物事をしようとする場合、ああして、こうして…と普通、人は考える。この思考には個人差があるが、突飛(とっぴ)もなく短い人と十分考える長い人の2種類に分かれる。両者の考え方は逆転していて、前者は、結果を求めず、まず率先(そっせん)して動く実行派で、後者は失敗しない結果を考えてから動く頭脳派である。両者の間には大きな確執(かくしつ)があり、対立が生まれる。
太閤殿下なきあと、豊臣家臣団は行動派と頭脳派の2派に別れ、激しい火花を散らしていた。
「許せんっ!」
加賀の前田利家がこの世を去ると、行動派七将は頭脳派、石田光成を襲撃しようと画策(かくさく)した。それを事前に察知(さっち)した光成は、ああして、こうして…と熟考(じゅっこう)した挙句(あげく)、屋敷を脱出し、こともあろうか、徳川屋敷へと逃げ込んだのである。
その後の結末は歴史が物語るとおりだが、ああして、こうして…はタイムラグ[関連する二つの事の間に生ずる時間的なズレ]を生じ、逆転して反対の結果を導(みちび)きやすい。
完
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