心で「自分は科学者」を自負しているならば、さっさと理研を自主退職し、メディアの目が届かない水面下でSTAP細胞検証をさせてもらえる場を模索し既に研究再開していても不思議でないであろうに、今一体何をしているのだろう??
 もう少し時が過ぎたら、小保方晴子氏がタレントとしてメディアに出る日が来るのか?? 
 なる意地悪視点を庶民に抱かれても仕方がない程の、現在の小保方氏が置かれている“貧相な立場”ではあるまいか。