ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

ゼロの焦点

2010-02-24 02:58:44 | 生活
現在、出張でサンフランシスコに来ている。

成田からサンフランシスコに向かう飛行機の中で「ゼロの焦点」という映画を見た。松本清張の名作である。広末涼子が好きなので、見てみた。

私は「ゼロの焦点」を「点と線」と勘違いしていて博多の香椎を舞台とした鉄道推理小説のはずだが、と思ってみていたが映画はまったく違っていて、金沢を舞台とした話だった。

広末涼子の扮する新妻が、失踪した夫を探して歩くうちに次第に過去の夫の女性関係が分かってきて、戦後のアメリカ進駐軍を相手に商売をしていた娼婦との関係が見えてくる、という話である。

金沢の美しい情景、戦後の復興、女性の人権運動など時代背景などを良く捉えた映像で、ストーリーは松本清張のものなので面白いのだが今ひとつ物足りない感じがした。

松本清張のテーマによくある成功者が「自分の過去を隠す」という情念が殺人の理由にまでなる、というあたりが描き切れていない感じがしたのである。そこをきちんと表現しないと、殺人の動機が理解できないので今一つピンとこない。

最近は過去の身分が社会問題になることは無くなってきたのだが、私が子供だった「ゼロの焦点」が書かれたこの時期には、江戸時代の士農工商の名残だろうか、家柄とか経歴とかいうものが重視されており、出生の秘密などが良く小説のテーマになっていた。

韓国やインドなどではまだこういう感覚が残っているので、これらの国に輸出するとむしろ理解されやすいのではないかと思ったものである。

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