水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

忘れるユーモア短編集 (96)一線(いっせん)

2020年07月19日 00時00分00秒 | #小説

 物事には目には見えない一線(いっせん)というものがある。その一線を忘れると、衝突、喧嘩(けんか)、紛争、戦争などといった物騒な事態が発生する。まあ、男女間の一線は越えておめでとう! ということになるケースもあるから例外としたい。^^
 世界情勢は、A国とE国の一発触発の事態に至り、緊迫(きんぱく)の度を増していた。
 二ヶ国語で書けば、皆さんにお分かり願えないと思われるので、ここでは敢(あ)えて日本語で表記したいと思う。^^
「大統領、いかがなされますかっ!?」
「烏賊(いか)がも蛸(たこ)がもないよ、君っ!」
「と、言われますとっ!?」
「E国が一方的に偵察機を撃ち落としたんだろっ! なら、一線を越えたんじゃないかっ!」
「そう言われますが、大統領。E国は空に一線はない・・と申しております」
「だったら、それでいいんじゃないかっ! 空に一線がないんなら、E国は我が国の運航を阻害し、一線を越えたことになるっ! スパークすれば、爆発するぞっ!」
「まあまあ、大統領。落ちついてくださいっ!」
「君っ! これが落ち着いておられるかっ! うちのカミさん、寝取られたようなもんだぞっ!」
 聞いた補佐官は、思わず二ヤけた。
『それと、これとは違うと思われますが…』
 補佐官は心でそう言い、口に出さなかった。罷免(ひめん)されては…と思えたのである。
「UFOならよかったんですが…」
「ああ、そういやそんな♪がJ国にあったなっ!?」
「ああ! 女性デュオのっ! ありました、ありましたっ!!」
 談義は、問題そっちのけの関係ない話で盛り上がっていった。
 まあ、一線が曖昧(あいまい)なことに変わりはない。^^ 
  
                                     


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